第2話 レダクローニ学校

「まあ、これでもどうぞ」


 魔族の女性、サリアは0番に紅茶を出す。学園長室に案内された、どうやらここで話しをするらしい。先程までは服もボロボロであったため、サリアが用意してくれたスーツを着ていた。


「ありがとうございます」

「ええ、では早速この学校について話をしていこう。」


 0番がお礼を言うとサリアは話を進めてくれる。


「この学校は様々な種族の子供たちが通う学校で、人間たちとの共存が目的なんだ。


 そのために、人間理解、そして仮に人間に襲われた時の対処法も学んでいく。こちらが共存を望んでも殺しに来る人間は多いからな...


 君には人間代表として授業の参加、そしてそれ以外の時間は校内の掃除といった雑用を任せたいんだ。」


 人間が他種族を差別しているのはこの世界では事実だ。人間の数が多いというのもそうなのだが、それに伴い領地が広大だ。だからこそ傲慢になり、他種族を見下している。

 そんな人間と共存しようとするのは物好きとしか言いようが無かった。


「そしてもう1つ、この学校、色々な者に狙われてる。それこそ人間もそうだが、魔族といった種族のもの達も攻めて来るんだ。

 生徒は寮生活、君には生徒の護衛も任せたい。」


 なるほど、これでなぜ自分が選ばれたのか理解出来た。0番は強かった。生まれた時から戦いを仕込まれてきた。

 そしてどこで調べたのかは分からないが他種族に対して差別意識の無い0番はこの学校にとってとても都合の良い存在なのだろう。だが...


「俺はもう殺しはしません。それでも良いのですか?」


 もう人を殺したくなかった。たとえそれが極悪人だとしても、それが0番にとって唯一と言って言いほどサリアに頼みたいことだった。


「ああ!だからこそ君を選んだんだ!他種族の命を大切にできる君に!」


 意外な反応だった。いつも命令をしてきたものたちは殺しを強要してきた。でも彼女は違かった。だからこそ信用しても良いと思えた。いや、魔族であるからこそ信用することが罪滅ぼしになるとも思ったのかもしれない。


「わかりました。でも住むところとかは?」

「職員は職員用の寮があるんだ。君にはそこに住んでもらう。必要なものはこちらで用意してくるから遠慮なく言ってくれ。あとは...いやなんでもない。」


 なにかサリアが言いたそうだったが、まあ今後の生活に対して重要なことでもないのだろう。聞き返すなどはせずに、0番は寮に案内されようとしたときだった。


「ああ、そうだ。0番は流石に名前だと思えないからな。君が良ければだが、ニレイルと名乗ってくれ。」


 提案してくれたサリアの顔は笑顔で、0番...ニレイルはこの表情を一生忘れない自信があった。

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