第4話
次の日の朝、いつもよりも気持ちのいい目覚めな気がする。昨日歌ってみた自分の曲の雰囲気がうまくいっていたからかな……?イラストと動画はもう依頼しているので、昨日作った曲、「キミと見た夜明け」が公開されるのもすぐだろう。そして、こんないい朝を迎えた時は曲が作りたくなるんだけど、今日は予定があるのでその衝動は抑えてまだ早いけれど支度をしはじめる。
「紫苑ー?私たち出かけてくるから、戸締りよろしくね?」
「あ、僕ももう出るよ!」
「そう?じゃあ駅まで送っていくわね!……いいですよね、梨苑君?」
「もちろんだよ」
「ありがと!助かる!!」
僕は、父さんたちに置いていかれないように慌てて支度を終わらせた。
「紫苑は今日何しにいくんだっけ?」
「ん?あー、バイト先の店長さんの妹さんが歌い手してるらしくて、今日はライブハウスでライブがあるから一緒に見に行くんだ」
「ほうほう、それはまた面白そうだね」
「でしょ?もしかしたら僕の歌も歌われるかもしれないし!」
「そうだなぁ」
「うふふ、私も歌ってみようかしら?」
「んー、母さんには僕の曲は合わないんじゃないかなぁ」
「なんでそんなこと言うの紫苑!?」
「ボクも同感かな、紫帆」
「梨苑君まで!?」
「まぁまぁ、とりあえず紫苑、楽しんでおいで」
「うん!ありがと!」
父さんに駅まで送ってもらった僕は、店長である碧さんが待つ紺青亭へ向かうために電車に乗り込んだ。
待ち合わせ予定の15時からはまだ30分も前なのに、そこには既に碧さんが待っていた。
「おう、紫苑。早いね?」
「いや、それはこっちのセリフなんですけど……待たせちゃいました?」
「いや、今来たとこ」
「それって彼氏側が言うセリフなんですけど……まぁそもそも付き合ってないですけど」
「んー?年上はどーよ?」
「いや、碧さんは綺麗な人っていうのはよく知ってますけどね?僕らの間でそんな関係性になるなんて無いでしょ笑笑」
「んー、それはそうだな」
そう言いながらにっこりとはにかむ碧さんを見て、あぁ、こういう人が周りから好かれるんだなと他人事に感じつつも、2人とも揃ったわけで僕達はライブハウスへと向かう。
「妹さんってどんな人なんです?」
「んー?なんだ、うちの妹狙ってんの?おすすめはするけどね!顔は私に似てるかなぁ。性格は私とはちょっとベクトルが違う明るさしてるよ」
「なるほど?……あ、そういえば妹さんって活動名は何にしてるんですか?」
「あー……なんだったっけなぁ。妹の曲とか聞いたりはするんだけどさ?こういう界隈は私疎いからさ?」
「そうなんですね……」
「まぁまぁ!楽しんでこー!」
なんだかテンションの高い碧さんに連れられるままにたどり着いたのは確かにライブハウスではあったけれど……
「え、ここでやるんですか?」
入り口に書かれていた箱の名前は、『Zep TOKYO』だった。
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