第5話 後輩の悲願
「このプロトコルのことを知って、やっぱりことりちゃんがAIを使ったんだって分かったとき。どうしても分からなかったのが、『どうしてそんなことをしたのか?』 ……つまり、動機だった」
俺に喋らせるがままになっていることりちゃんの目は、わずかに潤んでいた。……こちらが悪いことをしている気分になる。今誰かにこの場を目撃されたら、きっと誤解は免れないだろう。
壁に掛けられた時計を見やる。まだ他の部員が来るような時間ではない、大丈夫だ。
「悔しいけど、ことりちゃんは海玖よりも優れた絵描きだ。海玖を負かしたいだけならば、画像生成AIなんて使わずに自分の力で描き上げればよかったはずだ。……なのに、君はUnCarnationを使った。しかも、瞳のハイライトなんていう分かりやすすぎる痕跡を残して」
「…………」
「ことりちゃんほどの腕なら、あんなのはいくらでもバレないように修正できたはずだろう? 表現技法として取り入れた、という線も、残念だけど苦しい。繰り返すけど、そんな危ない橋を渡らなくても君なら海玖に勝てたはずなんだから。
だとすると……俺は何か、根本的な勘違いをしているんじゃないか。そう思ったんだ」
普段の俺ならば、そこまで考えてもなお、解答にたどり着くことはできなかっただろう。
幸運だったのは、俺の周りに藤定兄妹という天才がいたことだ。
AIを使うからには、目的がある。俺が頭を悩ませるべきは、はじめからUnCarnationの仕様などではなかった。それをめぐる人間たちの感情だったのだ。
では、その目的とは何か? 普通に考えたら、上手い絵を描くこと。それによって投票で1位をとること。それ以外の目的など考えにくい。
けれど……俺は知っていた。
勝ち続ける側には、その勝利の味に飽きる時があるということを。
「ことりちゃん……君は、この投票に勝ちたかったんじゃない。負けたかったから、AIを使ったんじゃないか?」
「………っ」
吐き捨てるような舌打ちが聞こえたのは、現実か、俺の気の所為か。
「ことりちゃんと海玖は、昔からのライバルだったんだよね。でも、二人で賞レースを争うとなったとき、海玖が勝ったことは一度として無かった」
いつもいつも勝ちを逃す側である海玖の気持ちは、多少なりとも聞いたことがある。けれどそれでは足りなかった。ことりちゃんの方がどう思っていたかも、もっと早く考えるべきだったのだ。
「そのことを君がどう思っていたのか、どういう気持ちを抱いたのか、俺は知らない。そこはいったん置いておいて、ひとまず、こんな仮説を立ててみたい。君は今回の投票で、海玖に勝ちを譲りたいと思った。
しかし、だからといってあからさまに手を抜いたらすぐにバレてしまう。プライドの高い海玖は、そんな勝ち方をしてもきっと納得しないだろうね。……そんな時、ネットで話題騒然になったのがUnCarnationだ」
文字を入れるだけで高精度なイラストを出力できる画像生成AI。リリースから一か月と経たず、その反響は功罪の両面において絶大なものとなっていた。
関連記事を少し追っていくと、こんな話もあった。アメリカのとあるデジタルアートコンテストにて、UnCarnationにより生成された絵が一位を取ったことで物議を醸しただとか。
俺でも見つけられたくらいだ。当時は大きな話題になっていただろうから、ことりちゃんの目にもこの記事が触れていた可能性は高い。
「筋書きはこうだ。
君はUnCarnationを使ってイラストを生成する。そして、明らかに破綻している部分は手直しをして、一見すれば人が描いたようにしか見えない美麗なイラストに仕立て上げる。ただ一点……“TOUMEI111001”を使った痕跡だけをはっきりと残して。『そうすれば、海玖ならそれに気づく』という確信が、君の中にはあったんだろう。
AIを使ったイラストが展示作品として認められるかどうか、それはまた別の難しい話だけれど、少なくとも『実力勝負』を望んでいた海玖は心外に思うはずだ。彼女はきっと怒る。そして、ひとしきり怒られた後、君は自分の行いを認めてイラストを取り下げるつもりだった。
海玖には勝ちたい、勝たなければならないというプレッシャーに圧されて、画像生成AIの力に頼ってしまった……。そんな風に説明すれば、海玖は溜飲を下げるだろう。君は露骨に手を抜いたりすることなく、海玖に負けることができる」
蒸した部屋の窓から、にわかに風が吹き込んできた。オンボロな扇風機の起こす風なんかよりもずっと涼しい。
俺は額に滲む汗を左手で拭った。ことりちゃんはと言えば、頬を垂れるがままだ。
「…………なんで」
とても小さな声だった。
「なんで、私が負けたがってるだなんて思うんですか」
「……さあ、そこまでは。何度も言ったとおり、君が勝つためにAIを使ったとは考えにくい。だったらその逆なんじゃないか、俺はそう考えただけなんだ。それ以上、何の根拠もないよ」
自分でも空々しさを覚えずにはいられない苦笑いを作りながら、俺は言った。
「ただ、これは想像だけど、俺の用意した『副賞』が関係していたんじゃないかな。一位になったイラストは名前付きで文化祭公式ツイッターで紹介してもらえる。この権利を海玖に勝ち取ってほしくて、君が負けようとした、というのは考えられる」
「…………」
その沈黙が何を意味するのか。今ここで掘り下げても仕方のないことだろう。
「ところが、問題が発生した。海玖のイラストは、とてもSNSに堂々と掲載していいような代物じゃなかったんだ」
文化祭の一日目―――俺と海玖が一緒に、ことりちゃんの『悲願』を初めて見たとき。
海玖はすぐに、それがUnCarnation製のイラストだと分かったはずだ。彼女がはっとしたような表情を見せたあの時、海玖は気づいていたのだ。その後の俺との電話で、あいつ自身も『わたしには一目でわかった』と言っていた。
では。その場で即座にそれを指摘しなかったのは、何故だろうか。
海玖の直情的な性格ならばそうする方が自然だ。付け加えて言えば、疑惑があるなら集計結果が固まる前に明かした方が問題が大きくならず、海玖としてもサークルとしても得だったはずなのだ。事実、ことりちゃんの勝ちが決まった後の糾弾になったせいで海玖は「負け惜しみなんじゃないか」という非難を浴びることになったし、指摘自体の信用度もガタ落ちしてしまった。俺の知る石上海玖という女性の人物像からしても、やはりあの経緯には不自然な点が多い。
だとすると。海玖の方にも、すぐには指摘しにくい事情があったんじゃないか。他人の不正を暴いて自分が一位になることへの何らかの後ろめたさが、彼女に二の足を踏ませたのではないか。
そう思って、海玖の描いた『あの雨の日』をよく見てみた。
あいつは絵が上手い。多少は描ける自分の目から見ても、人物や風景を正確に描くことにかけて、彼女の実力はプロのイラストレーターにもそこまで引けを取らないと思う。ただ一つ、欠点を挙げるならば―――彼女の描く世界観は、不思議と「どこかで見たことがある」気がしてしまうのだ。
イラストの真価を決めるのは被写体やテーマではなく、作者がそこに込めるメッセージだ。もちろん、作品を見てどう感じるかは鑑賞者次第だから、作者の伝えたかったことが必ずしも正確に読み取られるわけではない。けれども、それでも、だからこそ、芸術家は作品に「意味」を込める。とにかく、何らかの意味を。そしてそれが鑑賞者に、とにかく何らかの感動を与えたとき、そこに作品の価値というものが宿るのだと思う。技術とはそのために用いられるものだし、そのために用いられる限りにおいて、絵筆とAIに本質的な差は存在しない。
その点、海玖の絵はどうだろうか。見た目は美麗だし、何かが表現されていることは分かる。ただ、そこに新鮮な驚きはない。「こういう絵か」と脳内ですぐに解釈できてしまう。キャンパスの上から、作者の抜き差しならない本音みたいなものが感じられない……とまで思うのは、俺が海玖の人となりを知ってしまっているからだろうか。
あいつよりも遥かに下手な俺がこんなことを言うのは烏滸がましいことだ。分かっているけれど、こう思わずにいられない。―――それはきっと、彼女の描く絵が、何かの模倣であることを越えられていないからなのだろう。
新幹線の中で、海玖が憧れているイラストレーターの名前を聞いて、俺はすぐに検索をした。当たり前だが、イラストSNSのアカウントがすぐにヒットした。
遡ったのは三年分ほどだっただろうか。それほど高頻度で絵を上げるタイプのアカウントではなかったから、大して時間はかからなかった。そこには、『Someday in summer』……ある夏の日、と題されたイラストがあった。
真ん中に大きく映る、上下反転した少女。傘を差していること、随所が雨のつくる波紋で揺らいでいること、どこか不安げな表情に至るまで、その絵は海玖の描いた『ある雨の日』と同じだった。
「有名イラストレーターがネットに上げているイラストの構図やアイデアを、ほとんどそのまま転用したイラスト。そんなのが文化祭の公式アカウントに上がれば、炎上は避けられないだろうね」
それが結論だ。
どういう事情であれ、浅間ことりは勝負に負けようとした。そしてそれが実現すれば、代わりに栄冠を掴む石上海玖は、自らの仕掛けた爆弾によって社会的に死ぬはずだった。
では、ことりちゃんはそれを望んでいたのだろうか。海玖を罠に嵌めるために、奸計を巡らせてわざと負けようとしたのだろうか。
そんなはずはない。海玖の『あの雨の日』は描き下ろしの新作だ。彼女がトレスに手を染めるかどうかなど、直前まで分からなかったはずだ。
第一……それ以前に。ことりちゃんは、実際にはUnCarnationの使用を認めなかったのだ。
「勝ちを譲ることで、海玖は脚光を浴びるはずだった。でも、海玖自身が行った罪のせいで、彼女が浴びることになるものは批判の嵐に変わってしまった。
だから、ことりちゃん。君は……海玖を守るために、AIを使ったことを認めなかったんだね」
口を閉じる。
流れた静寂は、俺の底浅い人生経験では到底耐えがたい重みを持っていた。
―――嘘をつくのは、いつも人間―――
藤定凛のメッセージが脳裏に蘇る。
俺は海玖の恋人として、彼女のついた嘘に感謝しなければならない立場だ。けれどそれは同時に、彼女の嘘を詳らかに暴露することでもあった。
ここ数日何度も頭に浮かんだ愚痴を、俺は反芻せずにいられなかった。―――凡夫には、少し荷が重い。
「…………ごめん。それでも、ありがとう」
口をついて出た言葉は、きっと沈黙に耐えかねただけだ。
窓の外は相変わらず灼熱の様相を呈している。生い茂る雑草が窓の高さまで丈を伸ばし、放っておいたら部室の中まで侵食されるのではないかと心配になるほどだった。
それでもお盆頃に比べれば幾分ましにはなっているのだろう。あと数週もすれば、まず当局による草刈りが行われ、そして気温もみるみる下がっていくはずだ。そうなると、不思議とまたこの暑さが恋しくなってくる。
喉元過ぎれば……とはよく言うが、記憶の中にのみ在る夏とは何故ああまで瑞々しいのだろう。いつかこの夏の文化祭の記憶も、麗しい思い出として回想できる日が来るのだろうか。
「前から、不思議だなとは思ってたんです」
ようやく語り出したことりちゃんは、どこか諦めたような表情を浮かべていた。
「海玖ってあんなに感情がわかりやすいタイプなのに、海玖の絵からは全然海玖らしさが見えてこない。まあ、でもそういう子もいるのかなって、今までは勝手に納得してました。私はあんまり他の人の絵をネットで見たりしないので、尚更気づきづらかったんだと思います。……でも、今回だけは違った」
ふと、俯きがちだった顔が俺の方に向けられる。眼に灯る諦念のせいなのか、いやに艶めかしい。
「笑っちゃいますよね。……三年前に私が描いた絵を、そのまんま海玖が出してきたんですから」
「…………やっぱりか」
意外ではなかった。
三年前、海玖が憧れて絵の道を進むきっかけになったイラストレーター。絵師界隈には明るくなかったから俺が見るのは初めてだったはずなのに、不思議とその作品たちにはどれも見覚えがあった。
『someday in summer』以外にも海玖が剽窃の対象にしたものがあったのかと、最初は思った。けれど、海玖が普段描く絵とは雰囲気が違う。どの作品からも漂う、静謐なのにどこか不穏で、美麗なのにどこかグロテスクなイメージ……どちらかというとそれらは、ことりちゃんの描く世界観によく似ていたのだ。
「あの子は天才なんです。……知ってますか? 彼女、ちゃんと絵を練習し始めたのはほんの三年前なんですよ。それであんなに描けるなんて、異常としか言えません。子供の頃からずーっと絵しか描いてなかった、絵だけしか取り柄のない私なんかとは格が違います。海玖は、評価されるべき人間なんです」
ことりちゃんは力強く言った。
「でも、彼女は完全には羽化できていなかった。絵に命を吹き込む方法を知らなかった。単純な性格のせいなのか、それともまだ絵で自分を表現することを恥ずかしいと思ってるのか……原因は色々と考えましたけど、今回の件でよくわかりました。きっと才能がありすぎるからです。他人の『真似』だけであれだけの絵が描けてしまうから、表現の苦悩にぶち当たったことがない。心からの気持ちをエンジンにしないと筆が進まない、なんて場面に出くわしたことが、なかったんです」
当てつけのようにも聞こえるその言葉を、しかし俺は否定する気になれなかった。曖昧に頷くことしかできない。
「海玖は自分の才能をぜんぜん自覚してませんから、ネットに自作を上げたりはしていないんです。そのせいで、『他人の絵を勝手に真似してはいけない』なんて常識すら知らないままだったんですけどね。何度もアカウント開設を勧めたけど全く気は変わらないようでした。
だから優勝者のイラストをツイッターで紹介するっていう先輩の提案を聞いて、いい機会だと思って私の方から焚きつけたんです。あくまで二人の勝負っていうことにして、今回は本気でやろう、って」
「……なるほど」
「そのときは画像生成AIなんて全然知らなかったから、バレないように手を抜くつもりでした。でもそんな芸当、私みたいな凡才にはやっぱり難しくて……筆を滑らせてるうちに、いつもと変わらない出来に仕上げてたんです」
ことりちゃんが自嘲気味に笑う。
「最初は諦めてそれを出そうと思いました。一割くらいは、わざわざ手を抜かなくてもそろそろ実力で負けるんじゃないか、って思いもありましたし。どのみち時間の問題ですから、さっさと追い越されて楽になりたかったんだと思います。
……そんなとき、海玖がツイッターでリツイートして回ってきたのが、UnCarnationのニュースです。画像生成AIを使えば誰でも簡単に綺麗な絵が描ける。それを使って、デジタルアートコンテストに優勝した外国人がいる……そんなネット記事を見て、これは使える! と直感しました」
無理やり弾ませた声とは裏腹に、ことりちゃんの表情は固いままだ。膝の上で組まれた両手は、心なしか震えているように見える。
何と返そうか迷っているうちに、彼女が先に沈黙を破った。
「……すみません、たぶん嘘です」
「……嘘?」
はぁ、という短い溜め息が聞こえる。
「その時私がどう感じたのか、詳しくは覚えてません。でも、良い気持ちばかりじゃなかったことは確かだと思います。
この技術が普及すれば、私が描けるくらいの絵は本当に誰でも描けるようになる。海玖に追い越されるだとかそんな話じゃない。あらゆる人が海玖になれるようになったんですから。……私は十五年、海玖でも三年。これからは誰でも一分です。
文化祭のことがなくても、きっと同じことを思っていたと思います。……私が自分で絵を描く必要は、もうないんだな、って」
「ことりちゃん、それは」
違う、と言いたかった。
でもその言葉は空虚な気がした。
俺は自分をクリエイターだと思っていない。拡務に会いに行ったときもそんな風に嘯いた。本心だし、本当だと思う。結局のところ俺が今までやってきたのは小手先の図画工作ばかりで、自分の創作性を信じて作品に命を吹き込もうとした経験など一度もない。そのくせ子供じみた創作への憧れは心の中に燻りつづけて、冷静な拡務の諫言も押し切り、生半可な気持ちを実利という言い訳で舗装して芸大にまで来てしまった。
俺はそんな自分が嫌いではないが、彼女は違うだろう。幼いころから魂を絵にぶつけ続けたことりちゃんの独白に対して、俺が返せる言葉はあるのか。
「……それは、違うよ」
間違いなく空虚だ。
それでも言うべきなのだと思った。
「この先、AI技術がどれくらい発展するのかは知らない。もしかしたら君の言うとおり、誰でも君みたいな絵を好きなように描ける時代が来ているのかもしれない。そうだとしても、俺はことりちゃんの絵が好きだし、もっと見たいと思う。海玖だって一緒だよ。あいつは君の絵があったからこそ、ここまで頑張ってこれたんだから」
それでも言うべきなのだと、思いたかった。
「……すみません、気を遣わせてしまって」
浅葱色のシャツを着た後輩は、優しい声でそう言った。
「まあ、だからと言ってすぐに絵をやめる気にもなれませんでしたし。ご心配をおかけするほど思い詰めたりはしてませんよ」
……気を遣わせたのはこっちだ。俺は申し訳なくなって、「すまん」と頭を下げた。
居心地の悪い空気が流れる。今すぐにでも部屋を出たくなったが、話はそこで終わらない。
「……思い詰めてはいないですけど、なんというか、どうでもよくなった節はあります。不正行為でサークルから追い出されるなら、それはそれで筆を折るのに丁度いい。すんなりと反則負けできて海玖が世界から見つかれば一石二鳥です。そう思ってUnCarnationを使ってみました。ゼロからの再制作は、呆れるくらい簡単でしたよ」
それは、そうだろうなと思った。
実際には画像生成AIを使いこなすのにもコツが要る。例えばプロンプト―――生成時に打ち込む呪文をどういう風にすれば所望の絵が出るのか、ここの制御にはどうしてもセンスと経験則が問われがちだ。それに拡務にも教えてもらったとおり、生成された画像を人間の手で微修正することができるかどうかで最終的な完成度は大きく変わる。両方とも、ことりちゃんほどデジタルイラストに精通していれば、造作もない作業だっただろう。
そうして彼女は、偽りの展示作品―――『悲願』を手に入れた。
「ところが、結果はあの通りです。海玖から出てきたのは、見覚えのあるイラストだった。彼女にとっての本気の出し方とは、『今までで一番良いと思った絵を真似する』ことだった。裏切られた……というよりも、彼女を見くびっていた、と言った方が正しいんでしょう」
そうして、この状況ができた。
ことりちゃんは負けるためにAIを使ったのに、その負けを認めるわけにはいかなくなってしまった。
「きっと本当は、私が怒らないといけないんでしょうね」
「…………」
「けど、もうそんな元気は残ってないです。……色んな意味で、私の負けですね」
力なく笑うその顔に、胸がしめつけられる。
石上海玖が評価を受け、才能を自覚し、完全な羽化を果たしてほしい。
浅間ことりの『悲願』は、達成されなかった。
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