第4話 最低の能力じゃねえか
「冗談言ってる場合か!」
『悪い悪い、お前、童貞だったもんな。知ってるはずねーか』
「いい加減にしろよ虫歯菌!」
「ひぃっ!」
悲鳴を上げたのは、神官だった。
「え、い、いや、アンタに言ったわけじゃ……」
『一応言っとくけど、アタシ様の姿はお前にしか見えねーし、声もお前にしか聞こえねーよ』
「ぐっ……なんてやつだ」
そうして、ぶつぶつ言う全裸男を、神官はがたがた震えて見つめる。
「そう怯えないでくれ。別に何もしやしない……」
ふるふると首を振る神官。
『ナニしろよ』
呼吸をするように下ネタを放つ神。
『ほらよく見てみろ。この神官、むちむちでたまらんだろう? この西瓜のような胸、水蜜桃のような尻……』
「何を……」
否定する声は弱い。
なぜか?
大介が注視してしまったからだ。
そして、サキュレの言っていることが事実だと、目が理解したからだ。
神官は、ヨモギ色の髪を腰まで伸ばし、顔はどこかあか抜けないが柔和で、今日日地球では見かけないビン底眼鏡がそのかんばせを覆っている。
服装はシスターの服から帽子を取り除いたような服だが、「ハロウィン用」の文字が頭につきそうなミニスカートに、体のラインが出るタイト具合だった。
そのミニスカートの下にはピンク色のタイツが覗いており、豊かな太ももの弾力を受けて光っている。よくよく見れば、下着の線すらはっきり出ていた。
胸に掲げた知恵の輪のようなペンダントは、その下のたわわな果実に押し上げられ、天を見上げていた。
そんな彼女は、緊張で紅潮し、汗だくなものだから、神官服を一種、異様な熱気が包んでいる。
ゴク……と大介は思わず唾を飲んでいた。
刺激が、強い。
そんな彼の内心を見透かすように、サキュレが笑う。
『イヒヒ……いいことを教えてやろう。お前には転生に際して特典を授けてある。そう、みんな大好きチート能力だ』
「……なに?」
『13のチート能力がお前には備わってるんだよ』
「!」
これには大介も目をむいた。
「そうか……こうして話せているのもお前の力か」
神官に聞こえないよう、小さな声で言う。
『いや、『翻訳』はノルマリスの祝福だ』
「違うんかい」
『イヒヒ、アタシ様の祝福は、もーっと上等な能力――スキルさ』
ゴク……再び生唾を飲み込む大介。
『まず、『感度を三千倍にする』能力! 『処女でも感じさせる』能力! 『肉体から無尽蔵に液体を出させる』能力! 『壁尻』能力! 『服の上からブラジャーを外す』能力――』
「最低の能力じゃねえか!!」
「ひぐぅっ!?」
ダイスケが大声でツッコミを入れたために、神官は悲鳴を上げた。
「ち、違う……だからアンタに言ったんじゃ……」
焦ってハアハア息を乱して神官に迫る全裸男。
思わず手を伸ばしたことで、それまで隠していた股間がフルオープンになってしまった。
「ひ、ひぅうううううううう……!!」
神官は目を回すと、そのまま真後ろに転倒してしまった。
完全に、気絶してしまっている。
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