第29話
地上にいたイノセントの攻撃は、確かにシールドの外殻を壊せるだけの力を持っていた。
だが、かざねはこの時すでにシールドの外側へと飛び出すだけの「準備」を、試みていた。
敵のエネルギー弾が衝突することによって生じた熱。
この「熱」は表面温度が数千℃にまで上り、水を一瞬で蒸発させるだけのエネルギーを伴っていた。
無論、かざねのシールドは水のイメージを具現化したものに過ぎない。
その「性質」も物質としての「特徴」も、“似て非なるもの”と言った方がいいだろう。
実質、そのシールドの強度は、水で構成されたとは思えないほどの柔軟性と硬度を伴っていた。
液体では到底実現し得ない圧縮強度を。
しかし、イメージの及ぶ範囲はあらゆる分子レベルの“流域”に及ぶ。
敵の攻撃を受けた時、かざねはその外力である「熱」を利用して、自らの体内を瞬時に気化、——膨張させていた。
数千℃にも及ぶ敵のエネルギー量は、大量の水蒸気を急激に発生させるだけの作用点を運んでいた。
変形したかに見えたシールドの外殻は、膨大なエネルギーを放出する中で生じた、変遷だった。
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