第25話


 かざねは溜め込んだシールド内のエネルギーを、自らの身体エネルギーへと変化していた。


 ただ、その効力は一時的なものに過ぎない。


 同様に、シールドの表面上に吸収できるエネルギーの「量」にも限りがあった。


 吸収と出力は同時には制御できない。


 ——いや、それは時と場合にもよるが、この場面においてはコントロールできない領域があった。


 彼女の展開した量子流域は上から下へと流れていた。


 構造上、横からの衝撃には弱い。


 イノセントの攻撃によるその衝突の入射角は、ほとんど“水平”だった。


 壁の層を厚くして防いでも、それを壁の強度のみで防ぎ切ることは至難の業だった。


 第一にシールドの強度はすでに弱まっていた。


 上空からの敵の攻撃を防ぎ、それを一部吸収したとは言え、構成した壁の強度に変化があったのは事実だ。


 だからこそ2体のイノセントは多方向からの攻撃を実行しようとしていた。


 それぞれ別の角度からの攻撃。


 1体目の攻撃は失敗に終わったが、2体目の攻撃は届いた。


 この時点で、シールドの表面は脆く、薄くなっていた。

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