第24話
ドッ
イノセントは自らの腕を変形させていた。
変形させ、ある一点に力を集約させる。
回転する軸。
ゴォッと唸る風切り音。
ゴッ——!
シールドの表面にぶつかる。
歪な斧の形に変形した敵の腕が、垂直方向に回転するシールドの上っ面を叩いた。
ぶつかった拍子に湾曲する表面。
しかし、届かなかった。
斧は根本から折れたように崩れ去った。
イノセントは急ぎ体勢を整え、変形した壁が元に戻らないうちに次の攻撃体勢へと移行。
右。
その手のひらの上だ。
高密度のエネルギー弾を生成したのは。
地面に到達した時点で“もう一体”が取っていた行動。
それはかざねへの直接的な攻撃を実行するものであっても、回転しようとする攻撃の軸を“拡げる“ものではなかった。
シールドを砕く
そのためだけに注力された敵のモーションは、すでに単一の意識の中にゆり動いていた。
この時、上空には倒壊するビルの被写体が、あった。
地面へと落下する瓦礫。
崩れた地面の傾斜によって、その中心に倒れ込むように吸い込まれていく周囲の物体が、空を覆う。
かざねとイノセントの足元はまだ、かろうじて地面が残っていた。
かざねが受け流した敵の攻撃は、ビルの側面、——その建物の足元を抉りながら爆風半径を広げていた。
地面も当然のように抉れた。
が、周囲を破壊しながら円形に広がっていく衝撃波は、一度かざねの量子流域を媒介したせいで、その威力を落としていた。
地面がまだらに崩れたのはそのためだ。
イノセントは即座に連撃をぶつける。
至近距離からのエネルギー弾。
迸るスパーク。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます