第2話


 まさかイノセントに出くわすとは思わなかった。


 ここらへんで最近盗賊が出入りしてるって話で、その調査に来ていたところだった。


 それがどうだ。


 瓦礫が落ちる音が聞こえたと思ったら、雑居ビルの中からコイツらが。



 この場所は危険区よりもまだだいぶ手前にある。


 イノセントが出没すること自体は不思議じゃないが、レーダーには引っかからなかった。



 …ったく


 とんだ仕事に引っかかったもんだ。


 コイツらを一掃して、再度調査に来る必要がありそうだ。


 市街地から離れてるとは言え、この数にこの“レベル“。


 ポッと出の奴らじゃなさそうだった。



 …あー、めんど




 『生活環境捜査課所属』の特務捜査班、氷室かざねは、突如出くわした【イノセント】と呼ばれる怪物の処理に追われていた。


 イノセントは、「青の大陸」と呼ばれる場所からやってくる。


 人間の住む都市、『グラウンド・ゼロ』の居住区画から数百キロ離れた地点。


 かつて「日本列島」と呼ばれた島々の外の『水平線』から。




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