第8話 魔法使用、第一歩!

 この村に来て、3週間ほど経った。この村自体がそれほど規模が大きくないので、村の人の多くとは友達のような距離間で話せるようになった。


 レクとの訓練は毎日欠かさず行い、結果、0勝である。いや、まぁ?私は成長チート持ちなので、これからモンスター、ギッタンギッタン倒していけば、普通に越せますけど?何か?


 で、まぁ今後の成長に私自身が大きく期待しつつ、本日はあの例の幼馴染4人集が外に出るということで、レクと一緒に護衛を任された。


 ちなみに、シェリとレイサは、私がいまだに見分けられない薬草をこの広大な草原の中からとっており、ゲウラスとリウスはスライムやゴブリン単体と戦って実戦経験を積んでいるところだ。まぁ、レイサも普通に参加することがあるが。


 シェリは、武器全般の扱いに才能がないのと、もともと身体能力が高くないのと、魔法が戦闘向けでないということで、実戦はやらないらしい。魔法ねぇ。


 「はぁ、私もなんか魔法使いたいなぁ。便利そうだし、なんとなくかっこいいし」


 そう呟くと、それを聞いたレクが、魔法使えないんですか?と聞いてくる。


 「うん、魔法の訓練とか受けてないし、魔法適正『無』だったし」


 「へぇ、そんなんだ。私は火魔法使えるよ!ほら!」


 と、レイサが手から火を出して、見せびらかしてくる。全く、こいつは。


 「危ないから、さっさと消せよ。燃えたらどうすんだよ!」


 そう訴えるゲウラス。


 あんたの自慢の筋肉で消したらそんな冗談を言っていると、


 「リンカさんって、身体強化も使えないんですか?」


 と、再びレクが聞いてくる。


 身体強化、異世界の定番魔法みたいなものだ。うーん、これは私に対する煽りかな?一回殴っていいかな?魔法適正『無』って言ったよね?そんなことを考えていると、


 「確かに、リンカさんが身体強化魔法を使えたら、レクさんに勝てるかもですね!」


 と、シェリがいう。この様子を見るに、煽っているわけではないっぽい。どうやら、魔法適正『無』でも使える魔法があるようだ。


 なら、私が取るべき選択はたった一つ!


 「お願いします!今日から教えてください!魔法の基礎から!」


 レクに我ながら惚れ惚れするような90度のお辞儀を決めて、お願いした。


 それを受けたレクは、そんな頭、下げなくてもお願いされたら、教えますよ、と苦笑いしつつ言った。


 「ま、当然だよね。なんてったって、レク、お姉さんにほれ、ングッ⁉︎ンガッンガッ!」


 と、何かを言おうとしたレイサが途中でシェリに口を抑えられた。


 まあ、何を言おうとしてたのかは大体わかる。まぁ、レク、ごめんね?







 ということで、場所が変わりまして、レクの家に集まりました。ちなみに、この4人はただ暇だからついてきただけで、みんな魔法の基本的なことは分っているらしい。


 「えっと、それじゃあ、何から教えようかな、、、、」


 「うーん、お姉さんって何が分ってないの?魔法の基本属性ぐらいわかってるでしょ?」


 「うん?知らないわよ。火があるのは知ってるけど」


 そう言うと、全員からあり得ないものを見たような、驚愕に満ちた目で見られた。まるで自分が人間でないような気分だ。慌てて、


 「いや、魔法がほとんど使えないわけじゃん?だから、興味ないし覚えてないのよ」


 「いや、常識だよ⁈もう、赤ちゃんでも知ってるくらいの常識だよ⁈」


 「そう言われても、知らないものは知らないのよ。大人の事情ってやつよ」


 「え?それそんな便利なの?」


 レイサの問いかけに無視しつつ、レクにさっさとするように、視線を送る。


 レクは、そう言うこともあるのかな?みたいな感じで、おそらく納得したのだろう。丁寧に解説してくれた。


 「えぇと、そうですね。まず魔法には基本属性と呼ばれる、火、水、自然、光、闇の5つの属性と、祝福属性と呼ばれる、空間、神聖の2つの属性があります。で、この区別の由来は、基本属性というのは、一般的に多くの人が使用することのできる属性なのでそう呼ばれています。あ、もちろん使えない人もいますよ?で、祝福属性は、使い手が少なくて、かつその能力が非常に強力であることが由来してるんです。例えば、空間であれば、異空間にものを収納できる魔法や、相手の流れる時を遅くしたりとかですね。神聖は、ただの怪我だけじゃなくて、部位欠損を治せるんです」


 「なるほどね。そりゃ使い手少ないわね」


 「はい。で、これらの魔法はステータスにもあるような、魔力を使うんです。厳密には体内のだけじゃなくて、この周りにあるものも使うんですけど。なので、魔法がうまく使えるかどうかは、魔力をうまく扱えるかどうかとも言い換えられるんです。ということなので、まずリンカさんには体内の魔力を感じてもらうところから始めてもらいます」


 「え?体内の魔力を感じる?何言ってるのよ。あんた、それ体内の血液の流れを感じるのと似たようなもんでしょ?無理じゃない?」


 「いえ、出来ます」


 「どうやって?」


 「えぇと、グッと集中して、体内に流れるものを感じるんです」


 「、、、、殴っていい?」


 拳を作り構えると


 「リンカさん、レクさんの言うことは本当なんです。そう言うしかないんです!」


 と、シェリがレクを庇う。シェリが言うなら、そうなんだろう。


 「分ったわよ。で、グッと集中して体内に流れるものを感じるのね?やってやるわよ」


 「さぁ、リンカはどれぐらいでできるかな?」


 そうニヤニヤとゲウラスがおもしろそうに言う。


 なぜ笑っているのかと言うと、どうやらこの一番初めのステップでなんと1年かかったらしいのだ。すぐに習得できたら煽ってやろう。うん?大人気ない?知らないわよ。そう言う人間だもの。


 そして、グッと集中して体内に流れるものを感じようとしてみた。すると、サラッとお腹の辺りに何か流れるものを感じた。


 (むむっ、これはきたのでは!)


 そして、より一層グッと集中してこの流れるものを感じる。それは、お腹の辺りから、手や脚と広がっていき、やがて全身にその、流れるものを感じることができた。


 「ゲウラス」


 「お?どうした?諦めるのか?」


 「ごめん、もう魔力の流れ、見えたわ」


 ドヤ顔で、ゲウラスに告げた。


 その時の、驚愕で固まったゲウラスの顔はきっとずっと忘れないだろう。


 


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