第15話 作戦会議

──ここは夢? 


 私、前世の夢をみてるんだ。


 暖かい春の日差しに桜の木々の道へ1人の巫女と、もう1人は狐耳があり外見が3歳か4歳くらいの少年が見えた。


 あの人─春子さんだ!私の前世の人。

 もう1人は小さい頃の白火だ、可愛い!


 春子と白火は手を繋いで歩き、何か話しており楽しそうな雰囲気であり、まるで親子のようにも見えた。少しであるが、会話の内容が聞き取れた。


「春子、オレずっーと一緒にいたい!家にいるよりも春子といる方が楽しいんだ!」

「ありがとうございます。ふふっ私も白火と一緒にいたいです。でも…私は人なのでずっとはいられませんが」


 春子は口に手に当てて笑い、寂しそうな顔をする。


「そんでもオレは少しでも長くいたいんだ!」

「そうですね…気持ちは嬉しいです」



 春子さんの気持ちが私にひしひしと伝わってくる。もっと一緒にいたかったし、長く生きていたかったんだよね…


 ──辛い気持ちが私にも痛いほどくる。


 

「…くら、さくら!」


 誰かが呼び止める声で目を覚ます。


「…さくら!!いい加減起きろよ!!」

「…白火?」

「まーだ、寝ぼけてんのか?ほらよ」


 白火が目の前にスマホを突きつけて、ようやく目が覚める。


「…えっ!もう8時過ぎてる!?遅刻しちゃう!」

「すまほがうるせぇから止めたぜ、早くしろよ」

「なんで勝手にアラーム止めるのよ!?」

「起こしてもらっといてその口調はなんだ?

オレは耳が良いから余計うるさく聞こえるんだよ」


 何よ!白火バカ、最低!!耳がいいからって勝手な事しないでよ!前世の夢で一瞬でも白火の事を可愛いなんて思ったのが間違いだった!


 そう思いながら白火を睨み付け、ベッドから出る。


「なんだよ、起こしてあげただろ!全く世話が焼けるぜ!」

「起こしてなんて頼んでない!勝手にスマホ触らないでよ!着替えるから早く出て!!」

「うるせぇな!早くしろよな!」


 白火は乱暴にドアを閉め、部屋から出ていった。


「もう!嫌になっちゃう!」


 さくらは急いで着替えてドアを開け、白火に声をかける。


「…早く行くよ、ドア乱暴に閉めないでよね!」

「うるせぇな、忘れてなければな」


 2人は急いで学校へと向かって行った。



 学校へ向かう前、白火は子狐に化けてさくらの頭に乗り話しかける。


「おい、さくら!作戦忘れてねぇーよな?」 

「分かってる!!急いでるから後でにして!」

「どうせまた遅刻だろ、焦っても意味ねぇって」

「少しは黙ってて!!」


 (本当に白火って嫌になる!影里くんとは目的は同じなんだし仲良くしたいし、前世の事も聞きたいのに!)


 学校の正門が見え、チャイムが鳴る。


「うっわ、やっば!!」

「ほーら、言わんこっちゃねえ」 

「うるさい!!」


 頭上にいる白火を睨み、急いで教室へ行くが、結局間は間に合わず遅刻扱いされ怒られてしまった。



 ──休み時間になり、人目のつかない空き教室に行き2人は話す。


「あーもう!白火のせいで遅刻しちゃったじゃない!」

「オレのせいじゃねぇだろ!元はといえばさくらが早く起きねぇからだろうが!!」

「勝手にアラーム止めるからこうなったのよ!反省して!」

「あらーむとか鳴っても起きねえから起こしてやったんだぜ!そんなことより、作戦立てるぞ」


 (そんなことって何よ!?白火、最低!!)


「ねぇ、作戦って影里くんより先に夜行を倒すんだよね?」

「そうだぜ、信也に認めてもらはねえと仲間になってくんねぇーし」

「それでどんなふうにやるの?」

「まず、さくらが1人でいておとりになる。そんで夜行の奴が襲ってきたらオレが先に倒す。いい作戦だろ?」


 得意気に言うが、さくらは心配になる。


「えー!私がおとりになるの嫌だよ!」

「夜行の奴らはさくらを狙ってるんだ。そうじゃねぇと話になんねぇだろ。信也より先に倒さなきゃ意味ねぇし」

「そ、そうだけど…影里くん、それで認めてくれるかな…」

「まかせとけ、ちゃんと守ってやるから」

 

 チャイムが鳴り、2人は教室へと戻る。



 授業中、信也の方をちらりと見る。

隣の席だし、さくらの視線には気づいているとは思うが、構わずいつも通りの授業を受けている。

白火は授業を聞くのがつまらないからと、またどこかに行ってしまった。



 ──この作戦がうまくいったから影里くんに認めてもらうようにするんだから!



 そう心の中で決意し、授業に集中することにした。




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