第14話 白火の事
白火の火ってなんで、白なんだろう?
前から少し気になってたから聞けるのちょっと嬉しい。
「オレの一族…狐の妖怪は火の妖術を使うんだ。生まれた時に妖気の流れで火の色が分かる。そんでオレは白なんだよ」
「へぇー妖気とかってもので火の色が分かるんだ!妖気って?」
「妖怪の気配や強さとか見てえなもんだぜ」
「すっごい!!」
目を輝かせながら話を聞く。
「それで火の色が白なんだね!妖怪ってどうやって生まれるの?」
「まあな。妖怪によって違うからな…オレは母ちゃんから」
「えっ、白火ってお母さんいたの!?」
白火はほんの一瞬寂しい顔をしたが、すぐにいつものように振る舞う。
「…今はどこにいるか知らねぇけどな。オレは母ちゃんの腹から生まれたんだぜ」
「へぇー!そうなんだ!お父さんもいるの?白火のお母さんってどんな人?あっ人じゃなくて妖怪か!…今はどうしてるの?」
暫く黙っていたが、少しずつ話し出す。
「…親父はいるぜ。母ちゃんは家を出てった…
オレのせいで。優しくて心配性な性格だった」
「え…なんで?どうして…」
──白火のお母さん、なんで出て行ったの…?
それに白火のせいってどういうことなの?
「ねぇ…なんでなの?白火のせいって何かしたの?」
「…言いたくねぇよ。少しは春子の記憶で思い出せ!」
強めの声で言ったため、それ以上は聞けない雰囲気だった。
「…ごめんね、白火。前世の事もまだ思い出せないから無神経に聞いちゃってごめんなさい」
「…悪りぃ、気にすんな」
──まだ、白火と出逢って全然知らないことだらけなんだ。前世の記憶だってまだ分からないことだらけだけど、全部思い出せるのかな…。
「そんな顔すんなよ。さくらは家族と仲良いんだな」
「そうかな?普通だと思うよ」
「兄弟とかいないのか?」
「1人っ子だからいないよ。兄弟とかっていたら憧れるの!白火はいるの?」
「…いる」
嫌な顔をしながら、低めの声で答える。
「いいなー!何人兄弟なの?」
「5人きょうだいで、兄貴と姉貴が2人ずついる。オレは1番下だ」
「えっと、お兄さんが2人でお姉さんも2人ってこと?白火が末っ子なんだ!」
「そーだぜ」
(5人きょうだいかいいな!なんか楽しそう!)
「きょうだいって羨ましいな!」
「…そういいもんじゃねぇよ。きょうだいが仲良しなんて思うな」
「だって一緒に遊んでおやつ食べたりとかって憧れるんだもん!喧嘩とか嫌だけど、仲直りできたらいいし!」
「そうだったらどんなに良かったか…」
聞こえないようにポツリと呟く。
「なんか言った?」
「なんでもねぇよ。時間遅いしもう寝ろよ」
「えー!まだ話したい!」
一応スマホでチラッと時間を確認する。
「…わあ!もう11時過ぎてる!」
「また寝坊するの嫌だぜ」
「分かってるよー!おやすみ、白火!」
「ああ、おやすみ」
慌ただしくベッドに入り、白火は子狐に化け、勉強机にあるバスケットに入って寝る。
もう!一言余計なんだから!!白火の事少し知れて良かったかも!でも、少し寂しい顔してたような…あんまり家族の事言いたくないのかな?
ちょっと無神経だったかも、私。
明日は白火との作戦あるだから、頑張ってみよう!
明日の事を考え、さくらは眠りついた。
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