第3話 春子の願い


 ここは夢…?


 あっ!夢の女の人がいる!


 あの人よく出てくるんだよね、ずっと知りたかったし、聞いてみようかな。



 ──桜の木の下に1人の巫女がいた。


 両方の短い髪に赤い髪紐をつけ、長い髪を後ろに結っている。左側にはさくらと同じ桃色の髪紐をつけ、桃色の目に悲しそうな顔をした小柄な女性だ。


 その人は口を開き、伝える。


「…さくら、お願いがあります。あの神社へ行ってください。が待ってます。私は春子はるこ。貴方の前世です」

「…えええっ!!な、なんで私の名前知ってるんですか!?あの、神社とか彼って…?それに春子さんは私の前世の人何ですか!?」


 夢の女の人─春子さんは私にそう言った。


 自分からは言ってないのになんで名前知っているの!?


 ──それに、春子さんが私の前世!?

春子さん、美人で綺麗だし優しそうな人だから私と似てないし…あっ髪と目は同じ!私も大人になったらきっと似るはずだよね!!たぶん!


 それと、私と同じ髪紐つけてる。

この髪紐私のおばあちゃんの形見なんだよね。

何か関係があるのかな?…っていきなりそんな事に言われても信じられないよー!!


 神社って何のこと?彼って誰!?なんで行かないといけないの?分かんないことだらけで頭の中がぐるぐるする…


 「ごめんなさい、急に色々言ってしまって…もうあまり時間がないのです。彼に会えば分かります。お願いです、彼が待つ神社に行ってください

──白火との約束を思い出してください」


 (約束って春子さんが言ってたことだ!)

 

「あの、約束ってなんですか?それに彼って…?

春子さんと一緒にいた子は誰なんですか!?」

「…すぐに分かりますよ。そして、あの事も…」

「待ってください!まだ聞きたいことが…!!」 

 


 ──────リン。

 鈴の音がして夢はそこで途切れた。

 

 夢の女の人、春子さんっていうんだ。私の前世の人らしいけどまだ信じられない。 

春子さんの言ったことよく分かんないし…

 

 「あれ?なんで鈴の音がしたの?」 


 鈴がなった音の方を見ると、勉強机の方に置いてある木箱の方から鳴っていた。 


 「まっまさか、あの木箱から?」


 怖いけど、知りたい。

 あの木箱には祖母の形見である数珠が入ってる。


 恐る恐る箱を開け中身を見る。 


「えい!…やっぱり数珠しか入ってない。変なの」 

 

 中には桃色の数珠あり、手に取る。

 

「綺麗な色!おばあちゃんの形見だし、大事にしたかったからちょっとしか見なかったけど、懐かしい感じがする…この数珠、鈴がついてる!

もしかして、この鈴から?まさかね…」


 おばあちゃんが、私にくれた数珠。

1ヶ月くらい前に亡くなってしまい、悲しくて思  い出すのが辛かったからそのままにしていた。

夢を見るようになったのも確かこの時期くらいからだ。

そういえば、春子さんも同じ数珠つけていたような…やっぱり何か関係あるのかな?


 「試しにつけてみようかな!いいよね、おばあちゃん」


 左腕にはめてみる。サイズがピッタリ!


 ─────リン。

 再び数珠についてる鈴が鳴る。


「ええっ!?また、鳴った?」

 

 腕をブンブン振り、外そうとする。


「なんで勝手に鳴るの?どーなってるの?怖いよ!!」


 外そうとした時、鈴の音と共に記憶が流れ出してくる。

約束──神社──春子さんが言っていた彼の事

断片的ではあるが、少しずつ思い出されていく。


 「…行かなきゃ」


 

 ううん、絶対行かなくちゃそんな予感がする。


 あの子のこと─春子さんが言っていた「彼」 の事ちょっとだけど思い出した。

 繰り返し見ていた夢の事ずっと知りたかった。


 

 私は数珠をつけたまま、家を出て神社へと向かった。 

  

 

 

 

 

  

 

 

 









  

 

 

 






 





 



 




  








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