第2話 現代へ─始まり─

 ──貴方と必ずまたいにいきます。


 夢で見た女の人はそう言って、誰かとゆびきりしている夢を繰り返し見る。

 

 その人こと知らないのに、凄く懐かしく思うのはなんでだろう…?


「約束」って何?

女の人と一緒にいた子は誰なの──?




 「…くら、…さくら!!いい加減起きなさい!遅刻するわよ!!」


 スマホのアラームとお母さんの声で目が覚める。

 

「…またあの夢…」

「何、寝ぼけてるのさくら!遅刻するから急ぎなさい!!」


 うるさく鳴っているスマホに目を向けると時間は8時45分と表示されていた。

 

「えっ?わあああっ!?もう、こんな時間!

お母さん、何でこんな時間に起こすの!!」

「何度も起こしても起きなかったのはさくらでしょ!!…全く、中学生になったんだから少しは自分で起きてほしいわ!」 

「ご、ごめんなさい…」


 お母さんが部屋を出ていった後、私は制服のセーラー服に腕を通し急いで着替える。

中学生になったばかりだけど、早起き苦手なんだよね…急がないとまた遅刻で先生に怒られる!


 洗面台に行き、茶色の短い髪をとかし左側に桃色の髪紐をつける。

この髪紐、おばあちゃんの形見だからつけておきたいんだよね。それに可愛い色だし!


「いってきまーす!!」


 お母さんに声かけ、身支度を終えた私は急いで学校に向かった。


   


 ──学校に着いた私は遅刻したことで先生にこっぴどく叱れた。

先生、そんなに怒らなくてもいいじゃない!

…遅刻した、私が悪いけど!


 朝は怒られたし午後の授業眠くなるな…

あーあ、6時間目の授業早く終わらないかな~

よりよって1番苦手な数学だしつまんなーい!!


 退屈な授業を聞きながら、窓辺の方に目を移す。

校庭にある桜の木を見てふと夢の事を思い出す。 

      

 ──夢で女の人確か、約束?とか言っていたけど何のことかな?

それに誰かいたような気がしたんだよね。

小さい子で名前がえっと…もう少しで思い出せそう!!



「…新山にいやま、新山さくら!!」

「はっはい!?」


 驚いて見ると先生がいた。


「授業中だぞ!!ここの問題、分かるのか?」 

「…えっと、分かりません…」


「中学1年にもなって、授業もろくに聞かず、朝は遅刻ばかりで呆れるぞ!!放課後、職員室に来るように!」 

「…はい、すみません」


 先生に怒られ、クラスじゅうに笑い声が響く。

もう!本当今日はついてない!!私のせいだけど、恥ずかしいし早く帰りたいよ!!



 放課後、職員室で私は散々叱られた。先生のお説教長いんだから…帰ってふて寝してやるもん!! 



 家に帰った私は自分の部屋に制服のままベッドにダイブした。

お母さんが仕事で帰ってるまで時間があるからそれまで寝てよう!



 だんだんとうとうとしてくる。寝たら夢のこと分かるかな?気になるし、知りたい。

あの人は私に何か伝えたいのか──








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