ep.15 爆酸!!

 「ハァ…ハァ…

ひどい目に遭った…

なんとか助かったけど…」

御子は、エクスプロージングアントの蟻酸にやられながらも、命からがら逃げ出してきた。


「誰が逃げてきていいっつったよ?」

「君は!!」

目の前に、藜崋とその取り巻きの二人が立っていた。


「ちゃんとやってくれてるか、見張ってみたらこのザマかよ?使えねえ野郎共だぜ」

「だ、だって…」

「あぁ言い訳はいらねぇよ

テメェは死んでもらうだけだからなァ!!」


藜崋はコブラ型クリーチャーガンを御子の顔面の手前に向けた。

そのまま引き金を引き、文字通り毒牙にかけて御子を殺害した。

御子が手にしていたアマルガは、蟻酸によって腐り果てた。


「しかしすげーな、そのクリーチャーガンってやつ」

「ウチも欲しーい!」

エミと琴音が、藜崋に群がりながら言う。


「やめとけ

お前らが持ったら、すぐ死ぬぞ

ンなことよりも、試験近いんだからさ、帰って勉強しようぜ?」

と、藜崋は返す。

「そうだね、って真面目か、藜崋」

「うるせえよ、教えてやんねえぞ数学」

「やだー!教えてー!」

転がる御子の死体を放置し、三人は去っていった。



 「喰らえぇぇぇぇぇッ!!」

仁子はライオンによる砲撃を、エクスプロージングアントを持った舞に放つが、尽く防がれる。

「ンナモン効かねぇンだよッ!!」


「あの攻撃…スパイダーのものに似てる

やっぱり…」

と、美久は勘繰る。


「相手が何だろうが私は退かない

私は

全てのクリーチャーガンを!

倒すんだああああああああああああああッ!!!!」

仁子は最大限の出力を込めた弾を放とうとする。


だがその時!


「私の妹に手を出さないで!!」

藍が仁子の腕を押さえた。

仁子の攻撃は標的を外れて思わぬ方向へ向かい、壁を破壊した。


「何をする!離せ!」

仁子はもがきながら言う。


「何してやがんだ?お姉ぇ!?」

舞も、困惑した様子で言う。

「とにかく、まずはここから逃げましょう!

私はそのためにここに来たの!

あなたの居場所なら、外にきっとあるわ!」

藍はこう言い放った。


「お姉ぇ…本当だろうな!?」

「約束するわ

絶対にあなたの居場所、見つけてあげる」

「…面白ぇ

そこまで言うなら、従ってやるか

てめぇらはいつかぶっ潰すからな!楽しみにしてろ!!」

舞は追撃しながら、藍と共に去った。


「クソッ!逃げられた!」

二人は彼女らを捉えるのも叶わなかった。


その後、二人は施設を後にしながら話し合う。

「あの様子じゃ、特殊部隊の方々による追跡も難しそうですし、とにかくあんなのを野放しにするなんてどれほど危険か…」

「それもそうだが、問題は…

今、テスト期間だってことだ

アイツのことを気にかけてりゃ、勉強してる暇もない」

「あれ?

仁子さん、テストなんて余裕じゃなかったんですか?」

「なんだよその口ぶり?

私が勉強できないなんて思ってるのか?」

「52点」

「なッ…それは!」

「1年生のときの学年末試験のときの理系科目の合計点ですよね」

「そ、それはな…

手強いクリーチャーガンを倒すためのプランを考えてて、そのせいで勉強に集中できなかったんだ

だけどな!文系科目はまぁまぁよかったぞ!!」

「どうします?

今なら前日になって泣きつかずに済むんですよ?

私が教えてあげましょうか?」

「私は一人でいい!

それよりも四乃や壱のこと教えてた方がいいんじゃないのか!?」



 「へくしゅん!!

…誰かウチの事話してんのかな?」

二人の女子生徒を乗せたスケボーが、風を切って疾走する。


「まああの学力だしな、一人や二人そういう噂話するだろうなー」

「ひどいよそれー、どういうことだよー!」

「まあまあ

それよりも、仁子達結局戻ってこなかったな

何があったんだろ?

…とりあえず今の所は、自分の力で頑張るしかないみたいだな」

「ちょっと皐っち!ウチの家過ぎてる!!」

「あ、すまんすまん」



 この日の夜、壱の家にて。

「奈緒、お前には私の奴隷として、私に勉強を教えるという義務がある

さぁ、早く教えろ」

と、壱は奈緒に命令している。

「とても教えてもらう側の態度とは思えないわ

というか全部ダメダメすぎて、何から教えればいいか分からないわ」

「何でもいいよ〜

例えば、どの教科が一番苦手に見える〜?」

「まぁ全部だけど…

強いて言えば、数学かしら」


「ハァ〜〜〜〜〜〜〜!!!!

ホントに一番嫌な教科選ぶなよな〜!?」

壱は大きく溜息をついて言った。

この態度に奈緒が腹を立てないはずがない。


「ウッザ

帰っていいかしら?」

「お前が帰るのは勝手だがな」

奈緒が立ちあがろうとしたところを、壱が引き止める。

「あぁいいわよ

アンタにつきっきりでいるせいで、私の成績も下がってきちゃってるんだから」

「この試験は私の退学がかかってるんだぞ

金剛台から私がいなくなって、ひとりぼっちになってもいいのなら構わないがな」

「…ッ!

しょうがないわね!アンタのためよ!教えてやるわ!」

「それでいい」

奈緒は、仕方なく壱に勉強を教えることにした。


「…本当に合ってるのか?その数式」

「分かんないけど…合ってるわよ、多分!」

「えらく曖昧な答えだな

お前が合ってるって言うんなら、この通りに行くぞ!」

「何よ?何か違うと思うなら、自分で考えなさい!」

「お前って…

もしかして数学、苦手なのか?」

奈緒は、明後日の方向に目を逸らしながら黙り込む。



 そんなわけで、次の日。

「お願いします委員長、数学教えてください」

奈緒はこのクラスの学級委員長、色田 繭いろた まゆに土下座しながら頼み込む。

「なーははは!!この繭様にかかれば、そんなのお安い御用だわ!

しかしアンタみたいなヤツが、アタシに頼み事なんて珍しいじゃない?

いいわ、この繭様を頭から爪先まで敬うのよ!!」


奈緒としては、関わるのを避けてきたこの委員長だったが、思った以上の面倒な性格に頭を抱えた。

しかし、今回ばかりは仕方ないと、我慢することにした。


「何してるんだお前?」

壱が教室に入ってきて言った。


「壱!

アンタ、まだ寝てたんじゃ!?」

「私だってたまには自分で起きることもある、舐めてもらっちゃ困るな

それでお前、今日は起こしてくれないなって思ったら、こういうことだったのか?」

「もしかして今のやりとり全部見てた!?

ちょっと困るわよ!」

「困るのは私だ

苦手なことがあるんなら、教えといてくれればいいのにさ」


「アンタはこのクラスでも、それどころか学園内でも最底偏差値の月岡じゃない

乙女ヶ原もこんなヤツにくっついて、よくバカが移らないもんだわ」

見下した口調で言い放つ繭。

「ちょっと失礼ね!

この子だって落ちこぼれでどうしようもないけど、ちゃんとやる時はやるんだから!」

奈緒は、つい勢いでこう言ってしまったが、よく考えると、やる時にやった覚えなんてあまり無かった…と思い込んだ。


「だといいけど、アイツの成績不良は、アタシの委員長としての技量の無さが原因だって見られるのが嫌なのよねー

極力アイツには関わらないようにしてたけど、今回ばかりは仕方ないわ

何なら二人一緒に教えてあげてもらってもいいわ!

感謝なさい!なーははは!!」

繭は再度、高らかに笑い声を上げる。


壱はというと、「うへー」と露骨に嫌そうな顔をしていた。

「何だかめんどくさそうな女だなー…

奈緒より役に立つのかは別として」

「なんか言った?」

と、奈緒。

「気にするな、言ってたとすりゃその辺のモブの発言だ」


「「え!?」」

その辺にいたクラスメートの絢瀬&侑が反応した。


「そうと決まれば早速、今夜は勉強会を開くわ!

放課後になったら速攻アタシの家に集合よ!」

繭は声高に言う。

と同時にHR開始のチャイムが鳴る。

奈緒は無駄な口出しはせず、軽く礼だけしながら、自分の席に着いた。



 HRの時間。担任の百瀬ももせが、話をする。

「ついにテスト期間に入りましたね

近頃、クリーチャー何とかみたいなものを手にして暴れたりする生徒が増えてたりして、色々事件が起こったりしていますが、そんなこと気にしないできっちりと集中して勉強に励むようにしてください

そういえばつい先日あたり、クリーチャー何とかを手にして暴れた元C組の生徒が、施設から逃げ出したみたいですよ?

下校時はくれぐれも気をつけるようにしましょうね」


「なに、元C組の生徒が!?

これは嫌な予感が…」

「まさか、あの子が?」

何やら勘繰る壱。


「そこの二人、どうしたの?」

百瀬は、壱と奈緒の二人に話しかけた。

「え、いや、何でもないです」

「ならいいけど、月岡さんはともかく、乙女ヶ原さん、この前の数学のテストの成績酷かったんだから、今回は頑張るのよ?」

「は、はい…」



 一方、先日損害を被ったクリーチャーガン使用者更生施設にて。

「この部屋の87番が脱走した

お前達はくれぐれも、逃げ出したりすることが無いようにな!」

看守の一人が、元金剛台生徒二人がいる部屋に入ってきて言った。


「そんな、舞ちゃん

せっかくここでのゲーム仲間ができたと思ったのに…」

圭が俯きながら言う。

「あの子だって何か事情があったのかも

しょうがないよ

ずっと前から、ここから逃げ出したいと思ってたんだろうけど、タイミングが分からなくて逃げ出せずにいたんだろうね

…前の私みたいに」

そんな彼女を慰めるように、響が話しかけた。


「そうか、響ちゃんも、私みたいに苦しい思いしてたんだよね」

「もう過ぎた事だよ

私は自分を苦しめた奴を次々手にかけていった

仲間だと思ったけど、裏切ったアイツさえも

ただ、一番恨んでたたった一人の相手だけ手にかけられなかった

これでよかったって思うよ」


「そこまで復讐できたんだ

それに比べて私は…」

圭は、二つあるゲームのコントローラーの片方を手に取りながら語る。

「聞く気あるの?」

「どっちでも」


「…はぁ

まあこんな自分語り、アンタにとってはどうでもいいよね

でも言うよ

糸井綾、私の幼馴染だけど、あの子には酷いこと言っちゃったな

こんな重大な秘密を隠しておきながらね

今頃、私のことをどう思って過ごしてるんだろう」

「いいなあ

衝突できる友達も、裏切る仲間もいたなんて

私の周りは、いつも敵ばかりだった

どうしたらいいか分かんなくて、困ってた時、助けてあげるっていう人にあって、その人の言う通りにしてから、全てが変わったんだ

目の前が見えなくなって、手当たり次第にぶっ潰すようになっちゃって…」

圭はゲームの画面の中のキャラを操作しながら言う。

「でも、こんな私に手を差し伸べてくれた人が、一人いたんだ

D組の壱っていう人

その人が、私の心を開いてくれたんだ

舞ちゃんだって、壱みたいな人が助けてくれると思うんだ」


「そんな都合のいい話、あるものかね?」

「きっとあるよ

だって、この世界には、あの化け物をやっつけてくれる人たちがいるもん」

ゲームの画面では、圭の操作する自機が敵に囲まれる。その画面を響はじっと見つめる。

「これ貸して、私がやるよ」

響は、片方のコントローラーを手に取った。

「あ、やり方教えるね

ってうわあ!やられた!」

「よそ見しちゃ駄目でしょ」

「だって急に割り込んで来るから!」



 「委員長の部屋、ここで間違いないわよね」

壱を背負った奈緒が、足を運んだ学生寮の一室の扉の前に立つ。

「お邪魔するわ」

インターフォンを押した後、部屋の中に入った。


「お〜奇遇だねぇ〜!アンタ達も来たのかい?」

「ミーも失礼してるぞ!」

「って、何でアンタ達がいるのよ!!」


机を囲む繭達一同の中に見慣れた二人がいたことに、奈緒は思わず突っ込んだ。


「そりゃ、最初は美久っちに教えてもらおうと思ってたんだけど、どうやら忙しいみたいでさー」

「ミー達のクラスの委員長の椎名に教えてもらうことになったんだが、その椎名がこの色田って子と知り合いみたいでさ

それで一緒に勉強してるってわけ」

四乃と皐の二人は説明した。


「上の子が、クリハンの新入りの壱ちゃんだね?

うちのクラスの木田ちゃんと金居ちゃんがお世話になってるね〜♪

下の子は、知らないけど」

繭と一緒にいた生徒が言った。


「ちょっと、何よその扱い!」

「ふふ、冗談

あたしは、2年D組委員長の椎名ゆかり

よろしくね〜♪

いおたんとは、幼稚園の頃からの幼馴染なの」


「いおたん…?」

奈緒が頭を傾げる。


「ちょっと!人前ではそう呼ばないって約束でしょ!」

こう言いながら、繭はゆかりと名乗った生徒に訴えた。

「そんな約束したっけ〜?」

「も〜っ!><しーたんったら〜!」


「いいんちょー、しーたんなんて呼ばれてたんだー」

「まあねー」

四乃がゆかりに話しかけ、ゆかりは返した。


「と・に・か・くっ!

乙女ヶ原と月岡も来たわけなんだし、早く勉強を再開するわよ!!」

「そーだな、いおたん」

と、壱。

「いおたんって呼ぶなー!!」



 ある中学校の校庭に、死体の山が築かれる。

「腹減ったろう、食いなよ」

白いスーツのボーイッシュな人物、次藤 陽奈は話しかける。


「よくこんなに殺ったモンだぜ

スゲーな、てめぇもよォ」

残虐な性格のヤンキー風の女、物部 麻希ものべ まきが返した。


「避難訓練で生徒や教師達が出てきた所を、皆殺しにしてやったよ」

「今更あんなことなんかしてる場合かよ

災害よりも恐ろしい脅威が迫ってるってのによ」

「「ハッハッハッハッハッハ!!!!」」


「だがな、こんなんいただけねぇよ

殺して放置なんかし続けてたら、腐って味が無くなっちまうだろ?」

「ハハハ、やっぱりわがままだねェ〜キミ

でもこれはわざとじゃないよ

キミがどんな反応するか、見てみたかったんだ

キミの手にした『ティランノ』はもはや体の一部、ソイツの喰った栄養はキミの栄養同然だからねェ」

「てめェ〜〜〜、オレを玩具おもちゃにしてやがんのか!?」


「ねえ二人!!茶番はもういい!

何のためにアタイをここに連れてきたわけ!?」

「やべっ!!」

その場にいたもう一人、ゴスロリファッションに身を包んだ少女、辺滝 樹里へんたき じゅりが言った。


「いやァ〜失礼失礼

ボクとしたことが、短気な子羊ちゃんを不快にさせてしまったねぇ〜

まぁ、ボクは謝らないけどね

…さて本題に入るとしよう

ボクは先日、研究の一環として、銃に寄生された経験のある人間に別の銃を与えたんだ

そしたらどうなったと思う?」


「どうなったわけ?」

樹里が言う。


「以前寄生された銃の毒素が体に残っていたことで、新しい銃に前の銃の能力が付加されて強化したのさ!!」


「なんだそりゃ?よくわかんねぇな?」

「いつものことね

全く持って理解できない研究を続けるなんて」


「…まァ、キミたちがこういう反応をするのも想定内さ

なら実際に見てみたときに、驚かないことだね

ボクは彼らのことを、『オーヴァーラップ』と呼ぶことにするよ

複数の能力が合わさったものという意味を込めてね」


「オーヴァーラップだか何か知らねぇが、そんな強化したって、オレらにとっちゃ雑魚に変わりねぇよ」

と、麻希が言い放った。

「ハハハ、相変わらずキミは身も蓋も無いこと言うねェ

だが、標的次第では、ボクらを超える者が現れる可能性が無いわけでもないさ」


「ところで陽奈、例の計画は進んでるの?」

と、樹里が訊いた。

「あの計画のことかい?

もちろん、順調さ

やっぱりあの学園は、狙い甲斐があるったらこの上ないよ

問題があるとすれば、アイツが足を引っ張ってくれないことかね…」


「そう

手際の悪い彼女と違って、アンタは期待できるわ」

「おい辺滝!

下手なこと言うな、いずれ消されるぞ」

「ハハハ

まあいいじゃないか

樹里クンのそういう姿勢、嫌いじゃないよ」




 「藜崋、勉強できるなんて意外」

「しかもめっちゃ分かりやすい!」


藜崋の家にて、琴音とエミが藜崋に勉強を教えてもらっていた。


「世辞言うんじゃねぇよエミ

そりゃアタシだって、人並みにゃできるってこったよ

自分で言うのも何だけど、昔はよくテストで一番になったモンだ

でもこうやって真面目でいるのが馬鹿馬鹿しくなってな

ま、あの頃から弱いヤツが嫌いなのは、根本的に変わってねぇのかもな」


「へー、藜崋も、好きでイジメっ子やってる訳じゃないんだね」

「ンなこたあいいから、テメエらは勉強に集中しとけよ、赤点取っちまうぞ?

わかんねー所はどんどん聞けや、時間ならいくらでもあるからな

…おいエミ」

「えっ?」

「どんだけ間違えてんだよ、さっき教えたばっかだろうが」

「ご、ごめん」

「ったくよォ

あのクズとちげえんだから、ちゃんと覚えろよな」



 そんなこんなで夜遅くなった頃、エミは自宅へ向かう。

「流石に遅くなっちゃったな〜

藜崋もしつこいからね…」

真っ暗な路地を、点々と照らす街灯の明かりを頼りに歩く。

そのとき、奴は現れた。


「グヘヘへへへ…

今日の餌食は、テメエか」

舞が、街灯の明かりに照らされながら、エクスプロージングアントを手に歩み寄る。

「な、何なのこいつ!?」


「危ない、ここから逃げろ!」

エミの前に、壱が現れた。

「わ、分かった!」

エミはこう返し、逃げていった。


「何事かと思って駆けつけてみたら、お前だったか

どうやら施設から逃げてきたみたいだな」

「久しぶりじゃねえかテメエ

まあコイツにとっちゃ、初めましてかナ?」

エクスプロージングアントを壱に見せつけながら言う舞。

「何だそれは?」


「壱!気をつけろ!彼女は以前と違う!!」

駆けつけてきた仁子が叫んだ。


「ヘッ、以前アタシに醜態を晒させてくれた奴と再会できて、幸運だぜ。後ろの女ごと、グチャグチャにしてやる!!!」

舞が攻撃を放つ。


「下がれ!!」

仁子の指示を聞いた壱は、後ろに下がった。

爆発したエクスプロージングアントの弾から飛び散った蟻酸が、周りの物体を溶かしていく。


「よく分からんがこれだけは言える

めんどくさい!」

壱は、バクを手に取り、攻撃した。


「壱さん!無闇に攻撃を放ってはいけません!」

仁子と同じ頃に駆けつけた美久が言った。

「うるさい!前と同じ様に、仕留めてやる!」

壱は幻影による分身を、舞に見せつけた。


「ヘッ、同じ手は食わねぇよ!」

舞は分身に攻撃し、それらを掻き消した。


「確かに違う…

ならば、一気に決めるまで!」

「よし壱、力を貸すぞ!」

仁子が、ライオンを構えながら言った。

「標的なら見極めてる!」

「私と息を合わせろ!気を緩めるな!」

二人はそれぞれの銃口をエクスプロージングアントに向ける。


「「喰らえッッッ!!!!」」

二人が引き金を同時に引くと、巨大な獅子の幻影が現れ、爪を立てて突進してきた。


「無駄だっつってんだろうがよォ!」

舞は弾丸を放ち、攻撃を掻き消そうとする。

だが放たれた爆風と共に獅子の幻影が消え、舞の目の前に再度現れた。


「なにッ!?」

舞は驚く。


「すごい、攻撃をすり抜けるなんて!」

美久は感心する。


が、その時。


舞の前に何者かが現れ、翼のようなバリアーで攻撃を防いだ。

そこに立っていたのは、次藤陽奈だった。


「誰だお前は?

何で私達の邪魔をした!?」

と、仁子。


「そっちこそ、邪魔しないでもらえるかナ?

ボクの大事な実験体に、手を出すな

…っと、おやおや?

懐かしい気がする顔が、混じってるじゃァないか?」


「お前達、アイツのこと知ってるのか?」

壱は二人に訊いた?

「いや全然知らん、初対面だし」

「知るわけないじゃないですか」


「キミのことだよ!そこのちっこいの!!」

陽奈は、壱を指さして言った。

「なっ…!?」

動揺する壱。


「まァ、それは置いといて

どうやらキミたちが、クリーチャーガンの侵攻を邪魔する厄介な組織、クリーチャーガンハンターのようだね?

ここで何も言わないのもなんだから、ボクから挨拶しておくよ

ボクはNONAノナ FANGSファングスの一員

次藤陽奈さ」


「NONA FANGS…!?」

壱は、何故に動揺を隠せないままでいた…



To be continued…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る