ep.6 疑惑!?

 「あなたが憎い…死んでくれ」

『タイプアクア0071:アーチャーフィッシュ』を手にした生徒が、他の生徒の命を狙っていた。


照準が定められ、銃弾が放たれる。


「ッ…!?」

しかしその銃弾は、どこからか伸びてきたオラングタンの腕が受け止めた。


「残念だったな!」

「へっへーん!」


生徒の後ろに、仁子と四乃の二人が立っていた。


「この、よくも私の邪魔をッ!!」


「お前の思い通りにはさせない、覚悟しろッ!!」

仁子はライオンを取り出し、戦闘準備状態にした。


アーチャーフィッシュから放たれる攻撃を、仁子は躱しながら応戦する。


「射程距離は長いが、その分連射に向いてないか

なら楽勝だ

四乃!!」

「ほいさ!」

攻撃の隙を見つけた仁子は自分の体を四乃のオラングタンに掴ませ、上空へ投げ上げさせた。


「なっ…!?」

「喰らえッ!!」

生徒の頭上に浮いた状態で、アーチャーフィッシュを狙い撃って撃破した。

アーチャーフィッシュを撃破された生徒は、気絶して倒れた。


仁子は、倒れた生徒のポケットから生徒証を取り出し、身元を確認した。

「2年G組の猪口いのぐち

通報の限りでは殺人未遂、通常通りの生活に戻して問題は無さそうだな」


 その後日の朝、クリーチャーガンハンターの面々は拠点の教室に集まっていた。

「この数週間でもクリーチャーガンの目撃情報は多数、私達も休む暇はありませんね

大きい事件は無いのが幸いです」

サブリーダーの美久が言う。


「ましてや、皐がこの前の戦いで全治1ヶ月の大怪我ときた

壱が新メンバーに加わったといえど、この状況は厳しいな〜…」

続いて、仁子が言った。


「…それはそうと、今日、朝会じゃないですか

そろそろ始まるから、急がないと!」

「マジかー!

かいちょーの話聞くの、めんどくさいなー…」

と、四乃。


「おい、壱みたいなこと言うんじゃないぞ」

「ウチをアイツと一緒にするなー!」



 というわけで、朝会である。

何十人もの生徒たちが、かなりの大きさがある講堂に集まる。


最初に、生徒会長の或葉 鳴の話から始まった。

「近頃、生徒達の服装の乱れが目立ってきているわ

金剛台の生徒たるもの、しっかりと自覚を持って欲しいものね

それから、生徒証の持ち歩きは…」


「やっぱり会長の話は、長ったらしくて聞くのも大変だわ…

でも、ちゃんと聞かないと

壱は寝たりしてないかしら?」

奈緒は、壱の方に目をやった。

奈緒「よかった

ちゃんと聞いてるわね、偉いじゃない」


しかし、それはバクの能力によって奈緒たち周りの生徒に起きているように見せているだけで、壱はがっつり寝ている。


『(このための能力ではないのだがな…)』

バクすらも、この能力の使われ方に困惑していた。


「生徒会長3年の或葉さん、ありがとうございました

では、次は生徒会役員2年、岸間 美鈴がんま みすずさんからです」


「ゲッ、岸間…!」

美鈴と言う生徒会役員が壇上に上がった途端、仁子は嫌な表情をした。


美鈴はマイクを握り、話し始めた。

「金剛台女子生徒の皆様、ごきげんよう

生徒会2年の岸間 美鈴ですわ

近頃、この金剛台を中心に、クリーチャーガンなる兵器による事件が多発しているのが問題になっていますの

なぜこの辺でばかり、そういった事件が起こるのか?疑問には思いません?

この学校には、怪しい組織が暗躍しているのをご存知?

そう、クリーチャーガンハンターなる組織を!


彼女らは表向きはクリーチャーガンから生徒たちを守ると言って活動していますが、この学校で副作用も受けずにクリーチャーガンを扱えるのは彼女らのみ

そんな怪しい彼女らが、一連の黒幕である可能性は大いにありますわ


よって!わたくしはクリーチャーガンハンターの解散を、ここで呼びかけますわ!!」


「なっ!?」

「何だって!?」

美久と四乃は、この一言を聞き逃さなかった。


「以上

わたくしからはこれまでですわ」

美鈴はステージを降りていった。


「アイツ…冗談じゃない!!」

仁子は、彼女に怒りを滾らせていた。



 朝会後の2年A組で、仁子と美久は、美鈴に訴えかける。

美鈴は、彼女らのクラスメートでもあるのだ。


「オイ岸間!さっきの話、どういうことだよ!?」

「そうですよ!朝会でのあの発言、取り消してください!」


「あら、クラス委員長にして生徒会役員、そして世界的大企業岸間コーポレーションの娘であるこのわたくしにそんな口訊いていいんですの?」

「ぐっ…」

「貴方方が活動できているのも、生徒会の権限があってこそ

ならば、貴方方の活動を停止させるのも、生徒会役員であるわたくしの勝手ではなくて?

それに、貴方方がクリーチャーガンを渡しているという証拠は、既に出ていますのよ

では失礼」


「全く、何を言ってるんだ」

「訴えようとしただけ無駄だったようですね、行きましょう」

二人は、教室を出た。


「しかし、アイツが言ってた証拠ってのは何なんだ?」

「…!?」

美久は、あるものを見て驚いた。


「どうしたんだ?美久」

「仁子さん、これを見て!」

「なっ…?

どういう…ことだよ…!?」

掲示板に貼られた新聞部の記事。


そこには、『銃型の怪物を渡す者の正体が発覚!!』という見出しと、クリーチャーガンハンターのメンバーがクリーチャーガンを渡す写真が載っていた。


別の場所にも、この記事は貼られていて、吹奏楽部の奏と果林がこれを見ていた。


「嘘…あの人たちが…?」

「うぅ…頭が…」

「先輩!しっかりしてください!!」

頭痛を起こして倒れる果林に、奏が呼びかけた。


一方四乃のクラス、2年D組でも…

「木田ちゃ〜ん、遠山ちゃんが呼んでた〜」

委員長の椎名が四乃のことを呼ぶ。


「何だい?」

四乃は、コンピューター部員の遠山の前に来た。


「お前、クリハンのメンバーだったな

お前のせいで、真山先輩が…!」

「何の話だよ、ウチなんにも知らないよ!」

「とぼけるな!お前がやったんだろ!?」

遠山は、四乃に掴み掛かった。四乃も混乱している。



 1年D組にて。

「何だかいつも以上に騒がしいわね」

「そーだな、ワイワイガヤガヤと鬱陶しい」

壱と奈緒が話し合う。


「しかし、クリーチャーなんたらも解散するみたいね

勝負とかの件もあってどうなるかと思ったけど、無事に壱との日々が戻ってくるとなると…

嬉しいことこの上ないわ!」

「え?何だよそれ、初めて聞いたぞ」

「さっき朝会で言ってたでしょ!」


教室のドアが開き、ある生徒が入ってきた。


「あなた、クリーチャーガンハンターの月岡さんだよね?」

「誰だお前?」

「よくも、響ちゃんをあんな目に…!!」

その生徒は、先日事件に巻き込まれた後藤 響のクラスメート、1年C組の糸井 綾だった。


「言ってることがよく分からん

というか、お前は誰だと聞いてるんだ」

「私はC組の糸井!響ちゃんは私の友達だったのに…」


「響って、この前の吹奏楽部員の…

ちょっと待ってあなた、あの組織が何かしてたらしいってのは聞いたけど、少なくとも壱が悪いことするはずはないわ!」

「だって、今日新聞部が出した記事に、クリーチャーガンハンターのメンバーが生徒たちに銃を渡してるって!」

「新聞部ですって!?あの人たち、いつも嘘だらけの記事を書いてるじゃない!そんなの信じてどうするのよ!?」

「で、でも!」


「みんな!静かにして席についてー!HR始めるよ!」

D組の担任の百瀬ももせが入ってきた。


「今回のはいつもに増して質が悪いわ、抗議してこないと!」



 「全く散々だよ!こうなったのも全部あの新聞のせいだ!」

放課後、新聞部の部室を目指して廊下を突き進む四乃。

「ぬあっ!!」

四乃の顔面に何やら柔らかい物がぶつかった。前から歩いてきた奈緒の胸だ。

「どこ見てんだ…って、アンタ!?」

「四乃先輩!?」

四乃は、先輩でありながら壱と同じく小柄であり、奈緒とは身長も胸のサイズも対照的である。


「へぇ〜、アンタも新聞部に殴り込みってわけか」

「そうよ、壱があんな事するはずないもの」

「(ウチらならいいのか…)

よし、なら丁度いい

ウチを肩車していけ!」

「はぁ!?」

「この前イッチーを家に帰したのはウチだからねー、そのお返しだ

あと、個人的にその胸がムカつく!」

「それは関係ないでしょ!?」

「とにかくさっさと乗せろ!」

こう言われ、奈緒は渋々と四乃を自分の肩に乗せた。



 この時、生徒会室では。


「あんなに学校を騒がせるようになるとは、とうとう奴らも堕ちたものね

前から胡散臭い組織だと思ってたけど」

美鈴の話を受けて鳴は言い放つ。

「このまま放っておいていいの!?

あの子たち、今までこの学校の危機を何度も救ってきたんだよ!あんな事する人たちだとは思えないよ!」

この発言に、茜が抗議する。


「会長の言う通りですわ」


「岸間さん!?」

「あんな組織、さっさと潰せばよかったものを

新聞部の情報網はまさに偉大ですわ!あんな出鱈目な内容だというのに、生徒たちは皆真実かのように信じてしまうんですもの!」


「岸間さん、本当は何か知ってるんじゃない?」

「そんなことありませんわよ

とにかく、彼女らの存在はいずれ、学校全体を脅かす存在になるのは事実ですわ!」


「うぅむ…」

茜は、美鈴のことを怪訝な表情で見つめる。


「わたくしは一旦、お手洗いへ行って参りますわ」

こう言うと、美鈴は生徒会室を後にした。


「まぁ、風紀が守れるならどうだっていいわ」

と、鳴。


この一連のやりとりを聞いていた、2年B組の生徒会書記・双子の姉妹である串野 美優くしの みゆう、串野 丹優にゆうはパソコンを前に呟いた。

「この世界の情報は八割の嘘と二割の事実で出来ている…ってわけね」

「こんな調子で生徒たちを正しく導けると思ってるなんて…」

「会長、まだ甘いわ

尊敬できるに値するまでには」



 部室棟Aにある部室にて、新聞部員たちが話し合う。


「部長〜!今回もいい記事出来たんじゃないすか〜?

特に今回のは大反響っすよ〜!」

2年B組の新聞部員、増野 御子ますの みこが言う。


「そーかーそーかー!

やっぱり我等新聞部は、こうであるべきだぜ!」

と、部長である2年F組の出田 光でるた ひかる


「また嘘の記事書いちゃって…これでいいんですか?」

1年E組の部員、玉矢 小石たまや こいしは怯え気味に話す。


「この世のつまらない真実を伝えるより、嘘でもみんなを楽しくさせるようなことを伝える方がいいだろ?お前は何もわかってないぜ」

「でっでも…流石にもうみんな迷惑してるんじゃ…」


「君はいつもそう言うよね〜

いい子過ぎるんだよ君は

何のためにここにいるわけ?」

「それは…この新聞部の記事をもっといいものにしたいから!」

御子に訊かれ、思わず小石はこう返す。


「その意気だよ小石!これからも協力よろしくだぜ!」

光が話しかけた。


「は…はいっ!

(…なーんてね♪

ホントはあの写真、私が撮ったものなんだ

この新しく貰ったカメラでね)」

小石の手には、普通とは異なった見た目をしたカメラが握られていた。


そこに。

「失礼するわ!」

「失礼するよ!」

奈緒と四乃が入ってきた。


「いつも嘘だらけの記事ばっか書いて…

いつか訴えようと思ってたけど、今回ばかりは許さないわ!」


「なーんだ、クレーマーか

つまんないな

お前たちに用はないから出てってくれ」

光はふんぞり返りながら言う。


「ふざけるな!アンタらが作った記事のせいでウチらは迷惑かかってるんだよ!

今までの行いを全て白状しろ!さもなくば、副会長に言って廃部にしてもらう!」

四乃が言い放つ。


「廃部にするだって?フフ…

冗談だろ?

ここに全員はいないが部員数は5人で人数制限はクリアしてるし、行事関連のトピックは毎回大好評、漫研の恵恋えれんによる連載漫画も大人気だ

生徒たちはみんなこの新聞を欲しているんだよ」

と、光が語った。


「くっ…

ならばあの写真を提供した奴を出せ!

ウチらがあんなことするワケないもん!

ソイツに聞き込んで、ウチらの無実を証明する!」

「あの写真が作り物?その証拠が何処にあるんだぜ?」


「「呼ばれて参上!我等探偵部!!」」

突然窓が開き、探偵部の二人が入ってきた。


「別に誰も呼んでないわよ…」

「二人ともいたんだ!」


「何だお前ら!」

光が驚きながら言う。

「今までの話は全部聞かせて貰った!事件の匂いがするねぇ…」

と、果那。


「あの新聞に使われた写真を解析してもらった

するとこんなことが分かったんだ

この写真の色彩は、この世に出ている全てのカメラのどれとも一致しないということがね!」

「この学校の中でカメラを持ってるのは、ひなたの他に写真部しか居ないにゃ

なんで写真部に頼まなかったにゃ?」


ひなたが訊くと、御子が答えた。

「それはね〜、小石が新しいカメラを手に入れたって言うから、そいつに頼んで写真を撮ってきて貰ったら、あんな面白いものが撮れたんだ〜!」


「そうだ!その小石って奴が怪しい!

…あれ?ここにいた奴何処に行った?」

「おそらく逃げたんだわ。追いかけましょ、四乃先輩!」

「よし、ここにはもう用はない!またね!」

二人は、教室を後にした。


「おう!またな!」

「次も任せるにゃ!!」

探偵部の二人は彼女らを見送った。


「犯人はアイツで確定、ってことだな」

果那は、光を睨みながら言う。

「まさか小石が怪しいって言うのか?そんなハズはないぜ!」



 仁子は困った様子で、拠点の椅子に座っていた。

「全く困ったものだ、これじゃろくに活動も出来ないじゃないか!」


そこに、壱が入ってきた。

「あ、壱さん!

どうしたんですか?」

「なんか猫耳の変な奴からこんな写真を貰ったんだが」

「これがどうしたっていうんだ?」

「そんなこと私が知る事じゃない

どうやら彼女が怪しいって事だ」


壱が持っていた写真には、あのカメラを持った生徒の後ろ姿が写っている。


「怪しいって、ただのカメラを持ってる生徒じゃないか?」

仁子がこう言った直後、彼女のスマートフォンに通知が来た。


「四乃からか

何?すぐに校舎裏に来いだって?

よし!美久、壱、行くぞ!!」

「はい!」

「仕方ねぇ、行くか…」



 校舎裏にて、奈緒と四乃は小石の姿を見つけ、植え込みの影に隠れていた。

「何か撮ってるみたいね」

「あそこ、特に何もないんだけど…

ますます怪しさ倍増だねぇ〜…」


「この近くに、奴がいるってことか」

そこに、一同は合流した。

「みんな!」


「あの人!写真と同じ人です!」

「本当にあの生徒が、犯人だというのか?」

「ああ、ハテナっちが言ってたからね」

「あんなヤツ当てにならんよ…」


「いや、匂うぞ…

あれは間違いなくクリーチャーガンだ」

と、壱。

「何を言ってる?」


「ハテナっちが言うには、あのカメラに仕掛けがあるみたいだから…

もしかして、クリーチャーガンがカメラの形に姿を変えてるとか…?」

「四乃…お前もバカげたことを…」


「前にも、茶釜への変形能力があるタヌキ型クリーチャーガンを手にした生徒と戦ったことがありましたよね?

だとしたら、可能性はあります!」

美久が、四乃の発言に同調して言う。


「よし、私が行こう!」

壱が、飛び出してきて言った。

「おい壱!」


「離れるのはアレだけど…

あんなに頼もしい壱も、悪くないわね…」

「ウチの頭に胸乗せるな!」


壱は、小石の背後に詰め寄り、話しかけた。

「オイお前

ここで何してんだ?」

「うわわわっ!!み、み、み、見てたの!?」

小石は狼狽えながら言う。


「そのカメラを見せろ」

「あ、ああの、これは…」

「見せるだけの事も出来ないのか?ならばこうだ!」


こう言うと、壱は突然バクによる攻撃を放った。


「大胆だなー、イッチー」

四乃が言った。


「フッ

やはりそうか

お前を尾行しておいて正解だったようだな

さあ、正体を表せクリーチャーガン!!」


「え、えっとね…

私いい子だから、正直に言うね

あの写真を撮ったのは私なの

このトータスの力でね、あなたたちがクリーチャーガンを渡してるっていう嘘の写真を念写したんだ

それでね、あなたたちの信頼を無くそうっていう寸法だったんだ」

と、小石は語る。


「そうだったのか

ここまで正直に話してくれるとは私も意外だ」

「でも、気づかれちゃったなら仕方ないなぁ…

こうなったら…

あなたたちの命を奪うだけだけど?」


小石の表情が変わる。

すると、彼女が持っていたカメラが変形を始め、亀を悍ましく歪ませたような外見の大砲に姿を変えた。


これが、小石が手にした『タイプレプタイル0010:トータス』の全貌だ。


「カメラだけにカメ…ダジャレみたいだね」

「ボケてるヒマないぞ四乃」


「亀型か、あんなトロい奴なら楽勝だ

あれに負けるなんて、競争中に居眠りする兎くらいのもんだろ」

壱は得意気に言い放ち、戦闘への体制を整える。


「(アンタもいつも寝てるでしょ…)」

奈緒は呆れていた。


「よし、壱

お前の力、見せてもらうぞ」

仁子が言った。


「私が相手だッ

お前を弄り倒して、出ないようにしてやる!」


この発言によって、顔を赤らめる奈緒。

「多分弾のことだと思います」

美久が突っ込んだ。


壱は攻撃を次から次へと放つが、どれもトータスの甲羅で防がれてしまう。

「ごめんね…全部弾いちゃうから」

「意外と硬い…

そして、でかい…」


奈緒の顔は赤面を通り越し、湯気が出る。

「いや、あの銃のことですから」

再度突っ込む美久。


「申し訳ないけど…こっちから攻撃しちゃうね」

トータスの銃口に、エネルギーが充填され、即座に太く短い光線となって射出された。

「うわぁ!!」

光線が地面に当たると、そこから爆風が上がった。

それによって壱はダメージを受けた。


「何をしてる壱!気を抜くな!」

「仁子!」


そんな攻撃を断続的に続ける小石。

壱一人では、これに応戦するのが精一杯だった。


「ハァ…ハァ…もう少し優しくして…

私もう無理…」

「これより優しくすることできないの、ごめん

さっさと当たってくれたら止めるけどね!」

「んああああぁぁぁぁ!!!!」


「ヴッ!!ゥゥゥゥゥ//////!!!」

この時の壱の声がエロく聞こえたため、奈緒は鼻血を噴き出し、気絶した。


「なぜ鼻血を流すんですか」


「もう見てられん!ウチに任せな!」

四乃が飛び出し、オラングタンの腕を伸ばした。トータスの光線を避けつつ、その腕は小石の体を掴んだ。


「うわっ!?」

「おりゃぁぁぁぁぁぁあッ!!!」

そのまま、勢いをつけて体を捻るようにして投げ飛ばす。小石は背中から地面に叩きつけられた。


「おりゃッ!おりゃッ!」

四乃は、オラングタンで小石の体をトータスごと掴んでは、地面に壁に投げつけるのを繰り返す。


「どうだ?これでまいったか?」

「なかなかやる…

だったら私の本気、見せてやるんだから!!」


小石は甲羅の中に包まれ、回転しながら突進した。


「やばい!!」


To be continued…

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