第三話 弟子と師

        

        "ワウッ"


 安心するのは早い。生死を確認しないと...コアを潰しているな。


 核は心臓の様な物だから、確実に死んだか。


 「倒したのね!やっと安心して移動出来るわ。」


 

 「あぁ、向かおう。」


        

         ✴︎✴︎✴︎


翌日


   「着いたわ、在宅かしら?」

 

  

    "コン  コン  コン"



 「国王の紹介で来た者だ。開けてくれ!」



 「に用ですか?」



 顔半分に仮面? それより...


 

 「何人居る?」



 「僕と師匠の二人です。」



 「紹介状に記載は...」



 「無いわ、住所と多属性魔法使いって情報だけよ。」


   

    《誰が紹介された人?》



 「多分師匠だと思いますが、会ってみます?」



 「あぁ、二人と話して判断する。」



     「中へどうぞ。」



        "ワゥ〜"


 

 ちなみにオレは、本物を知っている。一方偽物は魔族で、誤って選ぶとバッドエンドだ。


 前回は魔族自ら正体を明かしたが、今回はどう伝える?


 

        ✴︎✴︎✴︎

 


    「リュカ、客人かい?」


 

 「はい 師匠。多属性魔法使いを探してる様ですが、僕達...」



 「そうさね。二人とも、多属性魔法使いさ。リュカが地 水 風で、あたしはそれに加え、火が扱えるよ。


 だから恐らく、あたしが探し人さ。」


       《えぇっ?》


 「三属性も凄いけど、基本四属性全て?次元が違うわ。」


 「セリーヌも凄いよ。貴族と血縁無しで魔法が使える事はまれだし、聖属性は更に貴重だ。」


 「そうよね?聖属性が使えるんだもの。属性の多さとは別の価値があるわ。」


 「言う通りさね、何方どちらも貴重だよ。」


 

 「所で、誰から話します?」


 

 「う〜ん 先に君と話したい。師匠の人柄は大体分かったし。」


 

 色香に惑わされないか。オレは引っ掛かったからな、反省...


        ✴︎✴︎✴︎


   「はい、何から...」


 「嫌なら言わなくて良いけど、顔の仮面は何だ?」


 「...魔物からの傷を隠す物です。」


 「傷痕に残滓ざんしが残って、変色しているの?」


 「はい うちが辺境の子爵家で、神官の到着に時間が掛かり、命は取り留めたものの、完治出来ず...」


 「成程なるほどね。私なら力になれるわ。」


 「セリーヌ!本当か?」


 「傷痕は消せないけど、変色は浄化出来るから。」


 「お願いします。これの所為せいで、気味悪がられて、辛かったんだ...

 

 家から追い出されて転々としたけど、皆僕を避けて、嫌がる。師匠に拾われるまで、寂しくて、不安で堪らなかった! 」


      "ポン  ポン"


「気持ちは分かるわ。私も平民で聖属性魔法を使えるなんて気味が悪いからって、教会へ捨てられたから。」


  

   「二人とも、辛かったな。」


 俺も男爵家を追い出されたが、母さんが居たから辛くなかった。けれど二人は...



 「浄化の前に、顔を見せてくれないか?」


 

 「まぁ、一瞬見せる位なら、良いですけど...」


        "パカっ"


 「気味が悪いですか?普通と違くて。」


 確かに、ほおの傷は黒いし、普通では無い。だからと言って、俺は彼を嫌悪する気はない。


 

    「不快じゃないぞ。」


      

       「えっ!」


 

 「私も平気よ。似た症例を見た事があるから。早速始めるわね。」



      「浄化プリフィケーション



 実況で観るより神秘的だ。徐々に色が戻っていく。


 てか、二人がリュカを好いているし、オレが介入しなくても平気か?


 

 「終了よ、確認してみて。」



 凄い、治っている。


 「有難ありがとう御座います、貴方達は恩人です。特にセリーヌさんには、恩返ししたい!なので、僕と」



 「先に伝えておくわ。神官神に仕える身だから、結婚する気はないの。そもそも貴方、成人前よね?」


 

 「先走りました、すみません。」


 w速攻振られて可哀想かわいそう。てか、脱線しているな。


 「本題に戻ろう、追加の質問だ。何で怪我したんだ? 護衛が居るだろう?」


 「あの日は、両親の外出に多数の騎士が同行していたんです。


 それで警備が手薄な中、僕と弟と護衛数人で森へ遊びに行って、魔物に遭遇してしまい...」


 

 「弟は平気だったのか?」


 

 「はい、僕がかかえて逃げたので、何とか。」



 家族思いだな。魔法使いとしては師匠が優秀らしいが、俺は彼の方が良い。



 「リュカ、魔王討伐の旅に同行して欲しい。」



 「あたしと話した後に、決めて欲しいのだけど...」



  長話はりだし、バラしてやるぜ。


       

        "パサっ"


 

      《えっ、角?》



 「くそ犬!計画が台無しよ!」



 「師匠が...魔族?なら何故、僕を?」



 「そうさね。十年以内に勇者が現れると魔王様の予言があって、一行パーティに入っての暗殺を計画したのさ。


 要は"生まれが確かな優れた魔法使い"って肩書き目的で育てたのよ!」


 

      「暗転ブラックアウト



    《周りが見えない?》



      「蝋燭の火キャンドルライト



 「くっ、小さな炎が沢山!あたしの闇が無意味だね。」


 

 「師匠は四属性魔法使いなのに、何で魔属性を?」



   「こういう事さ。幻惑ミラージュ



    「あれっ?師匠が沢山...」



    「リュカ、後ろ!」



        "ゲシっ"


 

 オレの近くに居たから、足蹴あしげにしたぜ。



 「ちっ、大技を使うか。黒砲ブラックキャノン


 

 広範囲だ!オレだけでは受け止めきれない。頼むぞ、リュカ。


 

    「風盾ウィンドシールド土壁ソイルウォール


 主に攻撃魔法を教わったから、防御魔法は苦手だ。でも、守りたい人達が居る。だから!


        "ドォォン"


 土壁ソイルウォールが壊れた、後は風盾ウィンドシールドだけ。


      

      「押されっ」


     

       "バウっ"


   

    「バディ、危ないぞ。」


      

    「魔耐性強化!」


 

 リュカのお陰で範囲が狭まったし、支援バフもあるから、耐え切れる。


        

         ✴︎✴︎✴︎

 

      

     「相殺...した?」


 「いや、俺達の勝ちだ。相手は疲弊して倒れてる。


 でも、放置出来ない。見たくなければ、目を逸らしてくれ。」



 「待って下さい、一言だけ。有難う御座いました。そして左様さようなら。」



        "ザクッ"



                 続く

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