第二話 清廉な神官
「旅に出るとな? 我としては
「いえ、俺は男爵家の
「なる程、先の
加えて、我が優秀な者へ紹介状を書き...」
話長いな〜、早く治して欲しいぜ。
魔法で強化したのか? あれが今の
「少し
「すまない!神官、すぐに治療しろ。」
「承知しました。」
✴︎✴︎✴︎
三週間後
あの後治療や訓練を終え、紹介状を手に、オレ達は最優の教会へ向かった。
「到着しました。ここからあの方に案内して頂きます。」
「自分がこの教会の
「これですよね?」
"カサッ"
『そこの者は皆優秀なので、好きに選ぶと良い。』
《はぁ?》
適当だなw てか、思い出したぜ! 神官選びも難所の一つだ。
神官は聖属性魔法が使える人達で、身分は無関係だが、教会にいる大半は元貴族だ。
その為、神官とは名ばかりの私欲まみれの奴が多い。聖属性は信仰心が効力に関わるから、そんな奴を選んだら...終わりだ。
彼女を選ばないと!
「皆と話すのは手間なので、自分が推薦します。
確か長も元貴族だから、親しい者を紹介して、コネを作ろうとするはず。止める方法は無いのか?
"コン コン"
「何です? 勇者様がおられるので、緊急時以外は...」
「少し離れた所で落石事故があって、怪我人が出たから皆で運んで来た!神官方、治療を...」
「それは大変だ! 長、直ぐに人を集めて治療しましょう。俺も協力します。」
「はぁ、分かりました。」
数分後
「何故泥塗れの平民の治療を
「そうよ、利益が無いわ。」
「今、何て?」
勇者はショックだろうな。 最優の教会の神官が
だが、オレが奥の部屋から連れてきた彼女は違うぞ。
「犬に付いて来たけど... 怪我人!?」
「
「確かに私は平民よ。それより...」
「患部を見せて...清潔にして治療した方が良いわね。手伝える人は、布と水を用意して!」
「ふん、貴女の指示は誰も聞かないわよ。」
「なら私が用意するから、
「ちっ、生意気な...」
「俺も手伝う!君は布を、俺は水汲みに行くから。長、水場に案内して下さい。」
「
✴︎✴︎✴︎
「彼女、凄いな。」
オレも驚いた。協力があったとは言え、数十分で治療を終えるなんて。しかも...
「あれっ、歩き辛い?」
「傷は治ったけど、足に違和感が残るのね。この杖を使ってみる?」
「どうも、助かったよ。」
「いえいえ、困ったらいつでも来てね。」
"パタン"
「今の人で最後ね。」
"ぎゅっ"
寛容な姿勢と強い信仰心。やはり彼女が適任だな。
"ワンっ"
「さっきの犬! 飼えないわよ?」
「俺の犬だから平気だよ。所で君、名前は?」
「私はセリーヌと申します。」
「敬語は使わないで、俺も平民だし。」
「いえ、勇者である事に敬意を。」
「長く過ごす事になると思うから、普通にしてよ。」
「えっ?」
「魔王討伐の旅に同伴してくれないか?
魔王討伐...成功したら、魔族の脅威に苦しむ人々を救えるわね。
「ええ、共に戦いましょう。」
✴︎✴︎✴︎
数日後
「どこへ向かってるの?」
「多属性魔法使いの所さ。」
「凄いわ、普通は一つよね?」
「あぁ、俺も火だけだ。」
"ガタン"
森だから、根の
"シュルル"
「きゃ〜 馬車が浮いてるわ!どうしよっ」
「捕まって! 着地する。バディは御者を!」
了解。
"シュタっ"
「木が動いてるの?」
「あれは魔物だ。戦うから、
「
「ん、力が
「
「ありがとう!」
"ダダッ"
あの
数分後
「ここで良い、
「私は...」
"クゥ"
「来てって事?」
怯えて逃げたら、人は救えないわね。それなら...
「私も行くわ。」
✴︎ ✴︎ ✴︎
「くっ」
近づきたいが、枝が邪魔だ!魔法攻撃も燃え移る前に切るから、意味が無い。どうする?
「バディ、来たか! 近づくから援護してくれ。」
"ワフっ"
オレが引き付けて、
"シュッ"
来た、受け流して...
「
うぉ、一瞬で治っていく。ありがとな、セリーヌ。...人面樹、来い!
✴︎✴︎✴︎
"タタッ"
バディのお陰で大分近づけた。でも、どこを狙う?
んっ、あの部分、妙に守ろうとしているな。攻撃してみるか。
"ザクッ"
〈ギョワァァ〉
効いてる!なら、火も合わせてっ。
〈グフっ〉
"ドスーン"
「終わった...のか? 」
続く
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