第5話 徐々に砕ける間柄

俺は城壁に手を付けて魔力を込めると、石壁がサラサラと砂になって穴が空いた。

「じゃ、入ろうか?」

「……城の防衛体制が」

「諦めろ。魔法は理不尽だから魔法なんだ。人数少ないのがせめてもの救いだな?」

俺はズカズカと穴の中に入っていく。その後をカノエが渋々ついてきた。

穴を抜けると、鎧兵に囲まれていた。

「あー、そりゃ壁に穴が空けば不審に思うわな?」

「なぜこの状況になる前に気づかないんです?……どうします?」

「もちろん逃げる」「あ、こら、待てっ!?」

俺が踵を返して走り出すと、慌ててカノエもついてきて、更に鎧兵も追ってきた。

しかし予想外に鎧兵の足が速い。

「このままだと追いつかれるんですけど!?」

「俺が足止めをする。カノエは振り返らずに走り続けろ!」

俺は近くの壁に手を這わすと魔力を流す。

「行け!等身大カノエ Ver.ビキニアーマーと Ver.メイドアーマーっ!!」

すると壁から等身大のカノエと同じ姿をした石の人形が現れて、俺たちと鎧兵の間に立ち塞がった。

俺も振り返らずに走り続けているから確認できてないが、剣戟の音が聞こえてきたからちゃんと足止めをしているのだろう。

「なんです、今の不穏なワードはっ!?」

「ばか、振り返らずに走り続けろ、追いつかれるぞ!ゴーレムを召喚した。しばらくは足止めできるはず」

「うー、後で覚えておけよノエネっ!」

遂にカノエから様付け呼びが外れた。

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