第2話 期待外れ

「なあ、ところで。俺の事どれぐらい知ってる?」

王都に向かう道中でカノエに確認した。ひたすら馬車に揺られるだけだ、時間はたっぷりとある。

「ギルド序列5位で土の魔法を使われるのですよね?優秀なのでしょう?」

「あーやっぱりそんな感じだよな。誤解がある。あの序列ってのは、ギルドを幾ら儲けさせたかってだけだ」

「え?それって優秀な事に変わりないでしょう?」

「いーや、大違いだ。特に俺はな。俺は貴族からの指名依頼がやたら多い。理由はこれだ」

俺はカバンから土を取り出すと、それを魔法で形状を整えて固めた。

「これは……私ですか?」

「俺の特技だ」

「に、似てますね、いや、でも、……な、なんでビキニアーマー姿なんですっ!?」

「その方が受けが良い」

「やめて!?今すぐ消して!?人形も!あなたの記憶からも!」

カノエは半狂乱で俺から人形を取り上げると俺に背を向けて隠した。

「悪かった。代わりにそれはやるよ」

「じ、自分で自分の人形を処分させるなんて……下手に似てる分始末し辛くてしょうがないですっ!」

「貴族に売ったら数か月は遊んで暮らせるぞ?」

「絶対、イヤです!!……え?じゃあ、ノエネ様は戦えないんですか?」

「ああ。戦闘用の魔法なんて覚えてないな」

「そ、そんな……」

カノエは何やら絶望的な表情をしていた。

「なーに、必ずしも荒事が必要とは限らないだろ?まあ、解決するまでは付き合うから」

不安そうなカノエを乗せた馬車は刻一刻と王都に近づいていく。

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