14歳編
第7話14歳編①
カルマンが勇者として覚醒して以降、カルマンは剣の修行に明け暮れることになり、カルマンは大剣の扱いに少しずつ慣れていった。
「カルマン・ガレット・シュヴァリエよ…そなたを本日付で勇者ガレットとして認めよう!!!」
そして、カルマンが14歳の誕生日を迎えた日、カルマンはシュガトピア城に呼び出され、国王ベルナルド3世から勇者として認められることとなった。勇者として旅立つことになるカルマンには、ライム
「バンッ!!!!!」
嬉しそうな表情で勢いよく教会の食堂の扉を開けると、そこには
「カルマン、今日から私とジュリアは旅の仲間となる。そして、もう1人は私のいとこで、巫女のセレーネだ。」
「…!?」
「よろしくお願いします、勇者様。」
幼馴染の言葉に、カルマンの表情が険しくなる。そんな勇者の態度にも関わらず、巫女の少女は彼に近づこうとするが…
「来るんじゃねぇっ!!!」
少年勇者の叫びに、食堂にいるほとんどの人々が硬直する中、巫女は構わずカルマンの腕をつかむが…
「バシッ!!!」
「勇者をバカにした奴が、仲間ヅラしてんじゃねぇっ!!!巫女がブランシュ卿を呼んでくれなかったから、勇者モンブランは…」
「なぁ、シンシアはん…」
「どした?お姉ちゃん…」
巫女の手を払いのけつつ、叫ぶ少年の声…そんな幼馴染の姿に、ジュリアは妹に勇者モンブランが暗殺された事を聞くことにした。それは、セレーネと一緒に教会の見学に来ていた双子の巫女がカルマンを追い出したという事で、妹の言葉に、ジュリアは納得するしかなかった。
「ウチが魔法学校にいる間に、そんな事があったんやねぇ…」
「カルにぃの目の前で、勇者モンブランは殺されたんだもん。心臓貫かれて…だったとは思うけど、カルにぃは「まだ助かるかもしれない」って思ったんだろうね。それを双子の巫女が軽くあしらって追い返したから…」
「納得や…カルマン、ソフィアはんや家族以外の年上の女性が嫌いやもんねぇ…」
「そうそう…偉そうな態度で図々しく絡んでは、マウントとってくるし、イヤミったらしく見下すからって、常に警戒心むき出しにしてるくらいだもん。」
姉妹がそう語り合う間も、セレーネはカルマンに近づこうと試みるが、その都度彼に払いのけられる。
「勇者さま、あなたは私の運命の人なのです!だから、私の話を…」
「おふくろ、俺はこの巫女と旅をするなんてごめんだぜ!!!人をコソ泥呼ばわりするし、身長で圧をかけるし…」
「ガマンなさい!やっとあなたに旅の許しが来たというのに…」
カルマンの母は、息子の態度を嗜める。
「それに、セレーネさんだったわね?あなた、開口一番で私の息子を「運命の人」呼ばわりするの、失礼でなくて?」
勿論、息子だけでなく、絡んできた巫女も窘める。喧嘩両成敗だ。
「そういうのは、仲良くなってからする事だぞ?それに、いくらいとことはいえ、過去に私の大切な幼馴染を疑った以上、少しは自分の立場を弁えるべきだ。」
勇者の母といとこに叱責されたセレーネは、思わず縮こまる。
「カルマン、すまない。旅に同行する相手が私とジュリアしかいなかったんだ。そこで王宮騎士団の団員で、枢機卿の甥・グレイさんを旅に同行させる予定だったのだが、セレーネが勝手に名乗り出てしまって…」
「じゃあ、ソフィアは?」
「姉上様はモーガン王子とフィリップ王子の家庭教師になられたから、無理だ。」
幼馴染の言葉に落胆するカルマンに、魔法使いの姉妹が近寄る。
「そりゃあ、自分の事殴った挙句、勇者モンブランを
「でも、このままだと旅が始まらへん…そんでなぁ、カルマンに提案なんやけどぉ…」
ジュリアに対して恋心を抱いているのか、カルマンは咄嗟に背筋を伸ばし、ジュリアの方へ身体ごと向きを変えた。
「グレイはんと合流するまで、彼女も旅の仲間に入れてあげるってのはどや?旅のパーティーは3人より4人の方が楽しそうやん♪」
「ま、まぁ…ジュリアがそう言うんなら、仕方ねぇよな…」
幼馴染の魔法使いの言葉に、カルマンは同意するしか方法はなかった。
「では、ついて行っていいんですね?」
「勘違いすんな!!!」
セレーネがそう言うと、まるでスイッチがオンからオフに切り替わったかのように、カルマンが声を荒げる。
「お前はあくまで、グレイさんの代理!グレイさんが合流次第、お前はこのパーティーから抜けてもらうからな!!!」
「つまり、「期間限定」ということだ。それに、元々カルマンは基本的に年上の女性を嫌っている。特にお前のような巫女ならなおさらだ。それだけは肝に銘じてほしい。」
ヨハンはカルマンを宥めつつ、いとこにそう伝えた。いとこに現実を突きつけられたセレーネもまた、カルマンから突きつけられた条件を飲むしかなかった。
2人の幼馴染と、カルマンの事を「運命の人」と呼ぶ巫女…旅はまだ始まったばかりではあるが、カルマン自身は最初から前途多難な予感しかしなかったのだった。
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