第5話12歳編④
カルマンが気が付くと、カオスイーツは元の少年の姿に戻っており、
「かくなる上は…」
まだ諦めていないのか、女豹の爪が突然カルマンに襲い掛かろうとするが…
「ザッ…」
「なんでこの時代に来たのか知らねぇが…勇者モンブランを
カルマンを守るかのように、先ほどの力強い声と同じ声をした、真紅の甲冑をまとった男の勇者が、女豹を大剣で斬りつけた。しかし、斬りつけただけでは事切れないのか、女豹は「チッ」と舌打ちした後、「フッ」と音を立てて消えてしまった。
女豹が去り、カルマンは真紅の甲冑の男の勇者の前で、祖母の形見である大剣を持つ。今度は抱きかかえず、左手でぎゅっと鞘を握って…逆光で髪色も顔もハッキリとは見えないが、かすかに見える口元が、彼が未来のカルマンである事を証明させるように感じた。
「勇者として目覚めた後は、きっと色んな困難に遭遇するだろう…でも、守りたい存在を見つけたお前は1人じゃねぇ!ヨハンもジュリアもいる。困ったときは2人から知恵をかりる…そうすりゃ、いずれはお前もいずれ巡り合う自分のマジパティと共にカオスと戦える。絶対にな…」
未来の自分の言葉に、カルマンは決意に満ちた表情を見せる。
「はいっ!!!それから、俺の結婚相手って…」
カルマンがそう言いかけると、男の勇者はカルマンの頭にぽんと軽く、右手を置いた。
「それは、自分の目で確かめろ!!」
答えになっていない言葉に、思わずカルマンは反論しかけてしまうが…
「でも…これだけは言っておく!誰かに自慢したくなるほど、素敵な女性だ!こんな可愛い娘が生まれるんだからなっ♪」
男の勇者が女勇者を指さすと、カルマンは「可愛いというよりは、美人だろ」と思いつつ、ぷっと噴出し、男の勇者と共に盛大に笑い合った。
笑いながらも、自分自身の身体が消えていく感覚がした。自分が本来いるべき時間に戻る時が来たのだろうか…その際、カルマンは女勇者の剣に刻まれた彼女の名前に目を向ける。柄に近い部分は上手く見えなかったが、残りはしっかりと己の脳裏に焼き付けよう…
「**ra Stollen Crougex Chevarier」
『勇者シュトーレン…ばあちゃんと瓜二つの女勇者…覚えておこう…』
再び何もない空間に飛ばされたカルマンは、先ほどの銀髪の麗人、給仕服姿の金髪少女の2人と再会する。その2人の間には、黒フードの怪しい存在に刺されたはずの祖母が立っている。
「見えたかい?お前の未来が…」
祖母の言葉に、カルマンは黙って頷く。
「お前の未来は、お前がどう立ち回るかで変わっていく…でも、これだけは忘れちゃいけないよ。」
少しずつカルマンと祖母の距離が広がり始める…カルマンは祖母に向かって思いっきり右手を伸ばすが…
「お前は決して「ひとり」じゃない」
孫にそう告げた勇者モンブランは笑顔を崩さないまま、2人の女性と共にカルマンの前から姿を消してしまった。
「これからは
祖母の言葉に思わず泣きそうになってしまうカルマンだが、祖母と2人の女性の力強い笑顔を見るや否や、3人につられて思わず笑みを浮かべてしまう。
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