第十章

第一話 八百長騎手追放ゲーム①

 〜東海帝王トウカイテイオウ視点〜






「俺たちの中に、八百長騎手がいる」


 俺は画面に移るクロ、大和鮮赤ダイワスカーレット魚華ウオッカ明日屯麻茶无アストンマーチャン大気釈迦流エアシャカール周滝音アグネスタキオン、ナゾナゾ博士、内巣自然ナイスネイチャ袖無衣装ロープデコルデ兜城カブトシロー大和主流ダイワメジャー貴婦人ジェンティルドンナ生徒会長、そしてルドルフさんを見ながらこのメンバーの中に八百長騎手が居ることを告げる。


「八百長騎手は、毎日俺たちのことを八百長騎手だと運営に嘘の報告をして、毎日1人ずつ消していく。俺たちが今後、騎手として活動して行くには、消される前に八百長騎手を見つけ出し、そいつを追放させるしかない……ナゾナゾ博士、こんな感じで良いのか?」


 冒頭部分を語ると、これで合っているのかを確認するために、ナゾナゾ博士に訊ねる。


「OKナゾ? 今ので大体ゲームの内容は理解したかと思うナゾ? まぁ、一言で言えば、人狼ゲームを騎手バージョンにしたゲームナゾ?」


 今回、俺たちはナゾナゾ博士に誘われて、八百長騎手追放ゲームと言うもので遊ぶことになった。


「ゲームの内容は理解しているッス。それは良いッスが、1人知らない人が居るッスけど誰ッスか?」


 内巣自然ナイスネイチャがポツリと言葉を漏らす。彼が言っているのはルドルフさんのことだろう。


 彼の問いかけに答えるかのように、ルドルフさんの画面に文字が現れる。


『仲良く友達と遊んでいるところに割り込んでしまってすまない。ワシの名はルドルフ、50代のおっさんだ。ワシのことはゲームのNPCのようなものだと思ってくれて構わない。必要最低限以外のことは発言を控えるので、友達同士仲良く遊んでくれ』


 ルドルフさんはオンラインマッチ中に参加して来た人だ。本来であれば最大18人遊べるゲームだが、人数は揃わなかった。そこでオンラインも使って募集したところ、彼が入ってきた。


 内巣自然ナイスネイチャが遅刻してログインしてきたのは、彼が加入した後だったので知らなくて当然だろう。


「知っている人は知っているかと思うナゾ? でも、知らない人のために一応説明しておくナゾ? 基本的には人狼ゲームと同じナゾ? でも、役職の名前が違うナゾ? みんな、役職の一覧を開いて欲しいナゾ?」


 ナゾナゾ博士の指示に従い、役職一覧を開く。すると、八百長騎手追放ゲームの一覧が現れる。


 八百長騎手、騎手、共犯、裁決委員、トラックマン、遅刻騎手、騎乗依頼仲介者、ヤクザの役職が表示されている。


「それでは、一つずつ説明をするナゾ? まずは八百長騎手、これは人狼ゲームで言うところの人狼ナゾ? ターン終了後に生き残っていた場合、誰を追放するのかを決めることができるナゾ? そして複数居た場合は通信を分けて会話をすることができるので、八百長騎手同士で話し合いをすることができるナゾ?」


 八百長騎手の説明が終わると、続いて騎手の説明が行われた。


「次は騎手ナゾ? これは人狼ゲームで言うところの村人ナゾ? これに関しては特に説明は必要ないナゾね。騎手に狙われないようにしつつ、八百長騎手を見つけるナゾ?」


 簡単に説明が終わると次に共犯の説明が行われる


「共犯は人狼ゲームで言うところの共犯ナゾ? 八百長騎手サイドの役職であり、ゲーム終了時に八百長騎手が勝利した場合、勝利することができるナゾ? でも、共犯は八百長騎手が誰なのか分からないナゾ?」


 共犯の説明が終わり、続いて裁決委員の説明に移る。


「裁決委員は、人狼ゲームで言うところの占い師や預言者ナゾ? 夜のターンに1回だけ誰かを調べることができ、騎手サイドである白か、八百長騎手である黒かが分かるナゾ? でも、共犯を調べた場合は白と出てしまうから注意が必要ナゾ?」


 裁決委員の説明が終わり、ナゾナゾ博士は続いてトラックマンの説明に入る。


「トラックマンは、人狼ゲームで言うところの霊能者や霊媒師ナゾ? 追放された者が八百長騎手サイドか、騎手サイドだったのかを夜のターンに1回だけ調べることができるナゾ? しかし、これも裁決委員の時と同じで、共犯を調べた場合は白と表示されるナゾ?」


 トラックマンの説明が終わり続いて遅刻騎手の説明が入る。


「遅刻騎手は、人狼ゲームで言うところの共有者・共鳴者・フリーメイソンと同じ役職となるナゾ? これは白確の役職であり、遅刻騎手は互いの遅刻騎手が誰なのかを知っているナゾ? しかし、カミングアウトをした場合、絶対にもう一人の遅刻騎手も自己申告をしないといけないナゾ?」


 遅刻騎手は白確か。カミングアウトをすれば、投票されないが、八百長騎手に狙われやすくなるな。


「騎乗依頼仲介者は、人狼ゲームで言うところの狩人・騎士・ボディーガードの役職ナゾ? 夜のターンに誰かを1人守ることができるナゾ? でも、自身を守ることはできないので、追放されたら誰かを守ることはできなくなるナゾ?」


 騎乗依頼仲介者の説明が終わり、最後にヤクザの説明となった。


「最後のヤクザは第3陣営ナゾ? 人狼ゲームで言うところの狐や妖狐ナゾ? 八百長騎手の黒サイドと騎手サイドの白が同数になった時に追放されていなかったら、ヤクザの勝利ナゾ? そしてヤクザの特殊能力として、八百長騎手から追放されても無効とされるナゾ?」


「追放されないって、最強じゃないッスか!」


 ヤクザの説明を聞き、内巣自然ナイスネイチャが驚きの声を上げる。


「確かに最強のように思えるかもしれないナゾ? でも、ヤクザは裁決委員に調べられると強制的にゲームオーバーになるナゾ?」


 なるほど、ヤクザになった場合は釣られるか、調べられると負けてしまうのか。もし、ヤクザになった場合はあんまり目立った行動はできないかもしれないな。あまり目立った発言ばかりすると、みんなの注目を集めてしまう。


「とまぁ、役職の説明は以上ナゾ? では、ここからは各プレイヤーのパラメーターにより使えることが可能な特殊能力について説明をするナゾ?」


 特殊能力? ただ役職を使って会話をして追放する相手を決めるだけではないのか?


 どうやらこのゲームは普通人狼ゲームとは違うようだな。

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