第二話 やはりお前もそう思うか
〜
連続馬券外し事件の調査をするために、俺は
「ねぇ、
俺の後を付いて来る
99パーセントあり得ない外し方なのだ。たった1パーセントが20回連続で来るなんてことは、明かに何かが仕組まれているとしか言いようがない。
「待ってください
「いいえ、これは明らかにおかしいです。今回のレースは堅い決着となるはずでした。ですが、人気最下位の馬が馬券内に来るのは異常です。様々なシミュレーションをして見ても、あり得ないと言う結論しか出なかったのですよ。これは裏があるに決まっています」
廊下を歩いて来ると、聞き覚えのある男女の声が聞こえてきた。
この声は
奥に向かって歩いて行くと、角を曲がったところで彼女たちと鉢合わせした。
「あら? 見回りにしては、何やら真剣な表情ですね。
「それはこっちのセリフだ。生徒会長であるお前が、眉間に皺を寄せるなんて珍しいじゃないか。まぁ、良い。俺は今忙しいんだ。お前の相手をしている場合ではない。じゃあな」
「お待ちなさい。もしかして、先ほどのレースに関する調査をしているのでしょうか?」
彼女の横を通り過ぎ、そのまま奥へと進もうとしたところで、俺の足は止まる。
「お前、どうしてそのことを」
「やはりそうでしたか。ワタクシもその件で調べていますの。せっかくだから手を組みませんか?」
「お前が……この俺と?」
「ええ、ワタクシが情報を集めますので、実行役をお願いしたいのです」
確かに、今回の事件の調査は簡単にはいかないかもしれない。人手が多いに越したことはないだろう。
だが、こいつのことだ。何か裏がある可能性だってあり得る。しかし俺が入手できない情報を手に入れられるかもしれない。生徒会長と言う権力を使えば、俺以上の情報を集めることは可能のはずだ。デメリットよりもメリットの方が上回るか。
「分かった。その条件を呑もう。手を組んでやる」
協力関係を気付くことを告げると、
「お願いしますね。今回の事件を解決するのはあなたです」
事件の解決を任せると、彼女は歩き始める。
「お前も大変だな」
「それはお互い様だよ。頭の堅い上司を持つと部下は苦労するね」
すれ違い様に、
誰の頭が堅いだ! 何も分かっていないのはお前たちのほうだ。
情報収集はあの女に任せ、俺は一度風紀委員室に帰ることにした。
部屋に戻り、椅子に腰かけて待つこと1時間。タブレットにメッセージが届いた。
タブレットを操作し、内容を確認する。
これは、過去のレースと出場した馬と騎手のリストか?
始めから終わりまで、全てに目を通すとあることに気付く。
これは俺がデータ競馬を外したレースじゃないか! しかもこれらのレースには、全てに共通するものがある!
それはとある馬と契約している騎手だ。これらのレースには、全てその人物が出馬している。
この騎手が黒幕である可能性が高いな。
まずはこいつと接触してみるか。仮に黒幕ではなかったとしても、何かの情報が入手できるかもしれない。
そのように考えていると、タブレットにお知らせが入った。
【トラちゃんからのお知らせ! 今回とある騎手同士でレース勝負の申し込みがありました。場所は札幌競馬場、芝1800メートル、レース名:コスモス賞馬場状態:良、右回り、定員は14頭を予定しております。皆様の参加をお待ちしております】
どうやら誰かがレース勝負をしたみたいだな。少し気になるが、今は捜査が優先だ。今回のレース、馬券を買うのは見送るとするか。
見送ることを決めると、俺は目を大きく見開く。
今回レース勝負を申し込んだやつ、あいつじゃないか。
まさかこんな形で接触することになるとは思わなかったが、これはチャンスでもある。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。
タブレットを捜査して参加する意思を示す。
どうやら間に合ったようで。俺が参加した瞬間に受付が終了した。
応募があってまだ1分も経っていないのに全て埋まるまでの時間が短すぎる。やっぱり、何かがあると見て間違いなさそうだな。
「俺は今からレースに参加してくる
レースに参加することを決めた俺は、椅子から立ち上がると、耳に特注で作った馬の装飾が施されたピアスを付け、控え室に向かうことにした。
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