第七話 初夢特別、決着
始めに訂正箇所のご報告をいたします。
馬のライデンリーダーの性別を間違えており、ファンキーな男口調になっていました。
なので、このストーリーでは、口調を変えています。
最終直線に入ったその時、ライデンリーダーが
「
やっぱり、最後の直線で追い付いてきやがったか。しかもさっきから音楽用語を所々混ぜてきているお陰で、なんて言っているのか分からない。
『ライデンリーダーの頭っておかしいよね。レース前から意味の分からない言葉を言って、何語なの? ちゃんと日本で喋ってくれないと意味が分からないのだけど、ライデンリーダー、通訳よろしく』
『いや、実は私もさっぱり分からないわ。おそらく、勝つのは俺たちだと言いたいのでしょうね』
「このままライデンリーダーの優勝で終わらせてやる! 俺には聞こえる!
『いや、それって幻聴じゃない? まだ
ハルウララの言葉に、思わず苦笑いを浮かべてしまう。
最終直線に入ったが、まだ
次第にゴールへと近付き、
『残り200メートル! ゴール板を先に駆け抜けるのはライデンリーダーか! それともハルウララか! はたまたコパノフウジンや他の馬たちか!』
『ゴールまでもう少しだ! 頑張るぞ!』
疲労により、減速しかけていたハルウララの速度が再び上がり始める。
どうやら、
ゴール板まで残り僅か。ここで先ほど使い損ねた
「アビリティー発動! 【闘魂注入】」
ハルウララの体に鞭を打ち、アビリティを発動する。
『何だか気配が入って来たよ! 絶対に負けられない! 負け馬根性を舐めるな!』
『ここでハルウララが僅かに前に出た! しかしその差はクビ! 差し返される可能性はまだあるぞ!』
「ライデンリーダー行け!」
「ハルウララ負けるな! 3連勝期待しているぞ!」
「コパノフウジンなら行ける! 優勝を掻っ攫え!」
ゴール板までの距離が近付き、今度は観客たちの声援がはっきりと聞こえるようになった。
みんなそれぞれの思いを胸に、応援してくれている。その期待に応えるためにも、負ける訳にはいかない。
『マイル戦だから負けて良い訳がない! 芝だろうが、
『ここでコパノフウジンが最後の追い上げを見せる! しかし、伸びない! 必殺技を使用しても、前を走る2頭には追いつけていない!』
『くそう。ここまでか。やっぱりお前は凄いよ。どうして生前まともに走らなかったのかが不思議なくらいだ。行け! 俺に連勝できるんだ! そのまま優勝しやがれ! ライデンリーダーに負けたら、テメーのケツに噛みついてやるからな!』
『コパノフウジンがウマハラしてきた! あそこまで言われたら、絶対に勝つしかないね!』
「ああ、あいつの想いに報いるためにも、お前を勝たせてやる」
『先頭は僅かにハルウララのまま、ライデンリーダーが追いかける! しかし差は縮まらないままだ! 残り100メートル!』
残り100メートルを切ったか。油断は出来ないが、このままなら勝てる。
「くそう、どうして追いつけない! この粘りの強さは異常だ! ライデンリーダーはとても
左斜め後に居る雷の頭目が言葉を吐き捨てる。
ハルウララはバッドステータスを克服し、グッドステータスが追加された。それは高知競馬場の救世主だ。
この能力は、最後の直線でおい比べ状態になると、根性に補正が入り、粘り強くなる。そしてこの能力は、観客の人数に比例してステータス補正が異なり、更に高知競馬場でのレースの場合、効果が更に上がる。
俺やハルウララの連勝と言う実績が、
生前負け続けたハルウララが負けを更新する度に観客を増やしたように、今度は霊馬となって勝ち続けることで、観客を呼び寄せる。
『先頭はハルウララのまま、ライデンリーダーが追いかける! クビからアタマの差にまで縮めたが、更に伸びることができない! 追い越せない! 追い越せないままだ!』
『私は負けられない! 勝って、帝王が世界で一番の霊馬騎手であることを証明するんだ!』
『みんな私の追い込みに期待してくれている! 私は強い! そして凄い! 当時の実況者が褒めてくれた言葉の誇りにかけて、負ける訳にはいかないわ! 私はデビューしてから11連勝している強者よ! 霊馬となってからも、11連勝! 生前叶えられなかった12連勝記録を、霊馬となって達成してみせる!』
『『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』』
2頭の馬の心の叫びとも言える雄叫びが俺たちに届く。相手はまだ諦めていない! 俺たちだって、負ける訳にはいかない!
「このレースに勝って、ハルウララに勝利を捧げる!」
『このレースに勝って、帝王に勝利を捧げるのは私だ!』
『ハルウララ! ライデンリーダー! 並ぶようにゴールイン! 3着はコパノフウジン4着ラッキートップ5着はオノゾミドオリと言う結果になりました!』
ゴール板を駆け抜け、俺は掲示板に顔を向ける。1着と2着は写真判定のようで、写真と言う文字が点滅していた。
『写真判定……もし負けたらごめん。私が弱いからギリギリの戦いになっちゃった』
『いや、お前は良く頑張った。
しばらく待っても、写真の文字は点滅したままだ。他の順位は確定しているが、1着と2着の決着は判定するのが際どいのだろう。
「そろそろ10分が経つか。この長さ、ダイワスカーレットとウオッカの判定が際どくて長引いた時と同じだな」
「ヒャヒャヒャ! このドキドキ感、良いねぇ! 舞台脇で本番を控えて緊張している時と同じだ。さて、優勝して観客たちから声援を受けるのはどっちか楽しみだぜ」
本当に緊張しているのだろうか? そう思ってしまうほど、雷の頭目は結果を楽しんでいる。
負ければ転入と言う俺とは違い、雷の頭目は別に負けてもペナルティと言うものは存在しない。だから余裕でいられるのだろう。
それから数分後、掲示板に番号が表示される。1着に入ったのは8番、そして2着は5番、その差はハナと表示が確定する。
「おめでとう。良く頑張ったな」
俺は相棒のハルウララに労いの言葉をかける。
『長い判定の結果、勝ったのはハルウララ! これで3連勝だ! そしてライデンリーダーはまたしても11連勝止まり!』
実況担当の中山が結果を発表すると、
これで俺は4連勝、そしてハルウララは3連勝だ。どうにか首の皮一枚で繋がった今回のレースは、嬉しさよりも安堵の方が強かった。
掲示板の結果
1着8番
>ハナ
2着5番
>2
3着7番
>1
4着3番
>クビ
5着1番
払い戻し名 払い戻し金
単勝 5280
馬連 4470P
馬単 19500P
三連単 85900P
三連複 2060P
ワイド5ー8 3020P
5−7 380P
7−8 3710P
複勝 8番 4224P
5番 256P
7番 384P
(100P購入での計算)
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