第7話 ついに行動開始!?

 今日も渚と一緒に登校した俺。やはり彼女がいると、朝の憂鬱が軽減されるぞ。もっと早くからそうするべきだったが、今更嘆いても遅いか…。



 教室に入ると、水寺さんと友達の好口さんが楽しそうにおしゃべりしているのを見かけた。今日は昨日みたいな展開にならないな。


そう思って自席に着き、机の中をチェックした時だ。…何か紙切れが入っている? 俺はすぐに取り出して読んでみた。


―――

荒波君へ


私の携帯番号と〇インのIDだよ→△△△、×××…。


気になる事があったら遠慮なく訊いてね。私も薫ちゃんに訊いてもわからない事を教えてもらうからよろしく。


―――


そう可愛らしい文字で書いてある。早速彼女のほうを観ると、変わらず好口さんとおしゃべり中だ。今はそっとしておいたほうが良いな。


昨日は水寺さんから声をかけてきたが、今日も彼女から行動を起こしてきた。これは昨日の下校時に渚が言った通り、俺に興味を持ち始めている証拠?


…いや、それはないか。メモには『薫ちゃんに訊いてもわからない事』と書いてある。好口さんは頭良いし、彼女にわからない事なんてないだろう。


1年の時、定期テストを返却する際に一部の先生が優秀者の名前を挙げたりしたが、好口さんはかなりの頻度で挙がったのだ。彼女と会話した事なくても、同じクラスだった人は全員知っているはずだ。


そんな頼もしい好口さんがいる以上、俺に訊く機会は皆無に等しい。…もしかして、裏を読んだほうが良いのか? なんて考える前に、さっさと登録してメモをしまわないと。他人に見られたくないし。


……無事登録完了。その旨を携帯で伝えたし、続きを考えるとしよう。



 このメモの件は、絶対渚に言わないと。“水寺さんの事を正直に言って”とクギを刺されているし、シスコン辞めるの件でも迷惑をかけたからな。


だが言われた通りにすると、の詳細を知る事ができない。それはそれで気になる…。


あの時の渚の表情はマジだったから相当ハードな内容だと思うが、ってあるよな。何をやる気なのか、まったく想像つかない。


…こんな事を考える時点で、俺は本当にMかもしれない。渚は妹ながら俺の事をよくわかっているから、あの発言ができたんだな。(1話参照)



 それからも水寺さんの行動を余裕がある時にチェックしたが、常時好口さんといるな。メモの内容を深読みするまでもなかった。


俺に連絡先を教えたのは“万が一”だ。好口さんにだってはある。その時に訊く都合が良い相手が俺なんだな。そうに決まってる。


なんて思っていたが、昼休みにその考えは間違っていた事に気付くのだ…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る