第5話 海の向こう

 季節が巡っても、少女は詠み続けます。

 王子が訊きます。

「灯台の灯りはどこまで届くの?」

「遠くまで……」

「海の向こうも?」

「うん」

「嘘だ!」

「嘘じゃないよ。きっと誰かが、海の向こうに届けてくれるもん!」

「……ふうん」

 王子は、窓の灯台を見つめました。

 翌朝、その少年は天国へ旅立ちました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る