12.

「ふわぁ…」



うー寝不足だ、眠たい、単位足りてるから今日休んじゃダメかな?

チラッと机の上に置いてある封筒を眺めてまた欠伸をする。

欠伸がとまらない…。


え?寝不足の原因?それは机の上に置いてある封筒の中身を見ればわかるよ。

僕の写真がたくさん入ってるから…。後ろ姿や横顔、宇都宮君と一緒に帰ってる写真などなど。


3日おきに写真だけポストに入っていたら寝不足にもなるよねーちょっと気持ち悪いし…。

あ、でも宇都宮君とのツーショット写真は保管しようかなって思ってる。推しの写真は貴重だからね。

初の推しの写真!誰が撮ったか分からないのが怖いけど。決して推しの写真をゴミ箱に捨てるということに抵抗があったわけではないよ??はい、嘘ですあります、推しの写真をゴミ箱になんて…僕にはできません。



「ふわぁ…眠たい」



ふわふわする頭で僕の写真は早く処分しなきゃなって思うけど睡魔には勝てない。


うん、将人に今日は休むって連絡したしとりあえず寝よう。おやすみなさい…。


僕は二度寝をすることにした。




夢を見た、真っ黒い人に追いかけられている夢。

僕はそれから必死で逃げている、そんな夢だ。


景色が変わらない為、同じ場所を永遠と走っているように感じる。この追いかけっこに終わりはあるのだろうか。


不安になりながらも長距離を走っていた僕の足は限界だった。



「い、った…」



何も無い場所でつまづいて転んでしまったのだ。僕がうずくまっている間にも真っ黒い人は近づいてくる。


そして僕の肩に手を置いて、



「捕まえた」



その声は僕の大好きな推し、宇都宮君だったのだ…。


そこで僕は目が覚めた。



「……え、どんな夢??何故に僕が宇都宮君に追いかけられていたの?」



よく分からない夢を見たけどとりあえず寝れたことで少しは頭がスッキリする。

スマホで時間を確認すれば着信が24件。

1件は将人、他23件は宇都宮君だった。



「…ってえ?宇都宮君!?」



まさかの推しからの着信履歴に飛び起きた。

僕が電話に出れなかったからだろうか、宇都宮君から体調を気遣うメールもきていた。



「早く元気になってねだって~むふ、推しからの言葉が1番元気もらえるよねただの寝不足だから大丈夫だよ~っと」



さ~てと、お昼ご飯食べようかな?とりあえずあの封筒は捨てて…そういえば冷蔵庫の中何も無かったんだった。



「買い物行かないとな…」



あとバイト先にシフトも出しに行かないとだ。

とりあえず僕は着替え、家を出てバイト先へと向かったのだった。




「いらっしゃいませ~ご注文はいかがなさいますか?」



「アイスティーとエビとほうれん草のパスタお願いします」



「かしこまりました、先にアイスティーだけお出ししますね」



バイト先へとシフトを出しに行った僕は何故か人手不足という事でレジに立たされている。

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