第4話 自分で蒔いた種
時の流れは早いなと最近しみじみ思う。
あれから1ヶ月たち、学校生活にある程度なれる頃だろう。俺と言うと生活は相変わらずバイトがあり、ほとんど学校では寝ていた。教師陣は最初こそ注意していたがあまりにも爆睡していたため、諦めて注意しなくなっていた。ぼっちになるかなって思っていたが、BのおかげでB以外の男子生徒ともちょくちょく絡みがあり、バイトのない日は軽く遊びに行くぐらいには、仲良くしてもらってる。
昼休みのチャイムが鳴り、体を起こす。休み時間のこの時間だけ、Bなどが俺を起こして駄弁りながら飯を食うのが日常になりつつあった。眠たいし、できれば一日中寝ていたいが、俺みたいな腫れ物がこうやって話できる相手がいるのだけマシだと思いこの時間だけは頑張って起きていた。しかし、今日の来客は違ったようだ。
「ちょっといいかしら?」
顔を上げるとそこには黒髪ロングの女子生徒が立っていた。
「えっと‥Cさんだっけ?何か用かな?」
C、俺とは違う意味で目立ってる女子生徒だ。その理由は、容姿端麗、運動能力もありそして新入生挨拶をしたと言うことから首席で合格したと噂されているためクラスだけでなく学校中でも有名な人だ。ということをBから聞いた。
「ここでは話しづらいから来てもらえるかしら?」
教室中はザワザワし出す。
「あのCさんがA君に‥?」
「ないだろ、普通に」
「もしかして、A締められる?」
また、悪目立ちをする。わざと目立つつもりはないのだが自然と目立つということは俺は目立ちたがりなのかもしれない。あと、最後のやつ怖いこと言うのやめろ。
視線を気にせず、Cさんは出ていくので慌ててついていく。階段を登り、屋上に出る。
この高校は落ちないように柵があり、安全なため屋上は解放されているのだ。
「それで、話って?」
入ってすぐに本題に移る、こちらとしても起きたばかりなので、教室でのんびりしたいと思っている。Cさんは振り返り俺を見つめてくる。
「‥‥」
「えっと‥?」
訂正しよう、見つめてるんじゃない、睨んでるのだ。なぜ睨まれる‥
「入学式何故来なかったの?」
「え‥?」
口を開けたと思ったら、久しぶりに聞いた質問だ。
「だから、なぜ入学式来なかったの?」
「なぜって言われてもな‥」
目線が痛い‥クールな見た目だからか睨まれるとなお怖い‥
「眠たかったから、寝てた。それで寝過ごしたから行かなかったんだ。」
「‥‥‥」
Cさんは少し目を見開いた。ここで嘘を言っても、しょうがないから素直に答えたが‥
「‥‥‥」
一段と睨みが強くなったといえよう‥
「呆れた」
表情が少し緩和されたと思ったら、この言いようである。まぁ俺が悪いからしょうがないんだけどな‥
「こんなのが、主席合格なんて‥」
「?? あれ、俺そのこと喋ったっけ?」
入学式前に学校から電話があり、主席で合格のため、新入生挨拶を頼みたいという話をされた覚えがあるが、そのことを他人に喋った覚えもないし知っているのは教師陣だけだろう。
「あなたの代わりに新入生挨拶したんだけど‥?」
「あーなるほど‥」
俺がサボって代わりにCさんが身代わりになったわけだ。
「あ、けど俺の他にも、誰か休んでたかもしれない!その中に主席の人が‥」
「あなたしか休んでなかったけど?」
「‥‥」
確信を持って声をかけてきたわけか‥き、気まずい‥
「‥それで?用件は何?」
本題に入ってもらわないと俺の心がもたないと判断して話を振る。
「この1ヶ月ぐらい、あなたを見さしてもらった。」
「はぁ‥?」
寝てるだけの俺を見てるというのはどういうことなのだろう。
「あなたの生活ぶりは本当にひどいものね。」
「否定はしないな〜」
クラスメイトが俺ってどんな印象?って言われたら寝てるだけの人と答える人がほとんどなほど俺は常に寝ていると自負している。
「先生も呆れて、注意しなくなったしこの学校では稀に見る問題児ね。」
「そんな褒められても何も出ないよ?」
「そもそも褒めてないけども?」
ちなみにこの学校は、高校の中では難関校とされており、憧れて入りたい人が多く倍率が高いと聞いたことがある。だから頭のいい奴が多いし優等生の真面目ちゃんタイプが多いため、俺みたいな人は稀の稀なんだろう。
「そんなあなたに負けてるっていうのが、納得いかないわ。」
「なるほどね。」
つまり、彼女が言いたいのは、こんなふざけたやつより成績が下っていうのが我慢ならないのだろう。
「それでどうしたいの?」
「勝負しなさい。」
「勝負?」
Cさんは自信満々なのか、ニヤッと笑いながら言葉を続ける。
「そう、来週から中間テストでしょ?そこで総合点数が高い方が勝ち。」
「え?待って?来週テストなの?」
「え‥?それすら知らなかったの?」
嘘でしょ?と顔が言っている。そういえば、Bたちと喋ってた時テスト近いからだるい的なことを聞いたような聞いてないような‥そんなこと考えられる暇がないんだよな‥
「と、ともかく勝負するの!?しないの!?」
「いいよ。」
「え‥?」
今回の件に関してはまぁ全面俺が悪いし、適当に負けてやれば納得してくれるだろう。
断れると思っていたのか、度肝を抜かれたような顔をしていた。すぐに表情をいつものクールな顔に戻る。それにしても、クールなイメージからかコロコロ表情が変わるのが見ていて面白い。
「じゃあ、あなたが負けたらこの生活を正すこと。いい?」
「え?罰ゲームあるの?」
「当たり前でしょ?」
‥話が変わった。今の生活を正す=俺の肉体が死ぬことを意味する。まずいことになった‥
「ば、罰ゲームとかはよくないんじゃないか?」
「どうして?どうせあなたのことだから適当に手を抜いて負ければ、納得してくれるだろうとか思ってるんでしょ?」
「ソ、ソンナコトオモッテナイヨ」
なんでこいつ俺の気持ち分かるんだよ‥
こうなったら‥
「じゃあ、Cさんが負けたらどうするんだ?」
「なんでもするわよ」
「はい?」
「私が負けたらあなたの言うことなんでも言うことを聞くって言ってんの。」
こいつマジか‥負ける気がないから言っているにしても女が男に対してそう言うこというのはどうなんだろうか‥いや?エロいこととかは考えてないよ?ホントダヨ?
「‥エロいこと考えてる」
「考えてない‥断じて」
睨みの中にゴミを見る目に変わった気がしたので、俺の要求をすぐに提案することにする。
「じゃあ、俺が勝ったらこれからは俺の生活をどうこういうのやめてくれる?」
「‥そんなことでいいの?」
「ああ、俺にとっては充分だ。」
俺にとって今の生活が大事だ。それを壊されることは死活問題に繋がる。
「‥分かった。私が負けたらこれから生活のことに関してはとやかく言わない。あなたが負けたらちゃんとした生活を送ることいい?」
俺は頷く。それにしても、勝負の内容に関して違和感を覚える‥
「じゃあ、俺は行くから。」
違和感を感じていてもまずは勝たないと意味がないため、ここで聞くのをやめる。さっさと教室に戻ってのんびりしたい。
「負けないから‥」
その時の彼女の顔は、勝つという強い意志を感じた。
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