第31話 魔導戦開幕

 ボクが魔技場に来るのは少し久しぶり。

 ドルグアとの昇格戦以来、少し改築されている。観客席と繋がっている柱に結界が貼られている。

 そういえば前、柱にドルグアをぶつけたからな。

 前に比べて魔力量が多くなっている。あの戦い以降に色々と改善をした、って所だろう。

 魔技場の広い空間、そこには役百以上

 の生徒がいる。

 観客席には教員とかがいる。完全な見世物だなと思っていると、さっき聞こえた声が聞こえる。

 声の方に視線を向けると、観客席の側の上に何かがある。

 四角い建物、その中には声の主──リリィ先輩がいる。

 あの人一体何をしているんだ?


「やぁやぁ皆さん集まったね? 今から魔導戦を開幕とする。それでは前回覇者のアルトリアから説明です」


 リリィ先輩の横には風紀員長がいる。

 風紀員長は小型の拡張機マイクを持って、声を出す。


「まぁ大幅にルールは一緒だ。少し違う点とを挙げるとすれば、今回から魔道具の使用を有りとする!」


 その言葉を聞いて周囲がザワザワとする。

 この感じでやはり実感ができる、魔道具はやはり認められていない。


「多少のルールの変更はこのくらいだ。我々と教員が審判を務める。勝負ができないと判断をしたり、相手が降参をしたら勝負ありとする」

「それではトーナメントを発表するね!」


 風紀員長は指を鳴らすと、魔力で出来たトーナメント表が大きく出る。

 簡単に五つのブロックに分かれている。

 A B C D Eと分かれている。

 ボクはDブロック、ユウナさんはB、フォストはA、バラバラに分かれている。

 フォストと戦うには勝ち上がらないといけない。

 次の決勝に残れるのは各ブロック、五人まで、そこから勝ち抜きのトーナメント戦が始まる。

 この魔導戦で、優勝した者は前回覇者と戦える権利を貰える。実にいらない。


「魔導戦らしくない雰囲気だな! よしそうだ。オープニング戦をしよう」

「だったらお前らが行け!」


 風紀員長の突拍子もない言葉、それに釘を刺すように理事長が言う。

 風紀員長は少し嫌そうな顔をしていた。

 理事長は指を鳴らし、ボクたちの前に姿を現す。風紀員長とリリィ先輩も一緒。


「さぁ景気付けにオープニング戦だ! 盛り上がって行け!!」


 理事長の号令に生徒は団結したように、叫ぶ。風紀員長は少し遠い目をしている。リリィ先輩は場についていけてない感じだろう。


「わっちたちにどうしろと?」

「うーむ。二人程選んで、タッグ戦をしてくれ」


 理事長の言葉を聞いた途端、風紀員長とリリィ先輩の目が輝く。

 タッグ戦、問題はあの二人の相手を誰がするかだ。

 大体こういう時、理事長や風紀員長はボクを名指しする。

 流石に今風紀員長の相手はしたくない。

 無駄な体力だけは使いたくない。

 仮に怪我をしても治癒魔法で、どうにかなる。

 だが、体力はそうはいかない、フォスト戦の為にも残しとく。

 ボクが選ばれない事を祈る!


「誰がいいかな?」

「適当に黒虎や風紀員から選ぶ?」


 二人はボクらの方を見て、品定めをしている。本当にどうなるか分からないから怖い。

 風紀員長は首を傾げ、悩んでいる様子、痺れを切らしたのか、理事長が名指しをし、二人とタッグ戦が決まる。

 選ばれたのは生徒ではなく、教員だった。

 教員は少し嫌そうな顔をしていた、逆に風紀員長たちは目を輝かせる。

 この勝負、風紀員長たちの勝ち、何故かボクは確信をしていた。


「エレクトリ」


 理事長は魔法を唱え、風紀員長たちの周りに結界を張った。

 今からオープニング戦が始まる。

 理事長は手を挙げる、それが戦いの火蓋になり、風紀員長が先手を打つ。

 右手にはボクとフォストを、止めた剣が握られている。

 勝負は一方的、風紀員長が圧倒している。剣型の魔道具を使い、圧倒する。

 リリィ先輩は後方でサポートをしている。

 教員たちの攻撃をリリィ先輩が対処し、風紀員長が攻め切る。

 これが風紀員コンビの実力。


「はぁお前らな。少しは手加減しろよ」

「普通生徒にその言葉を言わないでしょ?」


 あんたらが普通じゃないんだよ! 教員の二人の顔面は、ボコボコに腫れ上がっている。

 普通、あぁなるかと? 思うくらいボコボコにされている。

 理事長は頭を抑えている、オープニング戦を見てた人たちは、驚愕をしている。

 確かにこれは驚き物、でも、あの風紀員長ならばこうして当然といえる。

 何ならば、まだ実力を隠している気がして仕方ない。

 リリィ先輩の魔力は綺麗だ、見た事がない色の魔力をしていた、そして風紀員長は魔法を使わず、剣技だけ押し通った。

 この二人のコンビネーションは高い、阿吽の呼吸とも言っていい。


「これで景気付けになったし、さぁさぁ始めよう始めよう」


 風紀員長は一仕事終わった感を出し、結界の魔力の流れが重点している場所を、軽く突く。

 パリーンと音がすると同時に、風紀員長たちが出てくる。

 もうこの人何でもありだろ、リリィ先輩は風紀員長の体を掴む。

 次の瞬間、風紀員長の体は浮き、一瞬でさっきまで、おった四角い建物の前にいる。

 そのまま中に入っていた。


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