第3話 リステリの執事

「さてさて、私の家を堪能してくれ」


 ユウナさんは勢いよく扉を開ける。

 開けた先には長い廊下が、続いており上に上がる大きな階段が合った。

 その階段を降りて、こっちに向かう人物が目に入る。


「お帰りなさいませユウナ様」

「ただいまレードさん」


 執事服を着た老人が降りて来た。

 白髪の髪はオールバックで、後ろに纏められている。老人とは思えない程の屈強な体をしている。


「あれ、そちらの方は?」

「今日から家の一員になるクロくん」

「あ、初めまして、今日からお世話になるクロと申します」

「ユウナ様が連れて来る事が合って、礼儀正しいですね」


 礼儀とかはヒュウガの時に、色々と叩き込まれたからな。


「ねぇ聞いてレードさん!!」

「どうなされましたか? ユウナ様」

「ここにいるクロくんは本当に凄いんだよ!」

「そうなのですね。こんな所で喋るのもあれですから、食事と共に話すのはどうですか?」

「あ、それもそうね」


 ユウナさんと、執事さんの会話を聞いてる事しか出来ず。

 待っていた時、ボクの話題を振ってきた。


「それではクロ様もこちらにどうぞ」

「あ、はい」


 執事さんに誘導される様に、ボクは歩き食堂に向かう。

 その道中、何体のも甲冑と武器が合った。流石リステリ家と言う事か。

 食堂も広く、全てに置いて高貴な物ばかりだ。


「それではクロ様もお食べになって下さい」


 食堂に着き席に座ると、美味しそうな食事が並んでいた。スープにパン、ステーキと並んでいる。

 ボクは生唾を飲み、子供みたいに食べ始める。


「これ凄い美味しい!」

「クロ様、ゆっくりお食べになって下さい。いくらでもあります」


 ボクはその言葉に甘え、今までの栄養を取り戻すかのように食べる。……ひたすら食べ、お腹が満腹になり手を止める。


「クロくん。思ってたより君、大変な生活を送って来たんだね」

「いや、あの……」


 ユウナさんの言葉に、ボクは黙る事しかできない。


「別に話したくないならば、無理して話さなくていいよ」

「すいません」

「気にしないで」

「それでユウナ様。クロ様の凄さとは?」

「あ、そうだ。クロくんの食べぷりがよくて、忘れていた」


 自分が食べていたとはいえ、いざ言われると恥ずかしい。


「クロくんはね。ヒュウガの三男を倒し、魔法院学園ソロモンを初見で見つけたんだよ」

「え、あのソロモンをですか?」

「うん、そうだよ」


 ユウナさんの言葉を聞いて、執事さんの顔は強張り、考え事をする素振りをしていた。


「ではクロ様も、ソロモンに入学させるんですか?」

「私はそれでもいいと思ってるけど、本人は乗り気じゃなさそうだから」

「ボクはユウナさんに拾われた身。なので従者か何かで十分です」

「そうですか。では見習い執事で宜しいですかね?」

「そこはレードさんに任せるよ」

「私は疲れたから、先に休ませて貰うよ。また明日ねクロくん」

「は……い」


 ユウナさんは少し疲労気味で、食堂から出て行く。

 これって……ボク一体どうなるんだ?


「それじゃあクロさんは、私に付いて来て下さい」

「分かりました」


 執事さん──レードさんの後を付いて行き、客室と書かれた部屋の前にいる。


「取り敢えず今日はここを使って下さい。また明日には少し詳しい話をしましょう」

「はい」


 レードさんは言い終わると、執事長室に入っていた。

 ボクも扉を開け部屋の中に入る。

 部屋の中には、二段式ベットが二つ、奥には机がある。机の上には一つの黒い本がある。

 黒い本を手に取った瞬間。ボクの頭には変なビジョンが流れ、黒い本には鎖が巻かれ収縮していた。

 自然と、ボクはその本をポケットにしまう。二段目のベットに登り、眠りに付く。

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