第15話 ハイグルの機転
「洒落になってねぇぞ。」
「全くだ。」
圧倒的な脅威に、冷や汗を流すハンター達。
そんなハンター達に向けて、コングの王の子供達が土を投げてくる。
「おわっ。」
「ちょっ、やめっ。」
かなりの数に、避ける事が出来ない。
しかし、威力はそれほどでもない。
それでも、痛いのには変わらない。
「いい加減にしやがれ!」
それでも、土は降ってくる。
それに耐えるハンター達。
すると、コングの王が一際大きい土を持ち上げた。
「まじかっ。あんなの耐えられねぇぞ!」
「逃げろ!」
急いで走り出すハンター達の上に、大きな土が落ちてくる。
何とかそれを避けれたが、砕けた土が覆い被さってくる。
「ぐああっ!」
「があっ、くそっ。」
乗っかった土から這い出るように、ハンター達が立ち上がる。
すると、コングの王が再び土を持ち上げる。
「おい、次来るぞ!」
「ふざけんなっ!」
ハンター達もまた全力で逃げる。
そして、そんなハンターに向けての投擲。
地面に向けて落下するが。
「撃てっ、ハンターを助けよ。」
しかしそれは、自走船からのボウガンの矢が砕いた。
空中で破裂し、大量の土が降り注ぐ。
「皆さん、こっちに!」
職員が呼ぶと、ハンター達が自走船へと向かう。
しかし、そんなハンター達の背中に小さい土が降り注ぐ。
それを見ていた気球が、現状の報告をする。
「コングの王がハンター達を攻撃中。いかが致しますか?」
『直接戦って勝てるかどうか。仕方ありません、作戦変更です。奴をぶつけましょう。』
そう話している間にも、ハンター達が自走船に乗り込んでいく。
そして、自走船を下げながら降り注ぐ土を避けていく。
すると、気球から青の布が下ろされた。
「本部からの命令が来ました。前進せよとの事です。」
「なっ、俺達に死ねと!?」
前に進めば奴がいる。
そこに向かうのは、自殺行為に等しい。
しかし、ハンターの男が否定する。
「いや、ハイグルさんは諦めるような人じゃない。それに、もしそうなら戦えと指示を出すだろうからな。」
「じゃあ、なぜ前に。そうか、海か!」
職員の一人が指摘する。
自走船の前。
そして、コングの王の向こうにあるのは海だ。
「海か、なるほどな。」
「そこに向かって欲しいんでしょう。捕まって下さい。飛ばします。」
後退を止めた自走船が前に進む。
目の前の脅威に向かって突っ込んでいく。
「死にたくない人は着いてきて!」
他の自走船に呼びかける。
すると、そこの職員達が頷き合って自走船を前進させる。
自走船は縦一列になり、浮き上がった地面の横へ向かう。
当然、コングの王も追いかける。
「避けて!」
自走船の進路を変えて、上からの大きな土を避ける。
しかし、今度はコングの王の子供が落ちてくる。
「ぐうっ、敵襲っ!」
「大丈夫だ。俺達に任せな!」
ハンター達がそれを許す訳がない。
自走船に乗ってきた子供達を、斬っては外に吹き飛ばす。
「おら! 子供ごときにびびってんじゃねぇだろうな!」
「あんたに言われなくても!」
ここにいるのは、腕利きのハンター達。
コングの王の子供を相手に遅れを取る訳がない。
そうして船を守っていると、浮き上がった地面を抜ける。
すると、今度はコングの王が落ちてくる。
「やべぇ、避けろ!」
自走船が四方に散って、コングの王を避ける。
そのまま、自走船が横一列へ。
それでも、コングの王が追ってくる。
「急げ! 早く!」
「来てるぞ!」
「分かってます!」
コングの王が拳を振り下ろす。
それを、斜めにずれて避ける。
それでもまた、コングの王が拳を振るう。
そして、それを自走船が避ける。
「何としても避けて下さい!」
「皆で生きて帰ろうぜ!」
襲われては避けるの繰り返し。
生きるために。
勝つために。
勢いのままに進んでいく自走船。
気球からも、それを確認する。
「自走船が海へ。こちらの意図が通じたようです。」
『そうですか。何とか逃げてくれると良いのですが。』
皆の無事を祈るハイグル。
ハイグルとしても、運の要素が強い作戦だ。
だから、どうしても逃げ切って欲しい。
「しかし、奴は来るんですか?」
『絶対に来ます。私の仮説通りならば。』
皆を助けるための作戦だ。
全ては、その仮説にかかっている。
その為には、コングの王から逃れる必要がある。
気球の職員が、下の様子を見る。
「自走船が海に接近!」
コングの王から逃れる自走船。
その前には、エリアがあった海が広がっている。
ハンターの一人がそれに気づく。
「見えたぞ! 海だ!」
「本当に大丈夫なんだろうなっ!」
「知らねぇよっ。もうハイグルさんを信じるしかねぇ! 腹ぁくくれ!」
「あーもうっ。こうなったらやるしかないねぇっ!」
自走船が海に向かって走り続ける。
その後を、コングの王とその子供が迫る。
目の間の海と挟み撃ちだ。
「このままだと突っ込むぞ!」
「構わねぇよ! 行けーーー!」
コングの王の拳が自走船に向かって落ちてくる。
それでも、自走船は避けない。
その先の可能性にかけて。
「来るなら来やがれぇ!」
コングの王の拳が自走船に迫る。
次の瞬間、海から水の柱が飛び出した。
「なんか来てやがる。」
「伏せろ!」
その水の柱は、海上を駆けて陸へと向かう。
さらに、自走船の上をも越える。
そして、そのままコングの王に直撃する。
グオアアアアアアッ!
しかし、コングの王が構えた腕で耐える。
それでも、平気なのは一瞬だけ。
次第に、体が傾いていく。
そして・・・。
ずどーーーーん!
水の柱がコングの王を吹き飛ばす。
そのコングの王は、離れた所に落下する。
そして、その柱を撃った主が動き出す。
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