真宵猫ー眠る夜は君と共にー3
「先生、起きてください。こんなところで寝たら風邪をひいちゃいますよ。」
お酒を飲み、机に突っ伏して眠っている先生を軽く揺する。
「ん~」
「ほら、起きてください。ベットまで行きましょう。」
そしてとろんと眠気の残った声が返ってくる。
「ん~おはよ~れい~」
「はい、おはようございます。じゃあそのまま立ってください。ベットまで行きますよ。」
言うが先生は立ち上がろうとしない。目を瞑ったまま椅子の背もたれに体を預けている。
「先生、ほら立って。肩貸しますから。」
先生の左腕を自分の肩へと回し先生を支えれるようにする。
「ほら立ちますよ。」
「ん~ん~れい~はこんで~」
「はあ~はいはい、じゃあ失礼します。」
怜は先生の背中と膝裏に手を回し抱きかかえる。お姫様抱っこというものだが今の先生は軽いため特に負担には感じない。
このままベットまで連れていき布団をどかして先生を寝かせる。
「―――――ッ!?」
寝かせたためゆっくりと手を退かそうとすると首に手を回されガッツリと固定される。
「せ、先生!?す、すみませんが離してはくれませんか!?」
「ん~や~」
「や~ってちょっ!?」
そのまま先生は怜を自分が寝るベットへと引きずり込む。
「いっしょに~ねる~」
「ちょっと待ってください!手を離して―――」
「や~!」
思ったよりも力が強く引き離せない。
しかも強引にベットの中まで引きずりこんだ挙句、足を怜の腰辺りに回し込みガッチリとホールドする始末。
「わ、わかりましたから一緒に寝ますからせめて居間の電気だけでも消させてください。」
「んや~!」
ダメだ、完全に固定されて動けない。
しかも右腕を枕代わりにして眠っている、明日は筋肉痛を覚悟すべきだ。
「はあ~諦めるしかないかな~こりゃ。」
「ん~おやすみ~れい~」
「はい、おやすみなさい、先生。」
先生から離れることを諦め、することもないのでただ先生の寝顔を眺めて十分ほどが経過した。
小さく寝息をたて可愛らしい寝顔をしながら眠っている先生だが怜への拘束は一切緩むことがない。
先生が酔うと何故か子供っぽくなるのは可愛いがどうにかならないものなのか。言動も密着度も明らかに距離が近づくため身も心も保つのに苦労する。
唯一の救いを挙げるとするならこの部屋で一番でかいキングベットに寝かせたことか。一人用に寝かせていれば今頃狭いベットで寝返りも打つことできずにキツイ夜を過ごしていただろう。まあ今先生に拘束されているためせっかくのキングベットの大きさも意味をなしていないわけだが……。
先生の寝顔を見ているとだんだん眠気が強まっていく。今日は色々あったから疲れも溜まっているのだろう。
ウトウトとなる目、その眠気に合わせてゆっくりと目を閉じる。
もう動けないのなら眠るしかない。
明日の準備などしておきたいことはあったが先生には勝てなった。
そうして怜は先生に抱きかかえられ深い夢の中へとおちていくのだった。
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