昇進
傭兵が一人でドラゴンを倒したという噂は、傭兵団の中だけでなく、アレジスタの町中に広がっていた。
最初は調子に乗っていたアーキルも、噂に尾ひれが付いてとんでもない事になっていくのに気付いて、委縮するようになった。
噂話「山のように大きなドラゴンだったらしいぜ!」
アーキル「いや、一番弱いグリーンドラゴンだから…」
噂話「それをたった一人で倒したんだとよ!」
アーキル「いや、5人で戦ったんだよ…。一人残ったのは運が良かっただけで…」
噂話「一撃で一刀両断したってさ!」
アーキル「そんなわけあるかー!」
・・・
しばらくして、アーキルは傭兵団長に呼び出された。
傭兵団長「おお、素晴らしい活躍だったな、ドラゴンスレイヤーよ」
アーキル「団長まで、いい加減やめてくれよ…。オレが悪かったよ…」
傭兵団長「はっはっは。冗談だ。しかし見くびっていたのは確かだよ、アーキル」
アーキル「まぁ、案外上手くいったとは思うぜ。いずれは他のドラゴンとも戦ってみてえな」
傭兵団長「グリーンドラゴンの次に人間が勝てそうなドラゴンというと、ホワイトドラゴンかな。しかしさすがにそれは一人では敵うまい」
アーキル「機会があれば
ホワイトドラゴンと戦う為には仲間が要るか…。オレにそんな仲間が出来るもんかね…?
アーキル「それで、今日はそんな世間話をするために呼んだのか?」
傭兵団長「いや。今日はお前に、昇進の話が来ている」
アーキル「昇進だぁ? そんな面倒くらいの、断るに決まってるだろ!」
アーキルはにべもなく答えた。
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