第2話
一般的に男と女が車移動する場合は男が運転することが多いと思う。
俺は四号に運転させて、早速会長の所在地に向かっている。
それで俺たちは高速道路は足がつきやすいし、途中で降りるのも面倒なので下道を地道に走っている。
「少し休むか」
「了解です」
ソフトクリームが売っていたので買う。
「おい。これちょっと持っていろ」
振り向くと素行の悪い集団が俺たちの車を襲ってきたのでダッシュで車に戻る。
ドアをプラズマ溶断機で物理的に切断しようとしている。
「おい。何してんだ?」
リボルバーをドア溶断マンに向ける。
ドア溶断マンたちは外骨格で全身を覆っている。その辺のギャングにしては装備が良いな。どういう背景だ?
「鍵を無くしたというカスタマーからの依頼でドアを開けているんですよ?ひひひっ……」
かなり厳しい言い訳だな。だがドア溶接マンたちは四人。俺が二人の頭を銃弾で弾くから、四号がもう二人どうにかしてくれないか。目線で訴える。
「もっと面白い冗談は言えないのでしょうか?」
四号から見ても苦しいというかこんな適当な言い訳でどうにかなるわけないだろ。
「ひひひっ……これはカスタマーの車じゃなかったっすね。これは失敬。後日弁済はさせて頂きます……」
「結構です」
俺が引き金を引くより先に四号の電子呪殺で脳みそが融解してドア溶断マンたちは死んだ。正面装備整えても電子防壁はちゃんとしてないんだろ。四号の電子呪殺は余技だぞ。
「先に行きましょう」
ソフトクリームはくだらん連中と関わっていたせいで溶け落ちていた。
殺した死体からの剝ぎ取りも
「綺麗に殺せたので売ればお金になりそうですね」
「そうだな」
それでもこんなことを続けているのは長年こういう仕事をしているから今更辞めるわけにもいかねえし、アブの爺の仇を討たなきゃならんからな。
俺を選んだのは四号だが、アブの爺にはこの都市の歩き方についてだいぶ教わった。関わってはならないクズどもから美味い飯屋まで教えてもらった。あとラブホのクーポン券も貰ったし。
標的の別荘に着いた。金持ちの別荘が並ぶ緑豊かな森に見える。だが監視カメラや無人銃座とか地雷とかがそこかしこに設置してある。木々から攻めるのは面倒だ。
というわけで。
「お前はしばらくそこで寝ていろ。制服と車は借りるぞ」
「嫌だと言ったら」
「殺す気はないけど、後遺症は残るかもな」
たまたま通りかかった運送業者から車と制服を奪った。
運送業者として忍び込み、会長の頭を弾く。
「私も着替えますか?」
「お前は後方支援だ。お前がやられると俺が本当に死ぬし」
運送業者として正門を通り抜け、屋敷の中に入る。
屋敷のドアを開けてくれた警備をスティレットで刺し殺す。
内部の警備システムは四号が落としていく。
ブレーカーも落としたから、屋敷の中は薄暗い。
敵は警備があと三人。ショータイムだ。
ここで俺の装備を振り返ろう。人間性がほとんど残っていないレベルの
加速装置を機動して、棒手裏剣を投げていく。銃弾とほとんど変わらない威力で警備の脳を貫いていく。一人二人三人。戦闘というより一方的殺戮なんだよな。ヤクザ屋さんの会長の護衛として質が低くない?信頼できるかつ戦闘力があるがほとんど居ないのか?
「お客さん、なかなかできそうだな」
今にも雨が降りそうな曇り空の下、なかなか大きなバルコニーで全裸の爺が横になってくつろいでいた。中に入れた機械込みで百二十キロくらいありそうだな。体重が。
「殺人は得意だ。お前も直ちに死体の仲間入りしてもらう」
俺が答えてやると、会長は手の甲から刃がウルヴァリンじみて飛び出し垂直に数メートルジャンプした。上に飛ばれると銃の照準合わせるのが難しいと言われがちだが、一流以上だとそこまで有効でもない。そこから空中で方向転換できないとただの的だ。
一発も銃撃たないでここまで来れたし、スティレットで刺し殺すか。棒手裏剣もまだあるが、あんまり汚したくないし。
会長の飛び掛かりを避けて、代わりに頭にスティレットを刺してやる。
バク転で避けられる。良い加速装置入れているじゃん。ここで引けるのは会長自身の判断力か。
「飛び道具も中に入れておけよ」
俺も身体に飛び道具導入してないけど。
「虎には爪と牙があれば良いのだ」
爪が飛んでくる。そういうギミックあるのか。今度俺も導入考えるかな。
殺す気の攻撃は俺に当たらない。分かりやすく翻訳してやると殺気が読めるから。元の世界では【死線】泳ぎとか呼ばれていたしな。
「これが虎の爪?ガキの玩具だろ」
なかなか面白そうなギミックで内心では関心しているが、それはそれとして煽ってやる。爪飛ばしたあと、お前はどうするんだ?これで決まると思っていたのか?
会長は両手の掌をこちらに向けている。あっ、手首に散弾銃仕込んでいるな。
手に仕込める武器はだいたい入れているじゃん。各種ギミックが干渉し合わないようにするの面倒だろ。金掛かっているな
「牙って散弾銃のことかよ」
上に飛んで散弾を躱し、スティレットを頭に突き刺す。俺のスティレットはまあまあ金掛かっていて大抵の装甲は貫ける。戦車の装甲以外は大抵な。
刺したスティレットをねじり、脳をかき回す。念には念を入れて殺す。
これで仕事は終わりだ。一発も弾を撃たなかったのでそこまで騒ぎにならずに済んだ。銃を撃たないと帰りが楽で良い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます