キツツキ
上面
第1話
「とりあえず開けるぞ」
今回の仕事は電子錠付のジュラルミンケースを三区画(車移動で丸一日)先の場所に運ぶという簡単なお仕事だ。運送業者じゃなく俺たち
ここは元の世界から様々な理由で追放されたカスどもが堆積した世界。
ただ一つのルールは市への納税のみ。
税を納めない者は警察により処刑される。この処刑を利用した安楽死もあるが、それについては面白い話でもないので割愛する。
「運搬物の中身の確認はリスク判断として妥当ですね。
相棒である四号に電子錠をハッキングして開錠させる。
四号はアブの爺が趣味で作ったメイド型自走電子魔導書なので、大抵のセキュリティは張りぼてみたいなものだ。あと正面からの撃ち合いも市警の重ドローンより強い。
「呪符ですね」
「呪符だな」
開けた途端に呪符が俺と四号を襲う。全身を呪符が巻き付き、呪いを打ち込んでくる。心臓が破裂し、全身の穴という穴から血液が噴き出ていく。
視界が真っ黒になり顔面から冷たい水溜りに突っ込む。
秒で意識を取り戻す。四号と契約している限り俺は死んでも再生する。そんなことより仕事着が泥と血で汚れちまった。悲しみ。
一度死んだら効果が切れるタイプの呪殺で助かった。永続だったら死んでいた。
「開けるべきではありませんでしたね」
四号は非生物(※諸説あり)なので呪いは効かない。涼しい顔してやがる。
「ラブホでシャワー浴びて一発ヤってから仕事再開するか」
なるべく早くと急かされたわけでもねえし、一旦休憩してもいいだろ。
「
その辺にある中古品と性交用プラグインの導入で四号は
ラブホでシャワー浴びて、結局物理的な
今回の仕事は
ラブホから車を走らせて日本風の屋敷まで行き、下っ端に通してもらえるか聞く。
電話通じねえし、依頼人の奴電話持ち歩いているのか怪しいな。この都市だと大抵の奴は携帯電話をインプラントとして埋め込んでいるが。
「どうした」
ピンク色のジャケット着た若い男が出てくる。依頼人のリュージだ。
高校出のガキくらいの年齢に見える。この若さで幹部になれている辺り、相当無茶をしている。あるいは太いバックが居るんだろ。
「ケースの中身見たんだけどさ。アレは何なのか説明してくれるか?」
ケースの中身は効果を失った。普通ならこれで仕事は失敗になるが、仕事内容を再度摺り合わせてみている。ダメで元々だが、これはイケると判断している。
「芸術品だ。見れば分かるだろ」
涼しい顔しているな。ケースの中身ダメにしたこともキレねえし、これはイケるか。
「ああ。そうだな。送り先は誰だったんだ?代わりのものを運ばないといけないだろ」
住所しか書いてなかったし、誰を殺せばいいか分からん。名前を教えてくれ。
「会長の古希祝いだ。お前たちで選んで代わりのものを運んでくれ。報酬も色を付ける」
リュージが携帯電子端末の画面を見せてくる。集合写真か。集合写真の真ん中に
「たぶんさあ。俺の推測だとこれ跡目どうするか一切決まってないだろ?そこでアンタが上手く泳ぐんだろ」
「泳ぎが下手な奴は路地裏で野垂死にしている」
その通りだな。俺も四号と契約していなければ自動再生も無くそこら辺で屍になっている。
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