第114話 正しさ⑧
私たちの攻撃は、御影さんの目の前で止まっていた。
「『閻鏡』。」
閻火が鏡のように広がり、私たちの攻撃を止めている。もしかして、この人は閻火も自由に操れるのか。
「あーもう、ちくしょー。訓練が終わっちまったじゃねぇか。このゲーム結構好きだったのに。」
「「は?」」
御影さんは頭を掻きむしりながら立ち上がり、閻火を鎮め、ガラを鞘に収めた。
「こんなに早くやられるとは思わなかった。お前たちの勝ちだ。誇れ。」
「でも…私たちまだ触れてないですよ。」
「それよりも攻撃を当てただろ。俺にそんなことをできる方がまだ上だ。もっと難しいことだ。だから合格。」
あまりにも突然に終わってしまった訓練。私たちも解放を解こうとしたけど、なかなか光が消えない。
「やっぱりな。そうだ。昇華してる奴ら、全員刀出してみ。こんな感じなるから。」
御影さんは逆に解放させる気のようだ。でも、これ、そんなに簡単に使えるようになるわけが無い。私たちだって、段階を踏んだからいけたんだから。
周りを見てみると、占星団の人達が刀を燃やしていた。この3人は全員昇華していたのか。
「まだ昇華していない人達はどうにかして昇華させてください。まぁ、できないですけど。でもどうにかしてくださいね。戦力になりません。」
畑さんの刀は黒く、芝原さんの刀は紅く、そして倉間さんの刀は白く光る。
「みんな周りに気をつけてね。そして、舞ってみて。」
『舞う?』
御影さんのその言葉に私たちは疑問を浮かべた。打ち込んできてとかそんなのじゃなくて、ただ舞うだけ。そんなので強くなれるのか。
「なんで舞うんですか?」
穿はその疑問を口に出した。占星団の皆さんもきょとんとしているから占星団でもやってこなかったことなんだろう。
「それは簡単なことだ。自分の気持ちいい舞の中にこそ、正しい刀がある。流れるような動き、柔らかい刃。それにこそ本当の強さがあるんだ。だから舞ってみて。」
そう言って御影さんは昇華しようとしている育成班の子達の方に歩いていく。
「それで、どうします?私たちだけでも手合わせくらいならできますけど。」
「いや、とりあえず自分の型を作ろう。」
そう言うのは畑さん。スタスタと部屋の奥の方に歩いていく。
「僕は向こうの方でやるから、みんなは好きなようにして。」
「じゃあ俺は向こうの方で。」
芝原さんもまた別の方に歩いていく。
「三葉ちゃんは私とやろ!」
「く、倉間さん?」
倉間さんは急に私に抱きついてきて、そうやって言う。頭の上に顎を置いて、絶対に逃がしてくれなさそうだ。
「あとは2人でやっとけ。俺はあっち行くわ。」
「ちょっと穿〜!」
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