第10話 0の7
「じゃあ自己紹介ってか名前は知ってるからどういうの得意とか言ってくれるかな?」
少年の方にそうやって言われて、俺たちは改めて座り直した。
「えっと、百野賢斗です。普段は後ろで作戦作ったり、暗号解読したりしてます。等級は3等です。一応前に出れるようにここに派遣されました。まだ動きとかは無茶苦茶なところがあると思いますがよろしくお願いします。」
「じゃあ次は私か。潜百花です。前線で働いています。得意武器は拳銃で、等級は2等です。百野くんとは一応許嫁って関係です。よろしくお願いします。」
俺と潜さんが自己紹介をすると、2人はパチパチと手を叩いて、そしてはっと何かに気づいたように目を見開いた。
「そういえば俺たちも自己紹介してなかったな。」
「ほんとだ!じゃあ私からいくね。私の名前は龍刃三葉。龍刃家の跡取りってことになってます。一人っ子なので。得意武器は刀。本当は代々受け継がれている刀を使えるんだけど、私はまだ継承権しか得ていなくて、それに見合った実力もないので、普通の刀を使ってます。等級は準1等です。」
「最後は俺、針生穿だ。このチームのリーダーってことになってる。得意武器は針。って言っても霧釘みたいなやつだ。等級は三葉と同じで準1等。そして俺たちも許嫁ってことになってる。よろしくな。」
2人の挨拶も無事に終わって、俺たちの歓迎会が始まった。
『かんぱーい!』
コーラが入ったグラスで乾杯して、飲み干す。家を出る前から何も飲んでなかったから「くはぁ〜」と声が出た。
「2人とも何か質問ない?」
龍刃さんがそうやって訊いてくる。潜さんと目を合わせると、「どうぞ」と言ってきた。
「じゃあ僕から。」
「いつも一人称違うでしょ?」
本当に初対面か分からないようなことを言ってくる。
「俺から。ここってどんな任務が多めのところ?」
「ここはね…まぁ…まとめたらあれね。育成を抜けて本部の人間になってからは単独任務だったりそういうのが任される人たちの班だから、それなりの任務が多めかな?」
そのそれなりのベクトルを知りたいが、それを知ってしまったら怖いのでやめておく。
「じゃあ次は私から。最終的には何等になったらこの班を出るの?」
「何等とかはないよ。少なくとも1等までは上げないといけないけど、高校卒業と同時に入社だからそれまではこの班って感じ。」
「0の7って昔からそんな感じよな?」
「そうね。少なくとも私が入ってからはそんな感じだから10年とかそれくらいはそんな感じ。」
つまりはエリート組みたいなもののようだ。出世が約束されているコース。俺がなんでここに呼ばれたのか全く分からない。だけどとりあえず場違いなことだけは分かる。
「上手いことみんなバラバラに集まったな。」
「じゃあこれからよろしくね。」
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