第9話 なぜか

「おーい、2人とも降りてこい!」

「はーい!」

「はーい」


階段の下から呼ばれる。おそらく晩飯ができたのだろう。それに加えてさっきの荷物。袋の中に色々入っていたよな。楽しみだ。


 リビングに入ると、これまた同い年くらいの女の人がキッチンにいた。


「どうも。」


そう挨拶すると、少し困ったような顔をする。


「どうぞ、席に座ってください。」

「あ、はい。」


あまりに素っ気なく対応されたので、少し驚く。するとさっきの少年がやって来た。


「おい、三葉!人見知りだからって冷たすぎるぞ。」

「だって…いや、私が悪かったか。ごめんなさい。冷たくしてしまって。」

「いえいえ、僕だって頑張ってこんな感じなのでいいですよ。」


 食卓には豪華というか、普通に美味そうな料理が並べられていた。煮込みハンバーグに軽く焼いたフランスパン、スイートコーンは素揚げされていて、あとはじゃがいもからカットして作ったであろうフライドポテト。普通の高校生の作るお祝い料理って感じだ。


「超豪華。」

「まあ私が背伸びして作れるレベルだけどね。」


言われたように、というかいつもの癖で一番奥に座る。すると、リビングのドアが開いた。潜さんだ。


「百野くん、それに皆さん、待ちました?」

「ううん、大丈夫だよ。潜さん。」

「百野?潜?ってもしかして!」


すると女の子のほうがこっちにやってきて、机をバンと叩いた。


「百野賢斗くんですよね!2年前、百野家主導でやった海外マフィアの不法入国そのものを防ぐ作戦を立てたのは!知ってますよ!あの作戦は続きがあって、もし無理だった場合はしっかりと国内で秘密に壊滅させることができる作戦を立てていたとか。実際入国させる前にしっかり太平洋の栄養となってもらったんですけどね。」

「そんなこともあったな。」

「それに潜百花さん!敵組織のアジトに体1つで飛び込んで、相手から奪った銃だけで壊滅させたって伝説がある。あれって本当なんですか!」

「どうだったかな。もう昔のことすぎて忘れちゃったかも。」


俺たちの名前はどうしてこうも有名なのか。たしかに作戦には数多く参加しているし、俺は別に前線で成果を残している訳でもない。潜さんは前線でバリバリ働いているみたいだけど。


「うわぁ、2人と一緒に生活できるなんて光栄です。サインもらっても」

「いい加減にしろ。」

「痛っ!暴力反対!」

「お前も人の事言えねぇだろ?切り刻んでいるんだから。」

「しょうがないじゃん。そういう立ち回りをしないといけないんだから。」


2人仲良く並んで座る必然的に俺の隣が潜さんになった。


「じゃあ2人とも始めるか。「せーの!」」

「「ようこそ!ZERO育成隊第7班へ!」」

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