第11話 質問
俺たちの歓迎会も進んで少しずつ夜も遅くなってきた。俺たちの任務上、こういう時間からスタートすることが多いから別に問題ないが、支障が出るのはこういう何もない日。どうしてもこの時間からでも頭が動いてしまうのだ。
「そういえば、この班の任務のときの連絡手段って何なんだ?」
「ずっと2人で動いてたからそういうのは叫んでたかな?」
「そうだな。叫んでた。でもこれからは後ろ組がいるから手段がいるよな。どうする?」
任務時の支障にならないようにするには周りの音が聞こえることと、しっかりと内容が伝わること、そして相手に伝わらないことだ。よく使う手段として普通のイヤホンとかがあるが、落としてしまったら元も子もない。だからうちの家では違うのを使っていた。
「なあ、聴覚増大器を使わないか?」
「聴覚増大器?」
「うちの家にな工作が得意なやつがいて、そいつの発明。これまた俺の妹は聴覚過敏もいいところで、作戦の時には耳の役割をしてもらってるくらいなんだ。その耳を再現したのが聴覚増大器。」
傍から聞いていたら怪しい商人なんだろう。けど、しっかり使っている。使えるのだ。
「それって戦闘中とかは?」
「銃の音とか近くの喋り声とかは普通に聞こえる。遠くだけ聞こえやすくなるって感じ。」
「ちなみに使い心地は?」
「めちゃくちゃいいぞ。」
サイズ感を見せるために持ってきたカバンの中を漁る。いつもと同じ外のポケットにそれは入っていた。サイズはワイヤレスの骨伝導イヤホンと同じくらい。耳に入れないタイプだから外の音もしっかり聞こえる。難点としては、戦闘中は声が聞こえにくくなるってことだけだ。それも慣れたらすぐに聞こえるようになる。
「思ったより軽いな。」
「うちの家ではこれを作戦中は両耳につけているんだ。すぐに情報共有出来るようにね。」
実際のところこれを使わなくても任務に支障はない。けど、安全性とかそんなところを考えたらこれの方がいいのだ。
「俺は使おうかな?カラー指定とか出来る?」
「白と黒はあるけど。」
「じゃあ黒で。」
穿はこれを使うことを決めて、俺のやつを返した。
「潜さんはどうするの?」
「ん〜、私も貰っとこうかな?色は白で。」
全員分のオーダーは覚え切れそうにないのでメモっていく。
「じゃあ龍刃さんは?」
「三葉でいいよ。さん付けもなしでいい。チームだから。」
「分かった。三葉はどうする?」
「ここでいらないとは言えないでしょ。白にして。」
増大器を装着してベランダに出る。美海の聴力ならこれで聞こえるのだ。
「イヤホン白2黒1!よろしく!」
『りょーかい。』
別に実演しようとしたわけじゃないからね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます