第3話「宿屋の危機」

◆登場人物紹介◆


 アメリア

  町の宿屋を一人で切り盛りする、少女。

  借金をしていてバーンズに脅されている。


 バーンズ

  ウォーター・タウンの地主、あくどい男。

  アメリアを狙っている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ふ~っ! ごっそー様!!」

 アクアはまだ物足りなさそうに腹をさすった。


「ん? 君は食わないのか?」のんきに見ているアクアに彼女は言った。


「自分用はそれしかないの。あたしは、水でいいわ」


 アクアは大きなショックを受け、平謝りを始めた。

「すまん! 君のメシを食っちまって! 俺、力仕事なら何でもするから」

 アメリアは首を横に振って、アクアを心配そうにみた。


「ううん? それより、動けるなら早くこの町から出て行った方がいいわよ」


「なんで……」アクアが言いかけた時、宿屋のドアが蹴破られるような音がした。



「何だ!?」

 アクアとアメリアが、驚いて部屋から出て見ると、太った中年の男と鋭い目つきのごろつき達が土足で入ってきた。

「誰だ、あいつら。酷いな」

 アメリアはバーンズに聞こえないように小声で、アクアに伝えた。

「この町を牛耳ぎゅうじっている、地主のバーンズよ。この男が地主になってからこの町は、すっかり変わってしまった。」



「……」

「アメリアさん! 今日こそは、耳をそろえて借金を返してもらいましょうかねえ?」

 バーンズが、野太い声で叫ぶ。

「すいません、バーンズさん。今月の売り上げはこれしかないんです…」

 アメリアは、すまなそうに頭を下げ、小さな袋に入った銅貨を数枚手渡した。



「一か月でたったの、25ギラか…これで全部か?」

 バーンズの声色が低くなる。

「はい……」

「おい、金目の物を探せ」

「へい、バーンズさん‼」

 バーンズがごろつき達に命令すると、男達は宿屋の中を家探しし始めた。

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