ゲームのデータ消しちゃった。罰として俺と付き合え

夕日ゆうや

データは消えるけど、この恋は消えない。

「ごめん。ゲームのデータ消しちゃった!」

 芽依めいが可愛らしくてへぺろという顔をしている。

 それにムカついた俺は、顔を強ばらせて、告げる。

「なら、罰として――」

 そこで言葉を続ける。

 どんな罰を与えてやろうか。

「俺と付き合え」

「うん。いいよ……」

「え?」

「え?」

 俺と芽依が交際をするきっかけになった瞬間である。

「で、でも罰ゲームなんでしょ? わたしなんかと一緒にいたら、それこそ罰じゃない?」

「そんなことあるもんか! 芽依と一緒にいると、飽きることないし、いつも助けられている」

 言って見て気恥ずかしくなってきた。

「でも、セーブデータを消したり、からかったりするのは嫌、かな……」

「これからも一緒にいると、そうなるよ?」

「馬鹿野郎。それでもいいだ」

「本当に、本当?」

「ああ。別にいいだろ。罰ゲームなんだし」

「うん。罰だものね。いいよ」

 頬を紅潮させて芽依は呟く。

「いいよ。付き合ってあげる」

「上から目線だな。罰なのに」

 こうして俺と芽依は交際を始めた。


 セーブデータを消すと恋人ができるらしい。

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ゲームのデータ消しちゃった。罰として俺と付き合え 夕日ゆうや @PT03wing

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