4.病の始まり

 辺境伯領の穏やかな日々は、突然の出来事によって翻弄され始めました。ドーラの様子が日に日におかしくなる中、さらなる異変が起こりました。


 ある朝、私たちの家のメイド、カリンが突然倒れました。彼女は夢にうなされ、翌朝、極度の疲労と共に意識を失ったのです。母が「カリンが!」と慌てて駆け込んできた時、私たちはすぐに彼女の部屋に駆けつけました。


 カリンの部屋に入ると、彼女はベッドに横たわり、顔色が蒼白でした。

「夢の中で、何か黒い霧に包まれて・・・」と彼女が弱々しく語りました。

 その話を聞いて、私はすぐにステファニーが見ていた夢を思い出しました。


「まさか・・・」と私はつぶやきました。

 この病が辺境伯領にまで及んだことに、私たちは衝撃を受けました。母はすぐに医師を呼び、カリンの診察を受けさせましたが、医師も原因が分からないと言うばかりでした。


 その後の数日間で、驚くべきことに、領内の他の若い女性たちも同じ症状で倒れ始めました。彼女たちは夜に見る奇妙な夢によって、次第に弱っていくという共通点がありました。


「これは偶然ではないわ・・・」と母が言い、私もその意見に同意しました。

 父は事態の深刻さを理解し、辺境伯領内の全住民に警告を発しました。しかし、恐怖と不安はすでに広がっていました。


 ある夕暮れ、私とドーラは湖畔で話をしていました。

「アリス、ここでも同じことが起きているのね」とドーラが言いました。

 彼女の声には深い憂慮が込められていました。

「私たちにできることはあるのかしら?」と彼女が尋ねました。


 私は空を見上げながら、「私たちには真実を見つけ出すしかないわ」と答えました。

 辺境伯領で起きているこの不可解な現象の真実を突き止めるために、私たちはさらなる行動を起こす必要があると感じていました。

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