第2話 亀裂

俺たちは早速、広い野原に出た。

きれーな芝生が風になびいている。

ボールはアウロから借りてきた。


投げる、キャッチ、投げる、キャッチ。

たまに落としたりもしながら俺たちはただ仲良くそのボールを投げた。

ボールがエーゼンの方に渡った。

エーゼンが投げようと振りかざす。

様子がさっきと違う。


何かを感じた俺は咄嗟に身構えたが、

「それ」はさほどのものではなかった。

エーゼンがガチで投げてきただけ。

驚きながらもキャッチした俺に、エーゼンは

「にししし、、、あっはっはっはっは!!!!!」

と、とても軽快に笑った。


俺は思った。

やり返してやるからな!


俺は「びっくりしたぁッなんだよ」と笑いながらいい、投げて、キャッチ,投げて、キャッチを繰り返した。


さあ復讐だ。


今度は思いッッッ切り強くて早いボールを投げる。

当然あいつも避けると俺は思ってたんだ。

でもあいつはマジで度肝抜かれて、


ボールは右頬に強く当たった。

エーゼンは吹き飛んだ。


その瞬間俺に走ったのは罪悪感と興奮、幸せ。

俺のボールでエーゼンがぶっ飛んだ。

かわいい。かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい!!!!


そして俺はさらにその可愛さに戸惑った。

駆け寄った俺を見上げる顔は、

あのいつものふわふわ笑顔ではなく


泣き顔。戸惑うような、恐るような、苦しむような顔をした。


その夜は眠れなかった。

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