第10章 ナクユとパズル
第44話 ソフト会社
すぐにナクユへ行ってキリリキくんを助けたいけれど、無策で行ってもヲンに捕まってしまう。アイは佐野君と安藤先生を知っていたのでふたりに会ってみたい。
市内にある公園で佐野君に会った。近くには図書館があって、本を借りたあとに公園で散歩するときもある。今日は天候がよくて日差しが強かったので、木陰のベンチに腰を下ろした。
「休みの日にごめんね。佐野君とナクユの関係を教えてほしいのよ」
昨日電話で確認すると、佐野君はナクユを知っていた。
「俺の祖父はナクユを作った開発者のひとりだったよ。俺はナクユを作ったゲーム会社のアルバイトで、ちょっとしたプログラムを作っている」
「課題のパズルは種類が多いよね。佐野君が作っているのかな」
私が考えた漢字のオリジナルパズルを念頭に質問した。
「ナクユを管理するAIがパズルを作っている。俺は作成支援ソフトのみを作ったけれど、並戸さんに頼まれたソフトもあった。試作版として勝手に送ってごめんね」
「今度からは気をつけてね。特にオリジナルパズルは貴重なのよ」
昨日何度も謝ってくれたので、今日は確認の意味を含めてお願いする。
「勝手に他へは使わないよ。ソフトの管理も注意する」
佐野君なら同じ過ちをしないと思うので、今は別の重要な確認事項がある。
「ナクユと私のオリジナルパズルが繋がったかな。ただ佐野君と安藤先生の関係は不明で、やっぱり安藤先生は知らないのよね」
佐野君と安藤先生の繋がりはわからないけれど、接点があると思っている。
「俺は知らない。ソフト会社の
「鈴木さんと話したいから、連絡先を教えてもらえるかな」
「鈴木さんの了解が得られたら、メールアドレスを教えるよ。概要も話しておく」
ナクユの全体像が見えてきて、オリジナルパズルの件は一歩前進した。
「佐野君はナクユに詳しいよね。私にナクユのジュエリーが届いたけれど、佐野君が送ったのかな」
「宝石がネックレスに変わる品物なら知っているよ。鈴木さんからもらったけれどナクユには行けなかった。ソフト会社に返したから並戸さんには送っていないよ」
「佐野君ではないのね。誰が私にナクユのジュエリーを送ったのかは、鈴木さんに聞いてみるね」
お礼を言って公園をあとにした。
その日の夕方に佐野君からメールが届いて、鈴木さんのメールアドレスを教えてもらった。鈴木さんにメールを出すと、夕食後に返信メールが届く。何度かのやり取りで、ソフト会社の東京営業所で会う約束となった。
リビングの椅子に座るとロクヨちゃんが姿を現した。ロクヨちゃんはナクユでキリリキくんの情報を探している。時間があればナクユへ行っていた。
「明日ソフト会社へ行ってくるね。ロクヨちゃんも一緒に来るかな」
「私を見える人がいるかも知れないにゃ。姿は見せないにゃ。でもナクユのジュエリーは持っていってほしいにゃ。いつでも姿を見せられるにゃ」
「緊急な場合は、場所を気にせず出てきてね」
ナクユの状況をロクヨちゃんに聞く。キリリキくんの新たな情報はなくて、ヲンの正体はムサシ国王も知らなかった。スカイカス師匠にも会ったみたいだけれど、有力な情報はなかった。鈴木さんに会って情報を聞くしかない。
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