第16話 異変

ライトリア王国 王都

財務大臣レビュライト公爵邸


「閣下、カウント領に向けトンカウ商会の馬車が長蛇の列をなしているそうでございます」


「グフフフ、ハハハハハハ笑いが止まらん!


何も知らずに糞の役にも立たない屑鉄を買い込んで


まあ田舎者達には金など不要だろうからのう


ワシが有効活用してやるだけさ!フハハハハっ」


「左様でございますな、流石は公爵様でございます」


「そうだ、今のうちに奴隷達を確保しておくとするか、法が施行されたら取り合いになるだろうからの

今のうちに有用なものや見目のいいものを厳選しておこう


おい、調べさせておけ」


「かしこまりました」





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1週間後



「閣下、いませんでした」


「は?」


「土属性も魔族も獣人も、1人もいませんでした」


「何を言っているんだお前は?」


「王国全土を探しましたが方で奴隷対象となる者が1人もいなかったのです」


「そんなわけがあるか!?何万人といたではないか!」


「公爵様!王宮から召喚状でございます!


トンカウ商会に出したカウント領への通行許可証について聞きたいことがあると!」



「なんだこれは!何が起きているんだ!」



公爵の断末魔のような叫びがこだまする








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「どういう事ですかな?」


「そのままの意味です。

トンカウ商会はライトリア王国から手を引きます

既に店舗の清算も終わっていますので何も問題もありません」


「何故いきなりそのような話に!?」


「直接の理由は会長からの指示ですので私には分かりかねます。ただ...

恐らくは例の新法でしょうね


従業員にもこの方で奴隷対象になる者がいますからね

会長は従業員をとても大切にしていますから」


「ならば是非会長殿と面会させて頂きたい!陛下の許可をもらい従業員の皆さんに特別市民権を与えることも可能です!」


「従業員本人だけではありません。家族が土属性、配偶者が獣人、友人が魔族様々な関係があります


そして我々も会長も従業員全員の交友関係を把握しているわけではありません


全てをカバーするなんて無理なんですよ

新法を廃案にするしかない

でも今更無理でしょう?ならば我々はこの国か、手を引きます


それでは、今までありがとうございました」


「あ、ちょっと!待ってください!



ヤバイヤバイヤバイ」



国内、そして輸出入などほぼすべての物流を担っていたトンカウ商会がいなくなる


これから新しく他国との商談も仕入れも運搬もルート工作も護衛も!

そしてそれにかかる費用も

全て自分たちで準備しなくてはいけない



「無理だろコレ」



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