第13話 挨拶

魔族


尖った耳以外に彼等と人族の外見の違いを説明するのは難しい

長い寿命と人族の数倍の筋力を持つ


魔族と呼ばれているが彼等のほとんどは魔法使いが使えない


その代わりごく一部が特別な魔法を使う


しかし人族が持つ属性魔法を使えない


そんな種族の王は魔王と呼ばれる





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「あのーすみません、どなたかこの手紙を魔王様に、あとカウント領のライルが来たと」


魔王領側山脈麓の村で声をかける


「人族の方!?まさか山脈を越えたんですか?大変だったでしょう?

さあ、うちでお休み下さい」


「あ、ああまあ確かに多少疲れてますかね」


家でお茶を頂きながら世間話をしていると魔王の使いが迎えにきた



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通されたのは立派な邸宅


城ではなく邸宅


というか見渡しても王宮、城のような建物は見当たらない


「ライトリアにはそれはそれは立派な王城があると聞いております

恥ずかしながらこの国ではこれで精一杯なんですよ

部屋もこのような簡素な部屋で申し訳ありません」


「いやいや、個人的にはこちらの方が好ましいと思いますよ

向こうの城は確かに見た目は立派ですが機能性は皆無でしたし


あの、あちらの子供達は?」


中庭で20人ほどの子供達が遊んでいる


「平時は公園として、有事時は避難所として開放しているんです」


「ほおぅ、素晴らしいですな

ただ、陛下の護衛は大変でしょうね」


「陛下に勝てる者は王妃殿下くらいですから」


「ハハハッ魔王陛下も奥方様には勝てませんか!」



「ダル、主君の恥部あまり広めてくれるな」



魔族の寿命は約200年、見た目では本当の年齢はわからないが40歳ほどに見える



「この国の王を務めるカインだ。こっちは妻のルナ

書簡で大まかには自体は把握しているが詳細を知りたいと思っていた

来訪感謝する」


「独立国家カウントの君主、ライルです


独立を宣言し、カウント領を壁で囲み鎖国状態にしましたのでおそらく王国は塩と鉄をカウント領に送らないよう動くでしょう


我が国には食糧はあるが塩と鉄がない

この国には塩と鉄があるが食糧がない


そんな国が隣り合っているんですから仲良くするしかないでしょう?


と、いうことでシイナを嫁にもらいます

ついでに塩と鉄くださいな


あ、これうちの畑で採れた野菜です。よかったらどうぞ」


「えぇ..」


しばしの沈黙が流れた


「た、たしかにこの国は農作物が育ちにくく食糧に不安がある

ライル殿の提案は有り難い


しかしあの山脈がある限り交易は無理だろう!?


そしてカウント領を壁で囲う?一体どういう事だい?」




「ああ、それは実際に見てもらうのが早いでしょう」


準備をして山脈に向かう


「ここです」


魔王夫妻を含め関係者は口をあんぐり広げたまま動かない


そこには幅15メートル 高さ10メートルほどのトンネルが...


「まさかこれがカウントまで?」


「はい、馬で四半日、徒歩で一泊ほどで着きます」


「支柱が見当たりませんが...」


「魔法で大地を圧縮強化していますので木材で補給するより強固になっています


まあ、すぐには信用できないでしょうからしばらくの運搬はこちらでやりますよ」


「ハ、ハハハハ、ハハハハハハ!

いやいやライル殿!我が国にはこの同盟が必要だ!

しっかり手伝わせていただきたい

見たところトンネル内は光源がなく暗いように感じるが何か解決策はあるのか?」


「現実的に考えて松明かな〜と思っているのですがね」


「我が国に光を操る特殊魔法使いがいる。そやつに任せればよい

そして運搬ももち回りでよかろう。


我が国はカウント国を友好国に定める!」


「こちらも助かります。さてあとはシイナの事ですが」


「ああ、スミカか

もちろん構わない

だが、あやつには継承権が無い

外交としてはそちらに旨みがないと思うのだが」

「関係ありません。外交など関係なく私は彼女と人生を共にしたいのです」


「そうか、ならもう何も言わん。

娘を頼んだ」





2人の君主は固く握手する







「さて、同盟は成り結婚の許しをもらえた。

ここからは元王国民と王国貴族としての謝罪とお願いがあります」


「現在王国にいる魔族と獣人を全員保護しますので希望者をそちらに移住させていただきたい」


「全員!?」


「はい、おそらくら5万人ほどになるかと」

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