第8話 姉弟

「ただいま戻りました。そして陞爵おめでとうございます

重ねて、この度は殿下の心を繋ぎ止めることが出来ず申し訳ありませんでした」

眼帯を付けているので片目しか見えないが睡眠不足からか隈が濃い

何故姉がこのような傷を負わねばならないのか、若い辺境伯は強く喰いしばる


「顔の傷に加え王家からの婚約破棄、もはや私に貴族令嬢としての価値はないでしょう。

この上は修道院に入り神に仕えたく思います」


「話し方もダメ、修道院もダメ、考え方もダメ」


「え」


「僕が当主になったからって何を壁を作ろうとしてるんですか!?泣きそうになりましたよ。話し方は今までどうりでお願いします。


それに辺境伯家に生まれた時点で姉様の婚姻の決定権は当主のものです。今の当主は僕

価値がない?そんな訳がない。価値のわからない奴らが悪い。わかる人間の元に僕が送ります


これが辺境伯として最初の命令です


カウント辺境伯家長女スミカに辺境領兵団長ファムとの結婚を命ずる」



「フっファム様と!?そ、そんな何故!?」


「だって姉様ファムにガン惚れでしょう?バレバレ」


瞬間茹蛸のように顔が赤くなるスミカ


「そ、そんなこと」


トプんとライルの影から護衛が頭を出す


「スミカ、バレバレだよ。皆知ってる

ファム以外全員知ってる

領民もほとんど知ってる」


「シイナ!?うそぉうう...」


「甘いものは好きだけど2人の雰囲気は胸焼けしそうになる」


「隠せてるつもりなのが滑稽でしたね」


スミカは耳まで真っ赤にして悶えていた


「さて、お迎えがきましたよ」


「ライル様お呼びでしょうか?ってスミカ様!お帰りなさいませ!」


「フ、ファム様っあうぅ」


お互いの顔を見て真っ赤な顔で固まる2人


「はいはい姉と部下のイチャイチャなんて見てられないでーす

中庭にお茶とお菓子を用意してるので続きはそちらでお願いしまーす」


メイドに連れられて2人は中庭へ向かっていく


「ふう...強引すぎたかな?」


「スミカとファムにはあれぐらいで丁度いいと思う」


「ハハハ、そうだね

それで、どうなった?」


「王は死んだ。外傷はなかったからおそらく毒

しばらく隠してから病死として発表するってクソ王子と皇女が話してた」


「父上に手紙は間に合わないって伝えないとなー」

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