第6話
「フッ何を馬鹿な事を、お前にも何度も教えたはずだ。唯一農民から選ばれた土属性を持つ魔法使い、そして魔族、獣人の民が後方で邪神の配下達を足止めしたからこそ勇者は邪神を討伐出来「いいえ」
王の言葉を遮ったのはルミアだった
「は?」
「そのような事実はありません。邪神討伐は勇者、賢者、戦士によりなされましたそれ以外のものにはなんら功はありません」
「何を言うんだ突然。経典にも記されているではないか。皇女ともあろう君が知らないわけないだろう」
「いいえ、経典のどこにもそのような事実はありません」
あまりに自信たっぷりに言い切るルミアに違和感を感じる
これはただ知識がないのではない
「まさか、、、皇国は経典を書き換えたのか!?なんて事を...」
笑みを浮かべたままルミアは言う
「なんの事かは分かりませんが、陛下の覚えていた経典が間違っていたのが事実です。
そして皇国はこの法案を支持します」
「王だからといって全てを勝手にはできない。貴族の中には土属性の当主もいるのだ。
彼らが許さんだろう」
王太子がニヤニヤしながら言う
「ご安心ください。彼らはもう当主ではありません。
少しだけマイル教の方針、破門について話すと自ら親族に当主の座を譲りました」
「ワシはは聞いていないぞ!当主の交代には王の許可が必要だ!」
「急を要しましたので私が代筆いたしました」
さも当然かのように王太子は言う
「そこまで腐ったかグレン!だがワシはは許さんぞ!こんな法案認めん!」
「そうですか。
しかし、全ての貴族家当主がこれを望んだらどうでしょうね
陛下といえども、ね」
王への敬意など皆無な口ぶりで話すルミア
温厚な王でもこの女に皇女という地位がなければ即刻不敬罪で殺しているところだろう
しかしある事を思い出す
「おい、馬鹿者共
まだ1人土属性の当主がいるぞ」
「フフフ、そんなわけありません。王国貴族の全名簿とマイル教会の洗礼名簿で貴族家当主の魔法属性を全て確認済です」
馬鹿2人が来るまで読んでいた手紙を投げて渡す
「要望書はこれだ。
到着は昨夜、既に許可を出し今頃書記官が名簿を更新している
そしてワシはこれ以降彼の当主交代を認めることはない。何があってもな」
賢く冷静な王と言われる彼には似つかわしくない嘲笑と意地のようなものが感じられる表情だった
「新しいカウント辺境伯家当主はライルだ。
一滴の水滴も蝋燭並の火も、それを消す風も出せない根っからの土属性だ
そもそもお前らの婚約破棄のおかげだな、助かったよ
カウント辺境伯家について一つ教えておこう。我が家と違って家族仲がとてもいい事で有名だ
そんな男が、最愛の姉を裏切った奴らの都合のいいように動いてくれるといいな」
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