第5話

「は?私とスミカ様が?結婚ですか?」


あっけに取られるファムにライルは続ける


「そう!結婚!そして二つ目が1番大切、幸せにするんだ、ファムならできるよね」


「な、なにを言っているんですか!私は平民の軍人ですよ!?し、しかもスミカ様の意思も確認せずにそんなことできるわけが無いですよ!」


あたふた慌てるファムとは対照的にライルは落ち着き払っている

「全く問題ない、先程父様から手紙で爵位の譲位をされた正式には王家の許可が必要だが実質的に今現在から僕が当主だ。

王家から婚約破棄された可哀想な令嬢に新しい婚姻なんて訳ありの中年貴族からしか来ないさ。

ならば自領の人望ある有力者と結婚してもらって身内の団結力を強化した方が有意義だ。

そして、その相手が姉様の憧れで初恋の人なら尚更ね」


「え」


「気づかなかったのかい?なかなかの鈍感だね。事実だよ。誓約魔法で命をかけてもいい


まあいきなり言われても混乱するだろうし、姉様に望まれない結婚をされたくない。1週間あげるから考えてっ


「幸せにします!守ります!私の全てを、命をかけて!」

愛する者を守る決断に1週間なんていらない、真っ直ぐにライルの目を見ながら


その目線を崩さずにライルも答える


「違うね、ファムが死んだら姉様は悲しむし幸せになれない。姉様より1日でも長く生きて姉様を幸せにするんだ。

5日後姉様が帰ってくる。その前に手紙で伝えておくがね、めちゃくちゃ構って甘えさせろよ。プレゼントも用意しておけ

あと、僕はファムの事を兄とは呼ばないから!以上!解散!」


半ば強引にファムを追い出し一息つく


「さて、あとは王家と教会次第かね」


___________


数日後、王宮執務室


深いため息を吐きながら手紙を読む王がいた


「父上!父上!」

騒々しく近づいてくる声にまた王はため息を吐く


「どうしたグレン、それにルミア殿まで」


後ろには皇女ルミアが控えている


「マイル教とのより強固な関係を築く為新しい法案を考えてまいりました。是非こちらを」


どうせ碌な事じゃない。わかっていながら皇女ルミアがいる場であまり無体はできない

小さくため息を吐きながら用紙を受け取り内容を確認する


「この魔法属性による階級制とは?」


王太子は質問に答える


「古の邪神を討伐した神に選ばれた勇者の子孫である我々の火属性を特級階級

勇者と共に世界を救った賢者の水属性、戦士の風属性を平民階級




そして邪神討伐戦に参加せずにただ後方で震えていた魔族、獣人族、愚者の土属性の者は奴隷階級へと落とします」





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