心配性な元騎士
✿
「じゃ依頼書を確認するね」
錬金術師ギルドで用事を済ませ、私は素材依頼を出しに冒険者ギルドを訪れた。今日応接してくれるのがメイさん、ギルドの受付とギルド併設酒場の給仕を同時にやっている敏腕な人なのである。
「ブリザードワイバーンの氷結牙二つとインフェルノドレイクの発火器官一つ、期限は来週までと。でも本当にこの報酬額でいいの?これって適正報酬よりかなり上乗せした金額だよ?」
冒険者ギルドはどのくらい動ける冒険者がいるかをある程度把握しているし、たくさんの記録を保有しているから依頼内容さえ分かれば職員さんが素早く適正報酬額を計算してくれる。つまり適正報酬額通り設定すれば期間内に誰かが依頼した品物を納品してくれるはず。
だけど、それはいつも通りならの話。
「実は錬金術師ギルドに特別依頼が届きまして、私以外の錬金術師も素材依頼を出しに来ると思いますからそれを見越して上乗せしたんです」
そう、需要と供給は商売の基本、もし先を見据えないで今の相場で報酬額を決めたら私の依頼を受けてくれる人がいなくて後で報酬額を更新するはめになる。
「そういうことだったんだね。実は今朝営業時間早々、依頼しに来た錬金術師の子がいたんだよ。その子も適正金額より上乗せしたんでね。エレナちゃんはその二人目だから私は気になってつい」
柔らかい笑顔を見せながらテキパキ書類を処理してくれるメイさん。
前からメイさんは底が知れない人だと思っている。荒々しい人が多い冒険者ギルドでも悠然と振る舞うし、ヴィルと何度も模擬戦を行ってからメイさんは如何に隙がないかはっきり分かった。
「はい、報酬の前金と手数料はこの通り」
「よろしくお願いします」
お金を払って無事依頼を出したのでここに来る用事を済ませた。あとはヴィルを待つだけ。
レモン入りドクターハイゼを注文して私は適当なテーブル席に座った。
「うぅ、やっぱり視線を感じて落ち着かない」
冒険者ギルドに入ってから時々視線を感じる。私の目が気になるのだろうか。それとも私の体形が変だろうか。それがよく分からないけど、ユトリテリアの頃みたいに明らかな悪意に満ちた視線じゃないのは分かる。
「ふぅ、熱い日に飲むドクターハイゼはおいしい」
届いた飲み物を啜って涼しくなって気分が大分落ち着いた。
「見ない顔だな。嬢ちゃん、もしかして一人?」
声がする方向を見ると隣のテーブルに三人の男が酒を飲んでいる。冒険者パーティーかな。そのリーダー格の人が立ち上がりこちらのテーブルに寄ってくる。
視線が私の体に向いていたようだけどやっぱり私はおかしいだろうか……。
「いえ、私は人を待っています」
目が合うと彼は目が見開いてちょっと後ずさりした。すぐ体勢を戻したけど……。
そうか、この人も私の目が変と思っているのだね。
「随分待ってたじゃん。すっぽかされたじゃねぇの?」
「そんなことはないです。彼は決して――」
「はっ!同年代の男か。その年頃のガキはでかい口を叩いてすぐびびるからな」
あれ、もしかして年齢を勘違いされた?
「どうせ『お前の事はボクがずっと守る』とかだろう?んでいざとなると怖がって家から出られないってさ」
ヴィルにはそのセリフが似合わないなぁ。彼なら『お前は大人しく俺に守られてろ』とかちょっと強めな言い方……。こ、これもなんか違う。昔読んだ小説に影響されちゃったかも。
勇ましい一面も優しい一面もあるヴィルはどのように言うのだろうか。
それは気になるだけで別に守られたい訳じゃない。むしろ対等な関係になりたくて強くなりたいと思っている。
「ねえ、俺様のパーティーに入らねぇか。安全な役割を与えてやるし、俺らと一緒なら絶対安全なのさ」
「あ……いや、それは結構です」
そもそも私はどちらかと言うと依頼を出す側なんだよね。冒険者登録したのはついでだったから。
だけど機会があったらヴィルと一緒に冒険したいかも。
「なんでだよ。リーダーは最近Bランクになった上位冒険者だぞ。冒険者のベテランだぞ」
こ、この人がBランクだったの?隙だらけに見えるけど!?
確かCランク止まりの冒険者が多いから、Bランク以上はベテラン扱いだしこの人は嘘をついているようにも見えない。
「なんだその顔、まさか俺様じゃ不足だとでも言いてぇのか。嬢ちゃんの連れよりよっぽど嬢ちゃんを守れると思うんだが?」
わわ……この人たち一気に喋るから私が説明する隙がない。
どうしたらいいか。と悩んでいるその時だった。
「俺が彼女を守れないと言ったのはどいつだ?」
「あ、ヴィル。待ってました!」
ヴィルは入口からやってきて、鬼の形相で男の集団を睨んでいる。
「彼女に用があるならまず俺に話を通せ」
こんな顔をする彼は初めて見た。どうやら凄く怒っているようだ。宥めなくちゃと思ったのに先に男が火に油を注ぐ。
「何だてめぇ。こいつの連れか?身なりからしてどこかの御曹司だが……、てか丸腰じゃねぇか。嬢ちゃんの後ろに隠れて魔法でも撃つつもりか?」
どうしよう、どうしよう……! 学校でも社交の場でも一方的に嫌味を言われ、罵倒される経験しかなかったからこういう場を収める能力がない。
私が悩んでいると同時に周りも騒ぎ出した。
「ヴィルと呼ばれたあの人って――」
「ああ、――」
「これはやばいぞ」
周りの喧噪でよく聞き取れないけど、緊張した雰囲気は伝わってくる。
「金持ちの趣味本っ当に分かんねー。冒険のままごとならもっと強いやつ雇えばいいのに……。ああそっか、本命は夜の楽しみなんだな?分かるぜ。その乳で戯れたい気持ちはよぉ」
え?え???夜の楽しみってもしかしてアレ?本や小説でしか読んだことないけど……と、殿方が喜ぶ行為。
でもヴィルはそのために私と契約している訳じゃないのは最初の日に分かった。
「貴様……」
「は?おもちゃ取られたくないのか。じゃ飽きたら譲ってくれよどうせすぐ飽きるだろ」
「俺と彼女の関係を侮辱するな」
低いトーンで放たれた言葉で喧噪が一気に収まった。数人が椅子から後ろに倒れて警戒と怯える顔でヴィルを見ている。
私も薄々感じる。ヴィルからは模擬戦の時以上の本気を。これはもしかして殺気?
「な、なんだ。やんのか」
しかし目の前の人は分からないらしくてヴィルを挑発する。
何か言わなくちゃ。
「ヴィル、私はだいじょ――」
言い終える前に突風が起こって、男は地面に叩きつけられた。
しかしそれをやったのはヴィルではなく――
「本当にもう!何で目をちょっと離すとすぐトラブルが発生するの。ごめんね。ヴィルヘルムさん。うちの冒険者が迷惑を掛けちゃって」
メイさんが男の腕を後ろ手に抑えるが、その腕はもうあり得ない角度になっている……。
「あとでメイさんがたっぷり説教してやるから覚悟してね!って、もう気絶している」
彼女は只者ではないのは分かっていたけど、すごい……!
「彼らの事は任せてくれない?トラブルメーカーはメイさんがちゃんと教育するから」
「俺は別にいいが、エレナはどう思う?」
「わ、私もそれで大丈夫です」
ユトリテリアに居た頃もっとひどい言葉を浴びていたから私はあまり気にしていないけど、ヴィルがバカにされるのが嫌。でもヴィルがいいなら私もこれ以上言うことはないかな。
「お詫びに美味しい料理をご馳走するから、今度食べに来てくださいね」
「ああ、それは楽しみだな」
とても今日ここで食べる気分じゃないよね。すごく注目を集めているし……。
「そこの二人、この人を医務室に運びなさい!」
「は、はひい!」
ヴィルは押し黙ってしまって、目を合わせてくれない。
どうしたのだろう?何か気にしていることでもあるのかな。
「ヴィル?」
彼はおもむろに口を開いた。
「俺は……、ちゃんとエレナを守れるかな」
そう言った彼の瞳に不安の色が滲んでいるように見える。
どうやら先程男の言葉が気になっているらしい。なぜだろう、今日のヴィルはいつものキレがない。
「すまん、今のは忘れてくれ。そうだ、カールに用事があるからエレナはここでもうちょっと待ってくれないか。すぐ戻ってくる」
まるで逃げるように身を翻してギルドマスター部屋に向かおうとするヴィル。
私は彼の裾を引っ張って引き留めた。伝えなければならないことを伝えるために。
「ちゃんと守れていますよ。ヴィルがいつも安心感を与えてくれますもの」
少しでも不安を和らいであげたらいいなと思って言葉をかけたけど、思えばお母様以外に安らぎの空間を与えてくれるのはヴィルだけ。
「だが……さっきみたいに俺がそばにいない時だってある」
「それでもです。ヴィルが戦闘技術を教えてくれたおかげでさっきの人全然怖くありませんでした。そばに居なくだってヴィルは私を守ってくれています」
ちょっと強引な理屈かもしれないが、知識は力なりって錬金術を学んでよく分かっていること。彼は戦闘技術と経験を惜しみなく伝授してくれたから、遠回しに私を守っているのと同然。
私の返答が意外なものなのか、ヴィルが振り返り、きょとんとした顔で私を見つめた。
「本当にエレナには敵わないな」
そう言ったヴィルが微笑みを見せてくれていつもの優しい顔に戻った。
「すまん、気を遣わせちゃって」
「いいんですよ。えへへ」
笑顔にさせることができてなんだか嬉しい。
「じゃ俺はカールに会ってくる。昼飯は美味しい店に行こう」
「うん!」
ヴィルが二階に上がっていき、一人になった私はようやく周りのざわめきに気づいた。
「うわ……あの殺気はやばかった」
「お前も別の地域に行くなら情報収集を怠らないようにするんだぞ。じゃないとあの馬鹿みたいに絶対喧嘩売っちゃいけないヤバイ人に突っかかっちゃうぜ」
「あいつ、危うく殺されるところだったね」
いつの間にかヴィルが酒場で話題になっている!
「ヴィルってすごい人なんだね」
「ヴィルヘルムのことはすごいって言葉じゃ片付けられないよ」
「あ、椅子から落ちた人」
遠巻きに私を見ていた一人がやってきた。気圧されて椅子から落ちた女性冒険者だった。
「うげ、見てたのか……。そんなことよりヴィルヘルムのことよ。彼はすごいだけじゃない。王国屈指の実力者だよ」
「王国屈指の……」
「そりゃ別格のセイントには届かないけどさ、セイント以外のバケモノとの一対一戦闘じゃまず負けないよ」
「普段のヴィルからは想像できませんね」
厳かな雰囲気しないし、むしろ優しくて一緒に居ると落ち着く。
「だろうね。普段から強者の雰囲気出していたら今の馬鹿だって気づいていたはず。はぁ、やばかった。メイさんが間に入らなかったらどうなるのやら」
「ヴィル、我慢していましたよね」
同調効果で彼の魔力をはっきり感じ取れるから我慢していたのが分かる。
「やっぱり?まあ、メイさんも強いけどさすがに本気のヴィルヘルムなら間に入る余裕を与えないだろうな。元騎士だけあって人を傷つけたくないかも」
「あの……ヴィルのこと詳しいようですね。もしかして、し、慕っているとか」
有名な人だそうだし慕われてもおかしくないけど、なんだかもやっとする……。
「騎士団インタビューを見てああいう実力者になりたいなぁと思っただけだから人徳を慕うとか大袈裟な話じゃないよ」
「そ、そうなんですね」
あれ、今ホッとした?
「『強くなるのはもう守れない後悔したくないだけだ』、その言葉とても心に響いたな」
守れなかった人って誰の事だろう。傭兵団の戦友って男だったらしいけど……。他に大事な人居たりする?気になる。
「あの……、ヴィルに恋人居ました?」
「ヴィルヘルムに?ないないありえない。この国来てからずっと独身らしいよ。その前は知らないけどさすがに若すぎたからないかな。むしろあんたって彼の最初の恋人じゃないの?親しい呼び方してるし」
「いいいいえ。私はただ彼と契約している錬金術師ですぅ」
「ふん?まあ、趣味とか分からないし、どんなこと考えているのも想像できないから近づきにくい印象なんだよね」
最初はたまにぼーっとして何考えているか分からない時もあるけど、お菓子好きという意外な一面を知って一気に親近感が湧いたの。それに私の料理を美味しく食べてくれて……。ふふっ。
一緒に生活している私しか知らないことがあって、何となく誇らしく思う。
「でも今のはちょっと意外だった。ヴィルヘルムがそんな顔もするなんて」
「私もびっくりしました。あんなに怒ったのは初めて見ました」
「違う。あんたと話していた時の顔よ。そんな柔らかい表情もできるのだなと」
あれ?それはいつも通りだと思うけど……。
「あんたってもしかして魅了の魔法を使えたりとか」
「そそそんな!」
「あはは、冗談だって。人を操る魔法とか架空な世界にしかないもん。これは単にあんたが可愛いって言葉の綾だよ」
そうだよね。魔法は自分以外の人に効きづらくて治癒魔法すら一苦労するし操るのは無理だもの。錬金術で作る惚れ薬だって強い意志を持つ人間に効きづらい。
って、今可愛いと言われた!?わ、わたしが?
「――おい、そろそろ出発するぞ」
「あ、今行く!そんじゃさよなら」
もう行っちゃった。あれ、そういえば名前を聞きそびれた。
今の出来事で頭がいっぱいでまともに思考が回らなかったかも。
「そっか。あの柔らかい表情は他の人からすれば珍しいものなんだね」
ふふっ。
私は思わず頬が緩んでしまった。
◆
「はぁ~~」
やっちまった。マルクに叱られたばっかりなのに、エレナが絡まれたところを見たらまた抑えられなかった……。
「はいはい、クソでかい溜息これで3回目。頭を抱えるほど気にするものなのか。ギルドでトラブルなんて日常茶飯事だぞ」
頭が真っ白だった。どう考えて行動を取ったのかまるで覚えていない。
彼女の前に怒る顔を見せてしまったことと、弱音を吐いてしまったことだけははっきり覚えてしまっている。
「離れても守れているのか……」
エレナがそう言ってくれてもやっぱり心配なものは心配だ。
「聞いてんのかお前!」
ドーーンッ。
カールの正拳突きを左手で受け止めた。
「ちぇ、ぼんやりしてるから一本取れると思ったのに」
さすがに全力を出すと自分の仕事場を壊しかねないから、彼の正拳突きは軽いものだった。
「ちょっとカール、書類が吹き飛ばされたじゃないか。真面目に仕事しないとメイさんに言いつけるぞ」
書類を処理しているリリアが不満そうに言った。
「ちょ、メイだけは勘弁してくれ。今、今すぐ本題に入るから」
そう言ってカールは座り直して俺と向き合う。相変わらずメイさんに弱いなこの人。
「そんで手紙のことだが、依頼の件は受諾した。普通の護衛依頼に偽装すればいいんだな?」
カールに渡した手紙は彼が読んだ後燃やされた。この件を知っているギルドの者はカールとリリアだけ。
「そのようだな。後は魚を釣れるかどうか」
ギルドの護衛依頼は当事者を守るためにほぼ情報が開示されていない。詳細も依頼主と冒険者が秘密裏に話し合うことになる。だが依頼主の身分、出発地点と到着地点、簡単な説明や制限ランク、そして報酬はギルドのボードに乗っている。
護衛任務がボードから消えても、それを受けたのはCランク冒険者かAランク冒険者か正体が分からない。それが狙いだ。
「魔境開拓計画に合わせて事業拡大する飲食店の新しい従業員を護衛する依頼……。よく思いついたなこれ」
「実際魔境開拓計画で人が流れてきているし、冒険者ギルドもそれで新顔が増えたぞ」
「なるほど」
リリアがそうカールに説明した。
「お前も大変だな。引退したのに王国からの任務を受けるなんてよ」
「はぁ、それ自体は別に構わないけど……」
また溜息を吐いて歯切れが悪くなった。
「やっぱ心配なのか。嬢ちゃんのこと」
「……」
カールのくせに鋭いな。
「おい、顔に出てるぞ」
「すまん。ま、カールの言う通りだ。任務に出てエレナを一人留守にすると思うと……。単に過度な心配かもしれないけど」
また溜息吐きそうな時リリアが話しかけてきた。
「それは違うな、ヴィルの心配はごもっともだ」
「マジか」
まさか賛同してくれると思わなかった。
「技術者が攫われる話、今までは護送途中を狙われていたが、そういうターゲットが減っていったら今度は別のところを狙うかもしれない。あくまで可能性だが、王都に居る技術者だって狙われるかもしれない」
……。
「おい、あまりヴィルの不安を煽るなよ……。こいつ任務をやらなきゃならんだぞ」
「いえ、無闇に不安を煽るつもりはない。提案だけどヴィル、私が住み込んで代わりにエレナを見守るのはどう?」
「え?それは……。いいのか」
「前に言っただろう。何か困りごとがあったらお助けすると」
やっぱりリリアは義理堅いな。まだエレナに会っていないのに、代わりに見守ってくれるなんて。
「じゃ頼む!どうか俺が居ない間あの子を守ってくれ」
「ああ、任せて」
これで心置きなく任務を遂行できそう。
「よっしゃ!これでリリアに仕事を監視されなくて――」
「カールがやるべきことはちゃんとメイさんに伝えるつもりだからその覚悟で」
「あ、はい……」
リリアは処理した書類を揃えてテーブルに置く。
「にしても、ヴィルがこんなに心配になるなんて、彼女のことがよっぽど大事なんだな」
「だから言っただろ。今回はありって」
ありって何?
「ふふ、よかったな。ヴィル」
「なんのことだ?」
「なんでもない。じゃ後日そちらにお伺いするね。エレナに会うのが楽しみだな」
次は任務のこととリリアのことをどうエレナに伝えるのだけど……。また後で考えよう。
その後、やけに上機嫌なエレナと一緒に昼飯食べたけど、終始機嫌がいい理由分からないままだった。美味しい料理の力かな?
◆
夜、約束した通りエレナに騎士団のアルバムを見せていた。
「これがパレードに参加していたヴィル……!かっこいいです」
「それ実は面倒がる顔だったぞ……」
言っていた通り注目を集めるのが苦手だからな。他の騎士団メンバーがもっと自然に振る舞っていた。
「他の写真もありますね。あ、これは訓練の時のヴィルですね」
「それは教官やっていた時の写真だな。訓練を受けていたのはもっと前のページ」
「あ、本当!こっちは顔が幼いですね」
「騎士団に拾われた後だな。親代わりのマルクがいきなり写真で記録しようと言い出して」
あれはどんな理由だったっけ、写真撮るようになったのは?
「これはヴィルの思い出……こんなにもたくさん」
そう呟く彼女の横顔はどこか寂しくて切ない。
この時俺は知らなかった。その言葉に秘めた感情とその横顔の意味を……。
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